AIブランド認知96%でも89%が未言及、Victorious調査の衝撃
米SEO企業Victoriousが175ブランド×8AIプラットフォームを分析。AIは96%のブランドを正確に認識する一方、89%は比較質問で一度も言及されない。原文データと相関分析、日本企業への示唆を整理する。
目次(21項目)
- はじめに
- Victorious社と調査の位置づけ
- 調査手法の詳細
- 96%と89%の正確な定義
- プラットフォーム別・業界別の差
- なぜギャップが生まれるのか
- 他の大規模調査との突き合わせ
- 日本企業への示唆と対策
- よくある質問
- Q1. Victoriousの調査は日本企業にも当てはまりますか?
- Q2. 「AIに認識される」ことと「AIに言及される」ことの違いは何ですか?
- Q3. AI言及を最も強く予測する指標は何ですか?
- Q4. 第三者言及数はどれくらいあればAIに言及されやすくなりますか?
- Q5. なぜAIは自社サイトよりも第三者サイトを引用するのですか?
- Q6. 業界によって対策の優先順位は変わりますか?
- Q7. 購買検討のどの段階でAIはブランド名を挙げやすいですか?
- Q8. この調査結果を踏まえて、まず何から着手すべきですか?
- Q9. Google AI OverviewsとGoogle AI Modeで言及されやすさは違いますか?
- Q10. Victoriousはどのような企業ですか?
- 関連用語
- 関連記事
AIブランド認知96%でも89%が未言及、Victorious調査の衝撃
この記事の結論: 「AIに社名を聞けば正しく答えてくれる」ことと「AIが比較の場面で自社を挙げてくれる」ことは、ほぼ別の現象である。米SEO企業Victoriousが175ブランドを8つのAIプラットフォームで検証したところ、直接質問への認識精度は96%に達した一方、カテゴリ比較の質問では89%のブランドが一度も名前を出されなかった。両者を分けるのは自社サイトの完成度ではなく、被引用ドメイン数や第三者言及数といった「外部での言及量」であり、日本企業の多くがまだここに予算を割いていない。
最終更新日: 2026年8月2日
はじめに
自社ブランド名をChatGPTやGeminiに直接尋ねると、たいてい正確な説明が返ってくる。この体験だけを根拠に「うちはAI検索でも大丈夫」と判断している企業は少なくないはずだ。だが、その安心感は実は測定対象を間違えている可能性がある。
米国のSEOエージェンシーVictoriousが2026年7月29日に公開した四半期レポート「Quarterly Search Report Q2 2026」は、この誤解に正面から数字を突きつけた。175ブランドを対象にChatGPT・Claude・Gemini・Copilot・Perplexity・Google AI Overviews・Google AI Mode・Meta AIという8プラットフォームで検証した結果、「ブランドを直接尋ねたときの認識精度」と「カテゴリ比較の質問で実際に名前が挙がる確率」の間に、無視できない断絶があることが判明した。日本語圏ではこのレポートを扱った記事が見当たらず、本稿が原文一次情報に基づく初の日本語解説となる。以下、調査の中身と、そこから導かれる実務上の対策を整理する。
Victorious社と調査の位置づけ
Victoriousは、SEO業界の年間表彰「SEO Agency of the Year」を5回受賞した実績を持つ米国のSEOエージェンシーで、12年にわたりエンタープライズ企業・テクニカルSEO領域を中心に事業を展開してきた。同社は四半期ごとに「Quarterly Search Report」というオリジナル調査レポートを発行しており、2026年第1四半期(Q1)版に続き、今回のQ2版でAI検索におけるブランド可視性を主題に取り上げた。
Victoriousの立ち位置は、AI検索最適化(GEO/AEO)を専業とするブティック企業ではなく、従来型SEOの大手エージェンシーが自社の顧客基盤とデータ分析力を使ってAI時代の可視性課題に踏み込んだ点にある。裏を返せば、このレポートは特定のGEOツールを売り込むためのマーケティング資料ではなく、実務家がクライアント支援のために集めた観測データという性格が強い。
調査手法の詳細
レポートの調査設計は次の通りだ。
- 対象ブランド数: 175ブランド。うち認識テストで評価可能だった回答を持つのは140ブランド、言及率テストの対象コホートは150ブランド
- 対象業界: 法律(legal)、ヘルスケア(healthcare)、SaaS、金融サービス(financial services)、eコマース・小売(ecommerce/retail)の5業種
- 対象AIプラットフォーム: ChatGPT、Claude、Gemini、Copilot、Perplexity、Google AI Overviews、Google AI Mode、Meta AIの8つ
- 調査期間: 2026年第2四半期(Q2)の3か月間のスナップショット
- 分析規模: AI生成回答は約6,000件、引用(citation)は約49,391件(記事によっては「ほぼ5万件」)を精査
テストは2種類に分かれる。
- 認識(Recognition)テスト: 各AIプラットフォームに「このブランドについて説明して」と直接尋ね、回答を公式サイトの情報と突き合わせて「正確」「曖昧」「情報が古い」「誤り」「認識なし」の5段階で評価した
- 言及(Mention)テスト: カテゴリ比較を想定した定型プロンプト(例:「〇〇分野でおすすめのサービスは?」)と、購買検討の初期段階を想定した課題認識プロンプトをAIに投入し、対象ブランドが回答内に登場するかどうかを計測した
この2段階設計こそが、本調査最大の価値だ。単に「AIに引用されたか」だけを見るのではなく、「AIがそもそもブランドを理解しているか」と「AIが購買検討の場面でそのブランドを思い出すか」を切り分けて測定している点が、他の多くのAI可視性調査と一線を画す。
96%と89%の正確な定義
見出しの2つの数字は、まったく異なるテストの結果である。混同すると調査の意味を読み違えるので、ここで正確に定義しておく。
- 96%: 認識テストにおいて、AIプラットフォームが対象ブランドについて「正確」と評価される説明を返した割合。つまり「AIはブランドを知っているか」の指標
- 89%: 言及テストにおいて、対象ブランドがカテゴリ比較の質問への回答に一度も登場しなかった割合。つまり「AIは購買検討の場面でブランドを思い出さないか」の指標
Victorious自身の言葉を借りれば、この2つの数字が示すのは「AIがあなたを知っていることと、AIがあなたに言及することは、ほとんど関係がない("barely have anything to do with one another")」という事実だ。従来のブランド認知調査であれば「知られているか」だけを測って終わりだが、この調査は「知られていても選ばれない(挙げられない)」という、より購買行動に近い断絶を可視化した点が独自性の核心である。
プラットフォーム別・業界別の差
認識精度はプラットフォームによって大きく異なる。Google AI Mode、Gemini、ChatGPT、Google AI Overviews、Copilotの5つはいずれも全業種で83%を上回る高い精度を示した(レポート内の表現には93%超とする記述もあり、算出範囲や集計時点の違いによる可能性がある。正確な内訳は原文レポートで要確認)。一方でPerplexityは全体で67%程度にとどまり、SaaSとeコマース分野では55%を下回った。Meta AIはSaaS分野で46%という低さを記録している。
業界別に見ると、引用元の構造そのものが業種によって大きく異なることが分かった。
| 業種 | 引用元の特徴 |
|---|---|
| 法律・ヘルスケア | 少数の「権威あるディレクトリサイト」に引用が集中する。主要ディレクトリへの掲載獲得が対策の大半を占める |
| SaaS・eコマース | 1万件を超えるユニークドメインに引用が分散する。個別の高権威掲載よりも面としてのカバレッジが勝敗を分ける |
さらに引用元の性質を見ると、分析対象となった約49,391件の引用のうち99.99%が自社ドメイン以外の第三者サイトを指しており、自己引用(自社サイトが引用元になったケース)は150社中わずか4社にとどまった。これは「自社サイトをどれだけ作り込むか」よりも「第三者に語ってもらう量」がAI言及を左右することを裏付けるデータだ。
プラットフォーム別の認識精度を整理すると次のようになる。
| プラットフォーム | 認識精度の傾向 |
|---|---|
| Google AI Mode / Gemini / ChatGPT / Google AI Overviews / Copilot | 全業種で83%超(レポート内表記では93%超とする記述もあり、集計範囲の違いによる可能性がある) |
| Perplexity | 全体で約67%。SaaS・eコマース分野では55%未満に低下 |
| Meta AI | SaaS分野で46%まで低下 |
この差は、各AIがどの情報源をどれだけ重視して回答を生成しているかのアーキテクチャの違いに起因すると考えられる。検索インデックスとの統合が強いプラットフォーム(Google系)は正確な企業情報を拾いやすい一方、Perplexityのようにリアルタイム検索を重視する設計や、Meta AIのように学習データの構成が異なるプラットフォームでは、ニッチな業種(SaaS等)の認識精度が落ちる傾向がある。自社の主要顧客層がどのプラットフォームを使っているかによって、優先すべき対策先も変わってくる点に注意したい。
なぜギャップが生まれるのか
Victoriousは、AI言及を予測する変数についても相関分析を行っている。結果は次の通りだ。
- 被引用ドメイン数(referring domains): AI言及との相関係数0.49
- 第三者Web言及数(third-party web mentions): 相関係数0.45
- フォローリンクか否か: フォローリンクの方がやや効果が高い傾向
一方で、次の指標はAI言及とほとんど、あるいはまったく相関しなかった。
- Authority Score(いわゆるドメインオーソリティ系の指標)
- 検索順位・オーガニックトラフィック
- Knowledge Graphへの掲載有無
- アンカーテキストの構成(ブランド名アンカーの比率など)
つまり、従来型SEOで重視されてきた「自社ドメインの強さ」や「検索順位」は、AI言及の有無をほとんど説明しない。代わりに効いているのは「ブランド名がWeb上のどれだけ多くの場所で第三者によって語られているか」という、いわば"評判の量"だ。具体的な閾値も示されており、第三者言及数が2,000件未満のブランドはAI言及率が約3%にとどまるのに対し、2万件前後で言及率50%を超え、3万件を超えると64%に達するという。この閾値の存在は、AI言及獲得が「量的な打ち手」であることを示唆している。
さらに、購買検討の段階によっても言及されやすさが変わる。初期段階の課題認識プロンプト(まだ具体的な比較検討に入っていない段階)では、AIは教育的コンテンツ・政府系情報源・公的機関を引用元として好み、ブランド名の言及は回答1,000件あたり約1件程度と極めて稀だった。一方、比較検討フェーズのカテゴリ質問では、AIはディレクトリサイトやレビューサイト、比較記事を引用するようになり、ブランド名の言及頻度は初期段階の12倍以上に跳ね上がった。プラットフォーム間の差も大きく、Google AI ModeはAI Overviewsの約2倍の頻度でブランド名を挙げる傾向が見られたという。
この現象を整理すると、AIの回答生成メカニズムに起因する構造的な理由が浮かび上がる。AIは学習・検索の過程でブランドの公式情報(サイト・プレスリリースなど)から「そのブランドが何者か」を理解する一方、実際に回答へ組み込む際には、第三者が独立して言及・比較・推薦している情報源を優先的に採用する傾向がある。これは、AIが単一の情報源に依存するリスクを避け、複数ソースでの裏付けがある情報を優先しているためだと考えられる。結果として、ブランド自身がどれだけ発信を頑張っても、それが第三者サイトに転載・言及・比較されない限り、AIの「言及リスト」には乗りにくい。
他の大規模調査との突き合わせ
Victoriousの175ブランド調査は規模としては中規模だが、同様の結論を示す大規模調査が別に存在する点は見逃せない。SEOツールベンダーのAhrefsが公開した75,000ブランドを対象とする調査(ChatGPT・AI Mode・AI Overviewsを横断)では、AI言及との相関係数が次のように報告されている。
| 指標 | 相関係数(目安) | Victorious調査との整合性 |
|---|---|---|
| YouTube上での言及数 | 約0.737 | Victoriousの調査対象には含まれないが、「Web上の第三者言及量」という上位概念で一致 |
| ブランドのWeb言及数 | 0.656〜0.709 | Victoriousの「第三者Web言及数(0.45)」と方向性が一致 |
| ブランドアンカー付きリンク | 0.511〜0.628 | Victoriousの「被引用ドメイン数(0.49)」と近い水準 |
| ブランド検索ボリューム | 0.352〜0.466 | 参考指標として中程度の相関 |
| サイトページ数 | 約0.194 | ほぼ無相関。Victoriousの「Authority Scoreは無相関」と符合 |
| ドメインレーティング(DR) | 0.266〜0.326 | 弱い相関。Victoriousの「検索順位は無相関」と方向性が一致 |
数値の絶対値はVictorious調査とAhrefs調査で異なる(算出方法・対象プラットフォーム・サンプル規模が異なるため単純比較はできない)。しかし「サイト自体の規模や伝統的な被リンク指標(DR)よりも、Web全体での第三者言及量の方がAI言及との結びつきが強い」という結論の方向性は、独立した2つの調査で一致している。この一致は、本稿の主張——AI言及対策はオンサイトSEOの延長ではなく、オフサイトでの言及獲得を主軸に据えるべきという指摘——の裏付けとして扱ってよいだろう。
なおAhrefs調査ではYouTube上の言及が突出して強い相関を示した点も興味深い。これはGoogleとOpenAIの両社がYouTubeの字幕データを学習に利用している可能性を示唆しており、日本企業がAI言及対策を検討する際にも、テキストベースのPR施策だけでなく動画コンテンツでの言及獲得(製品レビュー動画への協力、YouTuberとのタイアップなど)を選択肢に加える価値があるかもしれない。ただしこの点についてVictorious側の一次データによる直接的な裏付けはなく、「参考情報」として扱うべきだ。
日本企業への示唆と対策
このデータを日本市場に当てはめる際は、いくつかの留保が必要だ。調査対象は米国の175ブランドであり、業種構成・プラットフォーム利用率(特にMeta AIやCopilotの普及度)は日本と異なる。また日本語コンテンツにおける第三者言及の蓄積構造(比較サイト・口コミサイトの分布など)も英語圏とは異なるため、閾値(2,000件/2万件/3万件)をそのまま日本の指標として使うのは危険だ。この点は「公式レポートで要確認」としたうえで、示唆として活用するのが妥当だろう。
そのうえで、構造的な教訓は日本企業にも十分応用できる。
- 自社サイトの完成度だけでは足りない: SEO順位やドメインの強さがAI言及とほとんど相関しないという結果は、「自社サイトを磨けばAI経由の露出も増える」という前提を見直す材料になる。オウンドメディアの強化と並行して、外部露出への投資配分を増やす必要がある
- 第三者言及・被リンクの「量」を追う指標に変える: Ahrefsなどのツールで自社ブランドの被引用ドメイン数・言及数を定期的に棚卸しし、業界内での相対水準を把握する。日本の同業他社との比較でベースラインを作ることが第一歩になる
- 業種特性に応じた打ち手を変える: 士業・医療など権威あるディレクトリが少数に絞られる業種では、主要な業界団体・専門メディアへの掲載を優先する。SaaS・ECのように引用元が分散する業種では、個別の大型掲載より広範な言及獲得(比較サイト、レビューサイト、業界メディアへの寄稿など)を優先する
- 購買検討フェーズ別にコンテンツを設計する: 認知段階向けの解説コンテンツと、比較検討段階で挙げてもらうための比較記事・事例紹介を分けて設計し、後者への第三者掲載を意識的に狙う
- PR・リンク獲得予算を「余剰予算」から「専用予算」に格上げする: Victoriousは「残った予算で対応する」のではなく専用予算を確保すべきと提言している。日本企業でも広報・SEO予算が分断されがちだが、AI言及を狙うなら両者を統合した予算設計が必要になる
これらを実行に移す際は、いきなり全方位で動くのではなく、段階を踏んで着手するのが現実的だ。
| フェーズ | やること |
|---|---|
| 現状把握 | 自社と主要競合の被引用ドメイン数・第三者言及数をAhrefs等で棚卸しし、業界内の相対位置を確認する |
| 優先領域の特定 | 自社業種がディレクトリ集中型かドメイン分散型かを見極め、狙うべき第三者サイトの種類を絞り込む |
| コンテンツ・PR実行 | 比較検討フェーズ向けコンテンツの外部掲載(比較サイト・業界メディアへの寄稿・レビューサイトへの登録)を優先的に進める |
| 計測・改善 | 四半期ごとにAI言及率とドメイン言及数の推移を追跡し、投資対効果を検証する |
なお、Victoriousの調査自体がまだ一度限りの四半期スナップショットであり、今後の四半期でどう数値が推移するかは未確認だ。この点も「公式レポートで要確認」としたうえで、継続的な追跡調査の登場を待ちたい。
よくある質問
Q1. Victoriousの調査は日本企業にも当てはまりますか?
対象は米国の175ブランドのため、数値をそのまま日本市場に適用するのは注意が必要です。調査は米国5業種(法律・ヘルスケア・SaaS・金融・eコマース)の175ブランドを対象にしており、プラットフォームの普及率や第三者言及の蓄積構造は日本と異なります。ただし「自社サイトの強さよりも第三者言及の量がAI言及を左右する」という構造的な傾向は、業界横断で観察された一般的な現象であり、日本企業にも参考になる可能性が高いと考えられます。
Q2. 「AIに認識される」ことと「AIに言及される」ことの違いは何ですか?
前者は直接質問への回答精度、後者は比較質問での登場率で、両者はほぼ別の現象です。Victoriousの調査では、AIにブランド名を直接尋ねたときの説明精度(認識)は96%と高い一方、「おすすめの〜は?」のようなカテゴリ比較の質問でそのブランドが実際に挙げられる割合(言及)は、89%のブランドでゼロでした。AIがブランドの存在を知っていることと、購買検討の場面で思い出して名前を挙げることは、別々のプロセスで決まっているということです。
Q3. AI言及を最も強く予測する指標は何ですか?
被引用ドメイン数(相関係数0.49)と第三者Web言及数(相関係数0.45)が最も強い予測因子でした。逆に、Authority Scoreや検索順位・オーガニックトラフィック、Knowledge Graphへの掲載有無はAI言及とほとんど相関しませんでした。従来型SEOで重視されてきた指標と、AI言及を左右する指標が一致しないという点が、この調査の重要な発見の一つです。
Q4. 第三者言及数はどれくらいあればAIに言及されやすくなりますか?
目安として、2,000件未満では言及率約3%、2万件前後で50%超、3万件超で64%というデータが示されています。ただしこれは米国175ブランドの観測データであり、業種・言語圏によって閾値は変動する可能性が高い点に留意してください。自社の言及数を把握する際は、業界内での相対的な立ち位置を確認する指標として使うのが現実的です。
Q5. なぜAIは自社サイトよりも第三者サイトを引用するのですか?
AIが複数の独立した情報源による裏付けを優先する傾向があるためと考えられます。分析対象となった約49,391件の引用のうち99.99%が第三者サイト由来で、自己引用はわずか4社に限られました。AIの回答生成メカニズムそのものに関する公式な解説は「公式レポートで要確認」としたうえで、観測データからは「単一の発信元(ブランド自身)の情報より、複数の第三者が言及している情報の方が回答に採用されやすい」という傾向が読み取れます。
Q6. 業界によって対策の優先順位は変わりますか?
はい、法律・ヘルスケアとSaaS・eコマースでは引用元の構造が異なるため対策も変わります。法律・ヘルスケアは少数の権威あるディレクトリサイトに引用が集中するため、主要ディレクトリへの掲載獲得が優先されます。一方SaaS・eコマースは1万件を超えるドメインに引用が分散するため、個別の大型掲載よりも広範な言及獲得(比較サイトやレビューサイトを含む)が有効とされています。
Q7. 購買検討のどの段階でAIはブランド名を挙げやすいですか?
比較検討段階の方が、認知段階よりも12倍以上ブランド名を挙げやすいという結果が出ています。初期の課題認識段階ではAIは教育的コンテンツや公的機関の情報を引用しがちで、ブランド名の言及は回答1,000件あたり約1件と稀です。一方、カテゴリ比較の質問ではディレクトリサイトや比較記事が引用元となり、ブランド名の言及頻度が大きく上がります。コンテンツ戦略もこの段階差を踏まえて設計する必要があります。
Q8. この調査結果を踏まえて、まず何から着手すべきですか?
自社ブランドの被引用ドメイン数・第三者言及数を棚卸しし、業界内での相対水準を把握することが最初の一歩です。Ahrefsなど被リンク分析ツールで現状を可視化したうえで、業種特性(ディレクトリ集中型か分散型か)に応じてPR・リンク獲得の優先順位を決めます。加えて、認知段階向けコンテンツと比較検討段階向けコンテンツを分けて設計し、後者について第三者サイトへの掲載・言及を意識的に狙う体制を作ることが推奨されます。
Q9. Google AI OverviewsとGoogle AI Modeで言及されやすさは違いますか?
はい、Google AI ModeはAI Overviewsの約2倍の頻度でブランド名を挙げる傾向が観測されています。同じGoogle系のAI機能でも、回答生成の仕組みや引用の粒度が異なるため、言及率に差が出ると考えられます。自社のAI可視性を計測する際は、AI OverviewsとAI Modeを一括りにせず、別々のチャネルとして追跡することが望ましいでしょう。
Q10. Victoriousはどのような企業ですか?
SEO業界の年間表彰を5回受賞した、12年の実績を持つ米国のSEOエージェンシーです。エンタープライズ企業向けのテクニカルSEO支援を中心に事業を展開しており、四半期ごとに独自データに基づく調査レポート「Quarterly Search Report」を発行しています。今回のQ2 2026版でAI検索におけるブランド可視性を主題として取り上げました。
関連用語
関連記事
参考文献
- Why Does AI Mention Some Brands And Not Others? | Victorious Q2 2026 Quarterly Search Report — Victorious(参照: 2026-08-02)
- AI Recognizes 96% Of Brands But Mentions Almost None, New Study Finds — Search Engine Journal(参照: 2026-08-02)
- AI Recognizes Brands But Rarely Mentions Them In Category Searches — Dataconomy(参照: 2026-08-02)
- Quarterly Search Report | Q1 2026 - Victorious SEO Agency — Victorious(参照: 2026-08-02)
- Top Brand Visibility Factors in ChatGPT, AI Mode, and AI Overviews (75k Brands Studied) — Ahrefs(参照: 2026-08-02)
関連用語
- アンカーテキスト
アンカーテキストとは、リンクとして表示される文字列のこと。「こちら」より「SEOの基本ガイド」のように内容が伝わるテキストにすることで、SEO・ユーザビリティの両面で価値が上がります。
- E-E-A-T
E-E-A-Tとは、Googleがコンテンツ品質を評価する4つの観点「Experience(経験)・Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trustworthiness(信頼性)」のこと。SEOとLLMO両方で最重要の概念です。
- インデックス
インデックスとは、クローラーが集めたページをGoogleがデータベースに登録すること。インデックスされて初めて検索結果に表示される対象になります。「索引」とイメージすると分かりやすい用語です。
- Ahrefs
Ahrefsは、シンガポール発の業界標準 SEO・被リンク分析ツール。世界最大規模の被リンクインデックスを持ち、競合分析・キーワード調査・サイト監査・コンテンツ分析を高精度で実行できます。月額99ドル〜。
- ドメインオーソリティ
ドメインオーソリティ(DA)とは、SEOツール会社Mozが提供するドメイン全体の「強さスコア」(0〜100)。Google公式の指標ではないですが、サイト全体の競争力の目安として広く使われています。
- Perplexity
Perplexity(パープレキシティ)とは、回答に必ず引用元(出典URL)を表示する米国発のAI検索エンジン。2022年公開で急速に成長中。LLMOで「サイテーションされる」最初の主戦場として重視されています。
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