LLMO/AISEOモニタリングツール
AI検索の引用ドメイン、YouTubeが2か月連続首位に――2026年8月号 (llmo-news-20260907-japan-ai-citation-domain-ranking-august2026)
LLMO最終更新日: 2026年9月20日初出: 2026年9月7日

AI検索の引用ドメイン、YouTubeが2か月連続首位に――2026年8月号

LLM Insightが発表した「AI検索 引用ドメインランキング2026年8月号」を解説。総合1位youtube.comの座は動かず、google.comが3位に新規ランクイン。総件数とAI横断性は別指標という論点を実務目線で読み解く。

#LLMO#AI検索#AI引用#GEO#AIO#ChatGPT#Perplexity#Gemini#Google AI Overviews#引用ドメインランキング
目次(35項目)

AI検索の引用ドメイン、YouTubeが2か月連続首位に――google.comが3位に新規ランクインした2026年8月号を読む

要点: gens合同会社が運営する「LLM Insight」が2026年9月7日、月次調査「AI検索 引用ドメインランキング 2026年8月号」を発表した。ChatGPT・Gemini・Perplexity・Microsoft Copilot・Google AI Overviewsの5プラットフォーム、総計測件数187,483件を集計した結果、総合1位はyoutube.com、2位はit-trend.jpで7月と変わらず、3位にgoogle.comが新規ランクインした。 レポートが強調するのは「総引用件数の大きさ」と「AI横断性(複数AIに満遍なく引用される度合い)」は別の指標だという点。google.comは件数で3位だが5AI中2AIにしか掲載されず、逆にitreview.jpは件数5位ながらAI横断スコアで1位という乖離が生じている。 最終更新日: 2026年9月7日

何が起きたのか

発表の概要

2026年9月7日、gens合同会社が監修する「LLM Insight」は、月次シリーズレポート「AI検索 引用ドメインランキング 2026年8月号」を発表した。あわせて@Press経由のプレスリリース(value-press掲載)でも同内容が告知されている。

この調査は、日本語・日本市場を対象に、生成AI検索サービスの回答文中でどのドメインがどれだけ引用されているかを月次で定点観測するシリーズもので、今回は2026年8月1日〜31日の1か月間のデータを対象としている。対象プラットフォームは以下の5つで、いずれも日本語ユーザーが日常的に利用する主要な生成AI検索・アシスタントである。

  • ChatGPT
  • Gemini
  • Perplexity
  • Microsoft Copilot
  • Google AI Overviews

総計測件数は187,483件にのぼり、その内訳はGoogle AI Overviewsが91,392件(全体の48.7%)と最大シェアを占め、Perplexityが44,556件(23.8%)、Geminiが28,240件(15.1%)、Microsoft Copilotが13,604件(7.3%)、ChatGPTが9,691件(5.2%)と続く。この配分自体が、現状の日本語AI検索市場において「AI Overviewsがボリュームゾーンであり、Perplexityがそれに次ぐ検索特化型の存在」であることを示している。

集計方法と除外基準

データの信頼性を担保するため、LLM Insightはいくつかの除外基準を設けている。まず、単一クライアントの寄与が引用全体の6割を超えるドメイン(実に6,861ドメインが該当)を除外している。これは、特定の1社が集中的に対策・計測した結果としてランキング上位に浮上する「見かけ上のバイアス」を取り除くための処理であり、月次ランキングとしての公平性を担保する上で重要な設計だ。加えて、契約クライアント自身のドメインと、運営元であるgens.jpのドメインも集計対象から除外している。

さらに、データ収集は前月(7月号)と同じv2.0仕様の方法論で行われており、月次比較の整合性が担保されている点も明記されている。ランキングの推移を語る上で、計測方法が月をまたいで変わっていないことは前提条件として重要であり、この点をレポート側が明示していることは評価できる。

ランキングの詳細を読み解く

総合ランキングTOP5(件数ベース)

まず、単純な引用件数の合計で見た総合ランキングは以下の通りだった。

順位ドメイン引用件数掲載プラットフォーム数前月比
1位youtube.com9,377件4/5不動(7月も1位)
2位it-trend.jp7,739件5/5不動(7月も2位)
3位google.com6,122件2/5★新規ランクイン
4位aspicjapan.org(ASPIC)5,622件5/51つ後退(7月3位)
5位itreview.jp(ITreview)4,395件5/51つ後退(7月4位)

7月号のTOP5は「1.youtube.com(8,268件・全5プラットフォーム)、2.it-trend.jp、3.aspicjapan.org、4.itreview.jp、5.boxil.jp」であり、6月から7月にかけては上位5ドメインの顔ぶれ自体に変化がなかった。ところが8月は、boxil.jp(前月5位・2,285件)がTOP5から姿を消し、代わってgoogle.comが3位に新規ランクインするという構造変化が起きている。

youtube.comは7月の8,268件から8月は9,377件へと件数を伸ばし、2か月連続の首位を守った。ただし掲載プラットフォーム数は4/5にとどまっており、後述するように特定チャネル(Google AI Overviews)への依存度が非常に高いという特徴を持つ。一方it-trend.jpは、件数こそyoutube.comに及ばないものの、5つのAIすべてに掲載される「5/5」を維持しており、全方位的な引用のされ方をしている点が特徴だ。

AI横断ランキングTOP5――「件数」とは別の指標

このレポートがもうひとつ提示しているのが、「AI横断ランキング」である。これは5つのAIそれぞれにおける順位を同じ重みで平均し、「どのAIでも満遍なく引用されやすいサイトか」を測る指標であり、総件数の大きさとはまったく別の切り口の指標だ。

順位ドメインAI横断スコア備考
1位itreview.jp99.12全5AIに掲載
2位it-trend.jp98.70ChatGPT以外の4AIで高順位
3位aspicjapan.org95.68全5AIに掲載
4位boxil.jp93.31全5AIに掲載(総合では圏外だが横断性は高い)
5位note.com91.87全5AIに掲載

ここで注目すべきは、総合ランキングと横断ランキングの結果が一致していないという事実そのものである。総合3位のgoogle.comはAI横断ランキングにはトップ5に一切登場しない。これは、google.comの引用件数6,122件のほぼすべてがGoogle AI Overviews由来であり、5つのAIのうち2つにしか掲載されていないためだ。特定の1チャネルに集中して大量に引用されれば総合順位は上がるが、それは「他のAIでは引用されていない」ことの裏返しでもある。

対照的にitreview.jpは、総合件数では5位(4,395件)にとどまるが、AI横断スコアでは1位(99.12)を獲得している。これは、itreview.jpがChatGPT・Gemini・Perplexity・Microsoft Copilot・Google AI Overviewsのすべてで安定して一定水準以上の引用を得ていることを意味する。同様に、総合では圏外に転落したboxil.jpも、AI横断スコアでは4位(93.31)と依然として高い評価を維持している点は見逃せない。総合順位が下がったからといって、AI検索全体における存在感が消えたわけではないのだ。

LLM Insightのレポートが打ち出す最大の論点は、まさにこの「総引用件数の大きさとAI横断性は別の指標である」という整理にある。どちらの指標を重視すべきかは、自社がどのAIプラットフォームのユーザー層にリーチしたいかによって変わってくる。

プラットフォーム別ランキングの特徴

5つのプラットフォームそれぞれの内訳を見ると、AIごとに引用される情報源のタイプに明確な違いがあることがわかる。

**Google AI Overviews(全体の48.7%を占める最大チャネル)**では、youtube.comが8,986件で圧倒的な首位に立った。これは全プラットフォーム中でも突出した数字であり、youtube.comの総合引用件数9,377件の大半(約96%)がこのチャネルに集中していることを意味する。2位には新たにgoogle.comがランクインし、6,113件がAIO由来だった。it-trend.jpは3位に後退している。

**ChatGPT(全体の5.2%)**では、itreview.jpが139件で首位を維持した。ここではPTCやシーメンスといった製品公式サイトが順位を上げており、他のプラットフォームと比べて「製品公式サイト中心」の構成になっているのが特徴だ。母数自体が5つのAIの中で最も小さいため、1件あたりの重みが大きく、順位変動も起きやすいチャネルと言える。

**Gemini(全体の15.1%)**では、it-trend.jpが1,641件で首位を維持。aspicjapan.orgが4位から2位へ順位を上げ、note.comが5位に新規ランクインした。UGC(ユーザー生成コンテンツ)系のnote.comがGeminiで台頭している点は、他のプラットフォームには見られない特徴である。

**Perplexity(全体の23.8%)**では、it-trend.jpが2,260件で1位、itreview.jpが1,862件で2位となった。ここではsaas.imitsu.jpが4位に新規ランクインしており、SaaS比較・選定系のメディアがPerplexity上で評価を得やすい傾向がうかがえる。

**Microsoft Copilot(全体の7.3%)**では、it-trend.jpとitreview.jpが引き続き1・2位を占め、itmedia.co.jpが5位から3位へ順位を上げた。

こうしたプラットフォームごとの違いは、各AIが参照する学習データやクロール範囲、検索アルゴリズムの差異に由来すると見られ、単一の「AI対策」で全チャネルを網羅することの難しさを物語っている。AI OverviewChatGPT検索、Perplexity、Copilotとでは、引用されやすいコンテンツの傾向がそもそも異なるということだ。

AIO引用と通常のGoogle検索結果の関係

レポートはさらに、Google AI Overviewsでの引用と、従来型のオーガニック検索結果への露出との関係も分析している。ここで浮かび上がるのは、AIOには2つの異なる引用パターンが存在するという構図だ。

ひとつは、通常検索結果には出ていない場面でもAI Overviewsに多く引用される「ゼロクリック化」型のパターンである。

  • youtube.com: AIO引用8,986件のうち5,289件(58.8%)は、通常のオーガニック検索結果との同時出現がなかった
  • google.com: 6,113件のうち1,138件が通常検索結果との非同時出現だった
  • it-trend.jp: 通常検索との同時出現率は82.4%で、比較的AIOと通常検索の両方に出やすい

もうひとつは、通常検索の順位に連動してAIOにも引用される、オーガニック順位追従型のパターンである。

  • biz.nuro.jp: 同時出現率98.3%、平均通常順位2.88位
  • ebisumart.com: 同時出現率95.2%、平均通常順位7.13位
  • nttdata-gsl.hmup.jp: 同時出現率95.2%、平均通常順位4.64位

これらの数値からは、youtube.comのようにオーガニック順位とは独立した論理でAIOに引用されるサイトと、biz.nuro.jpのように通常検索での上位表示がそのままAIOでの引用に直結しているサイトの、2つの異なる力学が存在することが見えてくる。前者はAIの回答生成モデル自身が持つ知識・学習データに基づいて引用先を選んでいる可能性が高く、後者はGoogleのAI Overviews機能が通常のランキングアルゴリズムと密接に連動していることを示唆している。

AIの追加検索(Fan-out)分析

もうひとつ興味深いのが、AIが回答を生成する過程でどれだけ「追加の検索(Fan-out)」を行っているかという分析だ。ChatGPTは1回答あたり平均5.68回、Geminiは1回答あたり平均4.47回の追加検索を行っていることが計測されている。これは、ユーザーが1つの質問を投げかけただけでも、AIの内部では複数回のクエリが実行され、それぞれの結果を統合した上で最終回答が生成されていることを意味する。

追加検索で扱われたテーマの内訳(母数22,615回)は以下の通りだった。

  1. 製品・サービス探し:5,262回(23.3%)
  2. その他(未分類):4,845回(21.4%)
  3. 比較・選び方:4,664回(20.6%)
  4. 機能・特徴:2,644回(11.7%)
  5. 料金・費用:1,248回(5.5%)
  6. 条件・対象別:1,230回(5.4%)
  7. 意味・基礎知識:760回(3.4%)
  8. 評判・レビュー:628回(2.8%)

「製品・サービス探し」と「比較・選び方」の2テーマだけで合計43.9%を占めている。これは、ユーザーがAIに何かを尋ねる際、最終的には「どの製品・サービスを選ぶべきか」という比較検討フェーズの情報を求めていることが多いという実態を裏付けており、比較・選定コンテンツの重要性を改めて示すデータと言える。

aiseo-llmo.com ユーザーへの影響

件数とAI横断性の乖離をどう戦略に落とし込むか

今回のレポートが最も強く訴えているのは、「総引用件数の大きさ」と「AI横断性」は別々の指標として扱うべきだという点だ。この整理は、LLMO(大規模言語モデル最適化)やGEO(Generative Engine Optimization)に取り組む実務担当者にとって、目標設定のあり方そのものに影響する。

もし自社の目標が「特定のAI(例えばGoogle AI Overviews)経由での露出量を最大化すること」であれば、google.comやyoutube.comのような「特定チャネル集中型」の引用パターンを目指すことになる。一方、もし目標が「どのAIを使うユーザーからも安定して自社が参照される状態」を作ることであれば、itreview.jpやit-trend.jpのような「全方位安定型」を目指す必要がある。どちらが正解ということではなく、自社のビジネスモデルとターゲットユーザーの検索行動によって、狙うべき指標は変わってくる。

情報タイプの3分化と自社コンテンツの棚卸し

レポートは、上位ドメインが大きく3つの情報タイプに分化していると指摘している。

  1. Know型(比較・選定情報): it-trend.jp、ASPIC(aspicjapan.org)、ITreview(itreview.jp)、saas.imitsu.jpなど。ユーザーの「比較・選び方」ニーズに直接応える構造化された比較コンテンツを保有している。
  2. 一次情報型(製品公式サイト): PTC、シーメンス、freee、SAPなど。ChatGPTのように製品公式サイト中心で引用されるプラットフォームで存在感を発揮する。
  3. UGC型(動画・投稿による利用像表現): YouTube、note.comなど。実際の利用シーンや体験談といった、公式発表にはない「生の情報」がAIに好んで参照される。

この3分類は、自社のコンテンツ資産を棚卸しする際の有効なフレームワークになる。多くの企業は自社サイト(一次情報型)のコンテンツ整備には投資していても、比較メディアへの掲載(Know型)や、動画・SNS上でのユーザーの声(UGC型)にまで戦略が及んでいないケースが少なくない。3つの型を組み合わせて対策することが、AI検索全体での引用機会を最大化する近道になる。

業種別・サイトタイプ別の実務インパクト

SaaS/BtoB企業にとっては、it-trend.jp・ASPIC・ITreview・saas.imitsu.jpといった比較メディアへの掲載状況が直接的な影響を持つ。これらはGemini・Perplexity・Copilotの上位を独占しており、自社サービスがこれらのメディアに掲載されていない、あるいは掲載情報が古いままだと、AI検索経由の露出機会を大きく損なうことになる。特にPerplexityでのシェア(全体の23.8%)は決して小さくなく、比較メディア経由での間接的な引用獲得は、直接のSEO施策以上に費用対効果が高い場合がある。

比較メディア・アグリゲーターサイト運営者にとっては、今回のランキングで自社の立ち位置がどう変化したかを注視する意味が大きい。boxil.jpが総合5位から圏外へ転落した一方でAI横断スコアでは依然として4位を維持しているという事実は、「総合順位が落ちても横断的な引用力は残る」ことを示す実例であり、一喜一憂せずに継続的な計測が必要であることを裏付けている。

動画・UGC活用企業にとっては、YouTubeがGoogle AI Overviewsで圧倒的な引用を集めている事実が重要な示唆となる。特に、AIO引用の58.8%が通常検索結果と非同時出現という「ゼロクリック化」特性は、YouTube動画コンテンツがオーガニック検索での順位とは独立した経路でAIに評価されている可能性を示している。自社の商品・サービスに関する解説動画、レビュー動画、ハウツー動画などをYouTube上に整備することは、通常のSEO対策とは別軸でAI引用機会を作る手段になり得る。

今すぐできる対応策

1. 自社ドメインのAI横断引用状況をチェックする

まず着手すべきは、自社ドメインが5つの主要AI(ChatGPT、Gemini、Perplexity、Microsoft Copilot、Google AI Overviews)それぞれでどの程度引用されているかを把握することだ。具体的には、自社の主要な検索キーワード・想定プロンプトを用意し、各AIに実際に質問を投げて、回答文中に自社ドメインが引用されているか、また引用されているとすればどのページが参照されているかを手動で確認する。これを月次で継続することで、LLM Insightのような専門ツールを使わずとも、自社なりのAI横断引用状況の傾向値を掴むことができる。

自社サイトが「特定の1つのAIにだけ強く引用されている」のか、「複数のAIに満遍なく引用されている」のかを見極めることが第一歩だ。前者であれば、その依存先チャネルのアルゴリズム変更リスクに備えつつ、他チャネルへの露出拡大を検討する必要がある。

2. 比較・レビューサイトへの掲載を強化する

「製品・サービス探し」「比較・選び方」で追加検索の43.9%を占めるという事実を踏まえると、比較・レビュー系メディアへの情報掲載は依然として重要な施策だ。it-trend.jpやITreview、ASPICといった今回の上位ドメインに該当するようなメディアに、自社サービスの情報が最新の状態で掲載されているか、口コミ・レビューが集まっているかを確認し、掲載情報の鮮度と網羅性を維持する運用を組み込む。

3. UGC施策・動画コンテンツの整備

YouTubeのAIO引用における特異な強さ(8,986件・58.8%がゼロクリック型)を踏まえ、自社製品の使い方・活用事例・比較動画などをYouTube上に用意することは、通常のSEOとは異なるAI引用チャネルを開拓する意味を持つ。またnote.comがGeminiで新規ランクインしたように、UGC・オウンドメディア発信プラットフォームでの情報発信も、プラットフォームによっては有効な選択肢になり得る。

4. AIプラットフォーム別の優先順位付け

自社のターゲットユーザー層がどのAIを主に利用しているかを踏まえ、対策の優先順位を決めることも重要だ。BtoB色が強く比較検討フェーズの長い商材であればPerplexity・Gemini経由の比較メディア対策を、一般消費者向けでビジュアル訴求が有効な商材であればYouTube経由のGoogle AI Overviews対策を、といった具合に、プラットフォームごとの特性に合わせたリソース配分を検討したい。

5. 月次モニタリングを継続する

今回のような月次レポートは、単月のスナップショットだけでは見えない「変化のトレンド」を捉える上で価値がある。今回、boxil.jpがTOP5から圏外に転落した一方でAI横断スコアでは高水準を維持していたように、指標によって見え方が大きく異なることは珍しくない。自社の立ち位置を継続的に定点観測し、変化の兆候を早期に捉える運用体制を整えることが、中長期的なLLMO・GEO戦略の土台になる。

背景・経緯とレポートの位置づけ

このレポートは、gens合同会社が運営する「LLM Insight」による月次シリーズの一環であり、今回で少なくとも2か月連続(2026年7月号・8月号)の公開が確認されている。前月比較のためにv2.0仕様のデータ収集方法論を7月・8月で統一しているという説明は、月次シリーズとしての継続性・比較可能性を意識した設計であることを示している。

日本国内でAI検索の引用ドメインを定点観測する取り組みは、まだ発展途上にある分野だ。海外ではAhrefsをはじめとするSEOツールベンダーがAI引用に関するデータを蓄積しつつあるが、日本語・日本市場に特化した月次の定点観測レポートは、現時点でもまだ限られた事業者からしか発表されていない。gens合同会社のような専門事業者がこうしたデータを継続的に開示することは、業界全体にとって、自社のAI検索露出状況を相対的に把握するためのベンチマークとして機能する意義がある。

なぜこの調査が重要か

LLMO・GEOという概念自体が急速に一般化しつつある2026年現在、多くの企業が「AIにどう見られているか」という問いに直面している。しかし、AI検索における引用のされ方は、従来の検索エンジン最適化(SEO)の知見だけでは説明しきれない部分が多い。従来のSEOでは「検索順位」という単一の指標を軸に対策を組み立てることができたが、AI検索の世界では、プラットフォームごとに引用のロジックが異なり、さらに今回明らかになったように「件数の多さ」と「横断的な引用力」という、複数の異なる評価軸が存在する。

こうした複雑な状況下で、実測データに基づいた月次レポートは、感覚論や推測に頼らずに自社の立ち位置を把握するための貴重な材料になる。特に、除外基準(単一クライアント6割超のドメイン6,861件を除外するなど)を明示した上で分析されている点は、データの信頼性を担保する上で重要な設計だ。

業種別・サイトタイプ別の実務インパクト(続き)

先述のSaaS/BtoB、比較メディア、動画/UGC活用企業に加え、地域密着型のサービス業やBtoC小売業などにとっても、今回のレポートから読み取れる示唆は少なくない。例えばbiz.nuro.jpやebisumart.comのように、通常のオーガニック検索での上位表示がそのままAIOでの引用に直結しているサイトの存在は、「まずは基本的なSEO対策を徹底することが、結果としてAIO対策にもなる」という、遠回りに見えて着実な戦略の有効性を裏付けている。すべての企業がYouTubeのような特異なゼロクリック型の引用パターンを狙う必要はなく、自社の業種特性に応じて、オーガニック順位連動型・独立引用型のどちらの戦略が現実的かを見極めることが重要だ。

今後の見通し

LLM Insightの月次レポートは、7月号・8月号と2回連続で公開されており、今後も9月号以降の継続公開が期待される。月をまたいだ比較が可能になることで、単発の調査では見えない「順位変動の背景にある構造変化」がより明確になっていくだろう。例えば、今回google.comが3位に新規ランクインした背景には、Google AI Overviews自体の表示ロジックの変化や、Google関連サービス(Googleマップ、Google検索のヘルプページなど)が回答内で参照される機会が増えたことなどが考えられるが、これは今後複数月のデータが蓄積されることで、より確度の高い分析が可能になるはずだ。

同様に、boxil.jpのようにTOP5から一度外れたドメインが今後どう推移するか、あるいはsaas.imitsu.jpやnote.comのように新規ランクインしたドメインが定着するのか一過性なのかも、9月号以降の継続的なウォッチによって明らかになっていく。aiseo-llmo.comとしても、こうした月次データの推移を継続的に追いながら、実務担当者が自社のLLMO戦略を調整するための材料を提供していきたい。

なお、本調査の限界についても正直に触れておく必要がある。母集団はLLM Insightのクライアントが登録しているキーワード・プロンプト群に由来しており、日本のすべての検索クエリを代表するものではない。また、順位は月間のキーワード構成や各AIの回答挙動の変化に左右されるため、単月の変動だけで一喜一憂せず、複数月にわたるトレンドとして捉えることが望ましい。さらに、今回の計測対象にはGoogle AI ModeとClaudeが含まれていない点も留意が必要だ。これらのプラットフォームでの引用状況については、他の調査データと合わせて補完的に把握する必要があるだろう。

こうした限界を踏まえた上でなお、5プラットフォーム・187,483件という規模のデータに基づく月次レポートは、AI検索における引用のトレンドを掴む上で有用な一次情報源であり、AI検索最適化ガイドLLMO完全ガイドで解説している基本戦略と組み合わせて活用する価値がある。

よくある質問

Q1. 「AI検索 引用ドメインランキング」は誰が発表しているデータですか?

gens合同会社が運営する情報サイト「LLM Insight」が、2026年9月7日に月次レポートとして発表したデータです。

同レポートは月次シリーズとして継続的に公開されており、今回は2026年8月分(1〜31日)のデータを集計した8月号にあたります。前月の7月号も同様にLLM Insightから公開されており、月次比較のためにデータ収集方法(v2.0仕様)が7月・8月で統一されています。

Q2. 対象となったAIプラットフォームはどこですか?

ChatGPT、Gemini、Perplexity、Microsoft Copilot、Google AI Overviewsの5つです。Google AI ModeとClaudeは対象外です。

総計測件数187,483件のうち、Google AI Overviewsが91,392件(48.7%)と最大シェアを占め、以下Perplexity(44,556件・23.8%)、Gemini(28,240件・15.1%)、Microsoft Copilot(13,604件・7.3%)、ChatGPT(9,691件・5.2%)の順です。Google AI ModeとClaudeについては今回の計測対象に含まれていないため、これらのプラットフォームでの引用傾向は別途確認する必要があります。

Q3. 総合ランキング1位はどのドメインですか?

youtube.comです。7月号(8,268件)に続き8月号でも9,377件で首位を維持し、2か月連続の1位となりました。

ただし、youtube.comが掲載されているプラットフォームは5つ中4つにとどまっており、引用の大半(8,986件、全体の96%近く)がGoogle AI Overviews経由に集中しています。特定チャネルへの依存度が非常に高いという特徴があり、後述するAI横断ランキングでは上位に入っていません。

Q4. 「総合ランキング」と「AI横断ランキング」の違いは何ですか?

総合ランキングは5AI全体の引用件数の合計で順位づけしたもの、AI横断ランキングは5AIそれぞれの順位を同じ重みで平均し「どのAIでも満遍なく引用されるか」を測ったものです。両者は別の指標です。

例えば総合3位のgoogle.comはAI横断ランキングのトップ5には登場しません。引用の大半が単一チャネル(Google AI Overviews)に偏っているためです。逆に、総合5位のitreview.jpはAI横断ランキングで1位(スコア99.12)を獲得しており、全5AIで安定して引用されていることを示しています。どちらの指標を重視すべきかは、自社が狙うAIプラットフォームによって変わります。

Q5. 前月(7月号)からの主な変化は何ですか?

boxil.jp(7月5位)がTOP5から圏外に転落し、代わってgoogle.comが3位に新規ランクインしました。1位youtube.com、2位it-trend.jpの上位2つは変わっていません。

7月号のTOP5は「1.youtube.com、2.it-trend.jp、3.aspicjapan.org、4.itreview.jp、5.boxil.jp」で、6月から7月にかけては上位5ドメインの顔ぶれ自体に変化がありませんでした。8月号で初めて構造的な変化が生じたことになります。なお、boxil.jpは総合順位こそ圏外に落ちましたが、AI横断ランキングでは依然として4位(スコア93.31)を維持しており、AI検索全体での存在感が失われたわけではありません。

Q6. AI Overviewsでの引用は、通常のGoogle検索結果とどう関係していますか?

サイトによって傾向が大きく異なります。youtube.comやgoogle.comは通常検索結果と同時出現しない「ゼロクリック型」の引用が多く、biz.nuro.jpなどは通常検索の上位表示に連動して引用される「順位追従型」です。

具体的には、youtube.comのAIO引用8,986件のうち58.8%(5,289件)が通常検索結果との同時出現がありませんでした。一方でbiz.nuro.jpは同時出現率98.3%・平均通常順位2.88位と、通常のオーガニック順位とAIOでの引用が強く連動しています。この違いは、自社サイトがどちらのタイプに近いかによって、SEO対策とAIO対策の関係性の考え方が変わってくることを示しています。

Q7. 「Fan-out(追加検索)」とは何ですか?

AIがユーザーの1つの質問に回答する際、内部で複数回実施する追加の検索処理のことです。ChatGPTは平均5.68回、Geminiは平均4.47回の追加検索を行っていることが計測されました。

追加検索で扱われるテーマの内訳(母数22,615回)では、「製品・サービス探し」(23.3%)と「比較・選び方」(20.6%)で合計43.9%を占めており、ユーザーがAIに求める情報の多くが比較検討フェーズにあることを示しています。自社コンテンツを「比較・選び方」の切り口で整備することは、Fan-out検索で拾われやすくなる可能性があるという点で参考になります。

Q8. この調査データにはどんな限界がありますか?

母集団がLLM Insightのクライアント登録キーワード・プロンプト群に由来しており、日本の全検索クエリを代表するものではありません。また対象にGoogle AI ModeとClaudeは含まれていません。

順位は月間のキーワード構成や各AIの回答挙動の変化にも左右されるため、単月の変動のみで一喜一憂せず、複数月にわたる推移を継続的にモニタリングすることが推奨されます。

Q9. 自社サイトがAI横断的に引用されているかを自分で確認する方法はありますか?

ChatGPT・Gemini・Perplexity・Microsoft Copilot・Google AI Overviewsの5つに、自社の主要キーワードに関する想定質問を実際に入力し、回答文中に自社ドメインが引用されているかを手動で確認する方法があります。

これを月次で継続すれば、専門ツールを使わなくても自社なりの傾向値を把握できます。特に、単一のAIだけに引用が偏っていないか(総合ランキングでの強さ)と、複数のAIに満遍なく引用されているか(AI横断性)の両方の観点でチェックすることが重要です。

Q10. 「Know型」「一次情報型」「UGC型」とは何を指しますか?

レポートが示した、上位ドメインを分類する3つの情報タイプです。Know型は比較・選定情報(it-trend.jp、ASPICなど)、一次情報型は製品公式サイト(PTC、freeeなど)、UGC型は動画・投稿による利用像表現(YouTube、note.comなど)を指します。

この3分類は自社のコンテンツ資産を棚卸しする際の枠組みとして活用でき、多くの企業が一次情報型のコンテンツ整備に偏りがちな中、比較メディアへの掲載強化(Know型)やユーザーの声・動画コンテンツの整備(UGC型)を組み合わせることで、AI検索全体での引用機会を広げられる可能性があります。

関連記事

参考文献

  1. AI検索 引用ドメインランキング 2026年8月号LLM Insight(gens合同会社)(参照: 2026-09-07)
  2. AI検索 引用ドメインランキング 2026年8月号(プレスリリース)gens合同会社 / @Press(参照: 2026-09-07)
  3. AI検索 引用ドメインランキング 2026年7月号(前月比データ)LLM Insight(gens合同会社)(参照: 2026-09-07)

関連用語

  • Ahrefs

    Ahrefsは、シンガポール発の業界標準 SEO・被リンク分析ツール。世界最大規模の被リンクインデックスを持ち、競合分析・キーワード調査・サイト監査・コンテンツ分析を高精度で実行できます。月額99ドル〜。

  • キーワード

    キーワードとは、ユーザーが検索エンジンやChatGPT等のAI検索に打ち込む単語・フレーズ。SEO・LLMO両対策の出発点。ビッグ/ロングテール選定基準と無料ツールを使った選び方を初心者向けに解説します。

  • クエリ

    クエリとは、ユーザーが実際に検索窓に入力した検索語のこと。SEOで使う「キーワード」と似ていますが、キーワードが事前に狙う言葉、クエリが実際に打たれた言葉、というニュアンスの違いがあります。

  • ChatGPT検索

    ChatGPT検索(ChatGPT Search)とは、OpenAIが2024年10月に公開した、ChatGPTがWebをリアルタイム検索して出典付きで回答する機能。Perplexityと並ぶLLMO主戦場のひとつです。

  • Perplexity

    Perplexity(パープレキシティ)とは、回答に必ず引用元(出典URL)を表示する米国発のAI検索エンジン。2022年公開で急速に成長中。LLMOで「サイテーションされる」最初の主戦場として重視されています。

  • ランキング

    ランキングとは、検索結果のどの位置(何位)にページが表示されるかを決める仕組み・順位そのもの。Googleは200以上の要素を組み合わせてランキングを決めていると言われています。

関連記事

最新記事

LLMモニタリングツール比較7選|おすすめ・料金と順位の実測【2026年9月】 (llm-monitoring-tools-comparison-2026)
ツール比較基礎2026/06/07

LLMモニタリングツール比較7選|おすすめ・料金と順位の実測【2026年9月】

LLMモニタリングツール比較7選の料金実額に加え、検索上位10ページと本記事を自社スコアラーで採点した2026年9月19日の実測(LLMOスコアと検索順位は逆相関)を掲載。無料で足りる範囲と有料化の境界線を数値で示す。

#LLMモニタリングツール#LLMモニタリングツール おすすめ#モニタリングツール比較検討#AI回答引用
YouTube SEO 完全ガイド 2026 年版|雑学ショートから学べる検索流入の作り方 (youtube-seo-2026-japan-complete-guide)
SEO基礎2026/05/23

YouTube SEO 完全ガイド 2026 年版|雑学ショートから学べる検索流入の作り方

YouTube SEO の本質を 2026 年のアルゴリズムと AI 検索の文脈で再整理。雑学ショート動画運営者でも実践できる KW 選定・タイトル・サムネ・視聴維持率・Shorts と LLMO 引用の関係まで網羅した日本語ピラーガイド。

#YouTube SEO#YouTube アルゴリズム#YouTube Shorts#雑学チャンネル
YouTube 収益化 完全ガイド【2026 年版】6 つの収益モデルと月収目安の現実 (youtube-monetization-complete-guide-2026)
ツール比較基礎2026/05/17

YouTube 収益化 完全ガイド【2026 年版】6 つの収益モデルと月収目安の現実

YouTube 収益化を 2026 年時点の全 6 モデル(広告・Shorts・メンバーシップ・スパチャ・アフィリエイト・スポンサー)で体系化。YPP 条件・ジャンル別 RPM・月収目安まで、収益化までの最短ロードマップを解説。

#YouTube収益化#YPP#YouTubeパートナープログラム#RPM
動画 SEO 完全ガイド 2026|YouTube・Google・AI 検索の三軸最適化 (video-seo-complete-guide-2026)
ツール比較基礎2026/05/10

動画 SEO 完全ガイド 2026|YouTube・Google・AI 検索の三軸最適化

動画 SEO を YouTube・Google 検索・AI 検索の三軸で網羅。VideoObject スキーマ・字幕・動画サイトマップ・計測ツールまで25,000字で解説する2026年版決定ガイド。

#動画SEO#VideoObject#YouTube#AI検索
無料キーワード調査ツール完全比較 12 選【2026 年版・トラフィック獲得用ハブ】 (free-keyword-tools-master-comparison-2026)
ツール比較基礎2026/05/09

無料キーワード調査ツール完全比較 12 選【2026 年版・トラフィック獲得用ハブ】

無料で使えるキーワード調査ツール 12 選を徹底比較。サジェスト精度・検索ボリューム精度・日本語対応を 3 軸で評価し、個人ブロガーから BtoB SaaS まで用途別の最強組み合わせを解説します。

#無料キーワードツール#キーワード調査#比較#2026
Ahrefs無料版でできること・できないこと|エイチレフス無料の全上限【2026年9月】 (ahrefs-free-alternatives)
ツール比較基礎2026/05/06

Ahrefs無料版でできること・できないこと|エイチレフス無料の全上限【2026年9月】

Ahrefs無料版の上限と料金を2026年9月時点の実額で整理。できること・できないこと・0円代替7選。

#Ahrefs#Ahrefs無料#エイチレフス#代替ツール

LLMO カテゴリの他の記事