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ChatGPTユーザーの95%はGoogleも併用、外部クリックは18.8pt減──検索行動の研究が示す実態 (llmo-news-20260907-ai-search-not-replacing-google-studies)
LLMO最終更新日: 2026年9月18日初出: 2026年9月7日

ChatGPTユーザーの95%はGoogleも併用、外部クリックは18.8pt減──検索行動の研究が示す実態

Search Engine JournalがBocconi大学・ジョージタウン大学・arXiv論文など複数の学術研究を統合。ChatGPT利用者の95%がGoogleも併用する一方、同じユーザーの検索頻度は最大17%減、外部クリックも18.8ポイント減少している実態を報じた。

#LLMO#AI検索#ChatGPT#AI Overviews#AI Mode#検索行動データ#GEO
目次(32項目)

「95%が併用」でも検索頻度は最大17%減──AI検索とGoogleの関係、4つの研究が示す矛盾した実態

要点: Search Engine Journalが2026年9月4日、Similarweb・Bocconi大学・ジョージタウン大学・arXivの査読前論文という複数の一次調査を横断的に整理した記事を公開した。「ChatGPTユーザーの95%はGoogleも併用しており、AIが検索を置き換えているわけではない」という結論の一方で、Bocconi大学の研究は同じユーザーの検索クエリ数が最大17.0%減少していることを示し、Wangらの無作為化フィールド実験は外部サイトへのクリックスルー率が18.8ポイント減少したことを明らかにした。 「利用者の重複(リーチ)」と「検索頻度・クリックの減少(深さ)」は別の指標であり、両方が同時に成立し得るというのがこの記事の核心的な論点である。 最終更新日: 2026年9月7日

何が起きたのか

SEJ記事が突きつけた「一見矛盾する2つの事実」

Search Engine Journalの記者Matt G. Southern氏が2026年9月4日に公開した記事「People Aren't Leaving Google For AI. They're Using Both.」は、AI検索の台頭がGoogle検索に与える影響について、単発の調査結果だけでなく複数の学術研究・業界レポートを横断的に突き合わせるという珍しいアプローチを取っている。

記事が提示する構図はシンプルだ。一方では「AIチャットの利用者は依然としてGoogle検索も使い続けている」というデータがあり、他方では「その同じ利用者の検索行動そのもの(頻度・クリック数)が明確に減少している」というデータがある。この2つは矛盾しているように見えるが、実際には測定している対象が異なるだけであり、両方とも真実であり得る。SEJ記事はこの点を丁寧に切り分けて解説している点で、単なる「AIが検索を殺すか否か」という二項対立の議論から一歩踏み込んだ内容になっている。

Similarweb調査:「95%が併用」「AI経由訪問は前年比70%増」

まず「置き換えではなく併用」という結論の主な根拠となっているのが、Similarwebが公開したGEO(生成エンジン最適化)レポート「Is AI Replacing Search?」だ。同レポートは2025年9月から2026年5月までの期間を対象に分析を行っており、以下の2点を主要な発見として挙げている。

  • ChatGPTユーザーの**95%**がGoogleも併用している
  • AI経由の訪問(visits)は前年比で70%増

Similarwebはこれらのデータから、「AIが検索を置き換えるのではなく、検索の上に追加されている(AI is being added on top of search, not replacing it)」と結論づけている。この「95%」という数字は非常にインパクトが強く、SNSやマーケティング業界で広く引用されてきた。実際、多くのメディア・ブログが「AIは検索を奪わない」という論調の根拠としてこの数値を使ってきた経緯がある。

しかし、SEJ記事が指摘する重要なポイントは、この「95%」が示しているのはあくまで「利用者の重複範囲(リーチのオーバーラップ)」であり、「検索という行為そのものの頻度や深さがどう変化したか」を測定したものではない、という点だ。同じユーザーが両方のサービスを「使ったことがある」という事実と、そのユーザーが以前と同じ頻度・同じ深さで検索を行っているかどうかは、まったく別の問いである。この区別を明確にした上で、SEJ記事は次の学術研究群を紹介している。

Bocconi大学の研究:同じユーザーの検索クエリ数が最大17.0%減少

SEJ記事が最も詳細に扱っているのが、Bocconi大学の研究者らによる分析だ。この研究はComscore社が保有する米国デスクトップ・クリックストリームデータを用い、2024年10月から2025年7月までの期間を分析対象としている。

手法として特徴的なのは、「ChatGPT Searchへのアクセスを新たに獲得した世帯」と「そうした機能を利用していない世帯」を比較する、いわゆる差分の差分(difference-in-differences)に近いアプローチを取っている点だ。単純に「ChatGPT利用者と非利用者」を比較するのではなく、ある世帯がChatGPT Searchを使い始めるという「変化」が起きた前後で、その世帯の検索行動がどう変わったかを、変化が起きなかった世帯と比較することで、より因果関係に近い推定を試みている。

その結果は次の通りだ。

  • 従来型の検索クエリ数が、平均で週3.14件減少(介入前の平均週33.51件からの約9.4%減)
  • 20週間経過後には、この減少率が17.0%まで拡大
  • ログイン済みユーザーに限定した比較では、平均4.9%の減少
  • カテゴリ別の参照(リファラル)減少率は、学術系サイトが**-32.8%、リファレンス(辞書・事典等)サイトが-26.5%、開発者向けサイトが-15.1%、ニュースサイトが-13.4%**

さらに注目すべきは、この研究が「Googleへの到達率(49%)自体はChatGPT Search利用開始の前後で維持されている」ことも同時に示している点だ。つまり、ユーザーは相変わらずGoogleにたどり着いてはいるものの、そこに至るまでの検索クエリの「回数」そのものが減っている、というのがBocconi大学の研究が導き出した解釈である。この論文はarXivで公開されている査読前(プレプリント)論文であり、正式な査読を経た結論ではない点には留意する必要がある。

ジョージタウン大学(Gholami氏ら)の研究:一時的な増加の後に低下するパターン

2本目の学術研究として紹介されているのが、Samira Gholami氏らジョージタウン大学の研究チームによる分析だ。この研究もComscoreの米国デスクトップユーザーデータを用いており、4,394人のユーザーを対象に、2023年8月から2024年1月までの期間でLLM(大規模言語モデル)の採用状況を追跡している。

この研究が発見したのは、単調な減少ではなく、より複雑な時間的パターンだ。具体的には、チャットボットの利用を開始した直後には、週あたりに訪問するサイト数が一時的に増加し、従来型の検索活動もまた一時的に増加するという現象が観察された。しかしその後、時間の経過とともにこれらの指標は低下していく、という推移をたどっている。

この研究チームはさらに、2025年に実施した補完的なフィールド調査(Chromeユーザー308人が対象)も併せて報告している。この調査では、ユーザーのセッションを「LLMと検索を組み合わせて使うセッション」と「LLM単独で完結するセッション」に分類し、それぞれの行動傾向を比較した。結果として、

  • 「LLM+検索」を組み合わせたセッションは、より長く、より多くのサイトを閲覧する傾向がある
  • 「LLM単独」のセッションは、より短く、閲覧範囲も限定的である

ことが明らかになった。この結果は、LLM利用が必ずしも情報収集行動全体を縮小させるわけではなく、むしろ「LLMと検索を併用する層」ではより深い情報探索が行われている可能性を示唆している一方、「LLM単独で完結してしまう層」では外部サイトへの訪問機会がそもそも生まれていないことも意味する。この論文もジョージタウン大学のワーキングペーパーとして公開されているものであり、査読を経た確定的な結論という位置づけではない。

Wangらのフィールド実験:AI Mode強制利用で外部クリックが18.8ポイント減少

SEJ記事が最も直接的な「因果関係」の証拠として位置づけているのが、Wang氏らによる無作為化フィールド実験だ。この論文は2026年8月18日にarXivで発表されたもので、米国のChromeユーザー1,100人を対象にしている。

実験デザインは以下の通りだ。まず3日間、参加者の通常の検索行動をベースラインとして観測する。その後1週間の介入期間を設け、参加者を無作為に3つのグループに割り当てる。

  1. 標準的なGoogle検索を使い続けるグループ
  2. Google検索でAI Overviewsを非表示にするグループ
  3. Google検索でAI Modeの利用を強制されるグループ

この無作為割当という実験デザインは、Bocconi大学やジョージタウン大学の研究が依拠する観察データ(実際にユーザーが自発的に選択した利用パターンを事後的に分析する手法)とは方法論的に異なり、より強い因果関係の主張を可能にする設計になっている。

「AI Mode強制利用」グループを「標準Google」グループと比較した結果は、次の通り報告されている(いずれも95%信頼区間付き)。

  • 外部サイトへのクリックスルー率が18.8ポイント減少(95%信頼区間: -22.2〜-15.3)
  • 1日あたりの検索セッション数が0.92件減少(ベースラインの4.0件から)
  • 1セッションあたりの滞在時間は0.43分増加
  • ニュースサイトへのクリックが12.5ポイント減少
  • Redditへのクリックが21.2ポイント減少
  • Wikipediaへのクリックが9.9ポイント減少
  • 代替検索エンジン(Bing/DuckDuckGo/Yahoo等)の利用が11.2ポイント増加

さらに主観的な評価としても、AI Mode利用者309人のうち47人(約15.3%)が「特定のウェブサイトにたどり着くのが困難になった」と回答しており、信頼度・満足度・有用性についての主観評価もAI Mode群で全般的に低下したと報告されている。

この実験の結果は、Bocconi大学の観察研究が示した「検索クエリ数の減少」というパターンと方向性が一致しており、しかも無作為割当という実験デザインによって、単なる相関ではなく因果関係に近い形でその効果を裏付けている点で重要だ。ただしこの論文もarXivに掲載された査読前論文であり、正式な学術誌での査読プロセスを経たものではない。

Google自身の主張:「検索クエリ量は記録的水準」

これら3つの研究が示す「同じユーザー単位での検索頻度・クリックの減少」という実態に対し、Google自身は異なる立場のメッセージを発信している。2026年5月19日に開催されたGoogle I/O 2026において、Googleは「検索クエリ量が記録的水準にある」と発表した。ただし、この発言を裏付ける具体的なベースライン数値や、AI Overviews・AI Modeの影響を除いた純粋な「検索」の定義がどこまでを含むのかといった詳細は非開示となっている。

この点についてSEJ記事は、Googleの「クエリ量は記録的水準」という主張と、査読前とはいえ複数の独立した研究チームが異なる手法・異なるデータソースを用いて一貫して報告している「同じユーザー単位で見た検索頻度・クリックの減少」という実態との間に、緊張関係があることを指摘している。両者が矛盾なく両立する可能性(たとえば、新規ユーザーの増加によって全体のクエリ総量は伸びている一方、既存の個々のユーザーの検索頻度は下がっている、といったシナリオ)は排除できないが、Google側から具体的な内訳データが示されていない以上、外部からその真偽を検証することはできない状態にある。

補足データ:Pew Researchの世論調査

SEJ記事はあわせて、Pew Research Centerが2026年6月に公開した調査「Americans and AI 2026」にも言及している。同調査は米国の一般利用者を対象にした世論調査であり、AIチャットボットやスマートデバイスに対する米国民の意識・利用実態を扱ったものだ。この調査は上記4つの行動データ分析とは性質が異なり、あくまで利用者の自己申告に基づく意識調査である点には注意が必要だが、AI利用の広がりに関する社会的背景を補足する材料として引用されている。

3つの学術論文はすべて「査読前」である点に注意

ここで改めて強調しておきたいのは、Bocconi大学の研究、ジョージタウン大学(Gholami氏ら)の研究、Wang氏らのフィールド実験という3本の学術研究は、いずれもarXivないし大学のワーキングペーパーとして公開された査読前(プレプリント)論文である、という点だ。査読前論文は、専門家による事前の査読プロセスを経ていないため、方法論上の欠陥や解釈上の問題が後から指摘される可能性が、査読済み論文と比べて相対的に高い。

また、これらの研究にはいずれも分析対象の限界がある。3研究とも米国のデスクトップ環境のユーザー行動データを主な分析対象としており、モバイルアプリ経由の利用、ChatGPTやGeminiのAPI経由での利用、デスクトップアプリ内でのAI機能の利用などは分析の射程外である。したがって、これらの研究結果を「AI検索利用者全体」に一般化する際には、この対象範囲の限定性を踏まえた慎重な解釈が必要になる。

aiseo-llmo.com ユーザーへの影響

「利用者の重複」と「頻度・クリックの減少」は別の指標である

今回のSEJ記事が日本のマーケター・SEO担当者に投げかける最も重要な論点は、「AIチャットの利用者の大半がGoogleも併用している」という事実と、「その利用者の検索頻度・外部サイトへのクリックが減少している」という事実は、両立し得る別々の指標だという点だ。

これまで業界内では「ChatGPTユーザーの95%がGoogleも使っている」という類のデータが、「だからAI検索の台頭を過度に恐れる必要はない」という論調の根拠として引用されることが少なくなかった。しかし、Bocconi大学の研究が示す「クエリ数が最大17.0%減少」、Wangらの実験が示す「外部クリックが18.8ポイント減少」という数値は、たとえ利用者の重複率が高くとも、個々のユーザーが検索エンジンやウェブサイトに対して行う行動の「量」自体は明確に縮小し得ることを示している。

マーケターがトラフィック戦略やコンテンツ投資の意思決定を行う際、「AI利用者の大半はまだGoogleも使っているから大丈夫」という単純化した理解にとどまっていると、実際に進行しつつある「検索・クリックの量的な縮小」という構造変化を見落とすリスクがある。両方の指標を同時に注視する視点が必要だ。

カテゴリ別の影響差が大きい――「情報提供型」サイトへの打撃が深刻

Bocconi大学の研究が示したカテゴリ別の参照減少率(学術系-32.8%、リファレンス系-26.5%、開発者向け-15.1%、ニュース-13.4%)と、Wangらの実験が示したサイト別クリック減少率(ニュース-12.5pt、Reddit-21.2pt、Wikipedia-9.9pt)を重ね合わせると、共通する傾向が浮かび上がる。それは、単一の明確な「答え」を提供することを主目的とするサイト――辞書・百科事典的なリファレンスサイト、ニュース記事、Q&A・コミュニティ型のRedditのようなサイト、技術的な仕様を調べるための開発者向けサイト――が、AI検索によって最も大きな打撃を受けやすいという点だ。

これらのサイトは、ユーザーが求めている情報が比較的定型化されており、AIチャットが要約・生成した回答だけでニーズが満たされてしまいやすい。逆に言えば、こうした「情報提供型」コンテンツを主軸とするメディア・パブリッシャー、専門辞典・用語集サイト、技術ドキュメントサイトを運営する事業者にとっては、今回の複数研究が示すデータは、既に進行している構造変化を裏付ける重要な参考情報となる。

一方で、SEJ記事および引用元の各研究では、EC・マーケットプレイス系サイトへの影響についての具体的な減少率は明示されていない。単純な情報提供では完結せず、比較検討・購入・予約といった「行動」を伴うサイトについては、AIチャットの回答だけで完結しにくい可能性があり、相対的に影響が限定的である可能性が示唆されるが、これはあくまで今回のデータの傾向からの推測であり、確定的な結論ではない点には注意されたい。

ブランド検索という「新しいコンバージョンパス」の重要性

Wangらの実験が示した「代替検索エンジンの利用が11.2ポイント増加」「AI Mode利用者の15.3%が特定サイトにたどり着きにくくなったと回答」というデータは、ユーザーが従来の検索結果一覧からリンクをたどってサイトに到達するという経路そのものが摩耗しつつある可能性を示している。

このような状況下で相対的に重要性を増すのが、「ブランド名そのものを指名して検索・言及される」という経路、いわゆるブランド検索・ブランド言及の獲得だ。AIチャットの回答内で自社サービス・商品が固有名詞として引用・言及される状態を作れれば、ユーザーがその後、指名検索(ブランド名での直接検索)や直接アクセスによってサイトを訪れる可能性が生まれる。これはAI Overviews・AI Mode経由のクリックが減少する中でも比較的失われにくい導線であり、既存記事「ChatGPT経由のブランドリンク参照増加と最適化」で扱っているような、AIに引用されるためのコンテンツ最適化(GEO/LLMO)の重要性が、今回のデータからも改めて裏付けられる形になっている。

業種・サイトタイプ別に見た実務インパクト

辞書・用語集・ハウツー系メディアは、Bocconi研究の「リファレンスサイト-26.5%」というデータが示す通り、最も直接的な打撃を受けやすいカテゴリと考えられる。単純な定義・手順の説明だけでなく、独自の一次情報・実体験・データに基づく分析など、AIの要約だけでは代替しきれない付加価値をコンテンツに持たせることが、これまで以上に重要になる。

ニュース・報道メディアについては、Bocconi研究(-13.4%)とWangらの実験(-12.5pt)の両方で二桁の減少が確認されている。速報性の高いストレートニュースほどAIの要約で完結されやすいと考えられ、独自取材・分析・解説記事といった付加価値の高いコンテンツへのシフトが求められる可能性がある。

BtoB・SaaS系サービスは、開発者向けサイトへの参照が-15.1%減少したというBocconi研究のデータを踏まえると、技術ドキュメント・API仕様等のコンテンツがAIの回答内で要約・引用されるだけで完結してしまうリスクを認識しておく必要がある。一方で、こうしたBtoB分野こそブランド指名検索・製品名での直接言及が商談化に直結しやすい領域でもあるため、ブランド言及のモニタリング体制を整える優先度は相対的に高いと言える。

EC・マーケットプレイス系は、今回のデータの中で明示的な影響数値は示されていないものの、比較検討・購入という「行動」を伴う検索行動がAIチャットだけで完結しにくいと仮定すれば、相対的な影響は限定的である可能性がある。ただし、これはあくまで推測の域を出ない点には留意が必要だ。

今すぐできる対応策

以上のデータを踏まえ、aiseo-llmo.comユーザーが今すぐ着手できる実務的な対応策を整理する。

1. GA4で「検索セッションの頻度」自体の推移をモニタリングする

今回のBocconi大学・Wangらの研究が示した「検索クエリ数・検索セッション数そのものの減少」という視点は、多くのサイト運営者のGA4分析では見落とされがちだ。トラフィックの絶対数だけでなく、以下の指標を継続的に追跡することを推奨する。

  • GA4の「探索」レポートで、オーガニック検索経由のセッション数の推移を月次・週次で追跡し、単純なページビュー数ではなく「セッション頻度」の変化に着目する
  • 検索クエリ経由のランディングページ到達から、サイト内での回遊(ページ/セッション)・平均エンゲージメント時間がどう変化しているかを確認する。Wangらの実験では「AI Mode強制利用群で1セッションあたりの滞在時間が0.43分増加した」ことも報告されており、訪問数が減っても1回あたりの深さが増える可能性がある点も踏まえて評価する
  • 既存記事「AI経由リファラルのGA4計測設定」「GA4でのAIアシスタントチャネル・AI流入計測」の手順を参考に、AI Assistantチャネル・カスタムチャネルグループの設定を見直し、AI経由セッションの捕捉率を高める

2. サイトのカテゴリ・コンテンツタイプ別にリスク評価を行う

Bocconi研究・Wangらの実験が示すカテゴリ別の影響差(学術-32.8%、リファレンス-26.5%、開発者-15.1%、ニュース-13.4%/-12.5pt、Reddit的コミュニティ-21.2pt、Wikipedia的事典-9.9pt)を参考に、自社サイト内のコンテンツを以下のようなリスク区分でセルフチェックすることを推奨する。

  • 「単一の明確な答え」で完結してしまう定義・用語解説・ハウツー系コンテンツを洗い出し、AIの要約だけでは代替できない独自データ・一次情報・専門家の見解を追加できないか検討する
  • ニュース・速報系コンテンツについて、単純な事実の羅列に留まらない独自の分析・解説・一次取材の比重を増やす方向性を検討する
  • EC・比較検討・予約等の「行動」を伴うページについては、相対的に影響が限定的である可能性を踏まえつつも、AIの回答内で自社の商品・サービスが比較対象として正しく引用されているかを定期的に確認する

3. ブランド指名検索・AI言及のモニタリング体制を構築する

AI経由のクリックが減少する一方で相対的に重要性を増すブランド検索について、以下のような具体的なモニタリング手順を導入する。

  • Google Search Consoleでブランド名を含む検索クエリのフィルタを設定し、指名検索の表示回数・クリック数・掲載順位の推移を月次で追跡する
  • GA4でブランド名を含む検索クエリからの流入セッションをセグメントとして保存し、通常のオーガニック検索セッションと比較した際のコンバージョン率・エンゲージメント率の違いを定点観測する
  • 主要なAIチャットサービス(ChatGPT、Gemini、Perplexity等)に定期的に自社ブランド名・主力商品名を含むプロンプトを入力し、回答内で自社が正確に・好意的に言及されているか、競合と比較してどう扱われているかを手動でサンプリング調査する。頻度としては月1回程度の定点観測から始め、AI Overviews・AI Modeの機能アップデートのタイミングで臨時チェックを行う運用が現実的である
  • 上記のモニタリング結果を、GA4上の指名検索セグメントの推移と突き合わせ、「AI上での言及が増えた時期にブランド検索・直接アクセスが増えているか」という相関を確認する

4. 「同じユーザーの行動変化」という視点でKPIを再設計する

今回紹介した研究群の重要な示唆は、「新規ユーザーの獲得数」や「トラフィックの絶対数」だけでなく、「既存ユーザー1人あたりの検索頻度・クリック頻度がどう変化しているか」という視点を持つことの重要性だ。

  • 可能であれば、リピーター・会員ユーザー等、継続的に識別可能なユーザーセグメントを対象に、月次の訪問頻度・検索クエリ数(サイト内検索がある場合はその利用頻度)の推移を追跡し、コホート単位での変化を可視化する
  • マーケティング施策の効果測定において、「新規流入数の増減」だけでなく「既存顧客のエンゲージメント頻度の増減」を独立したKPIとして経営層への報告に組み込む

5. Alphabetの決算発表など、今後の一次情報源を継続的にウォッチする

Googleが2026年5月のI/O 2026で「検索クエリ量は記録的水準」と発表した一方、具体的な裏付けデータは開示されていない。今後の動向を判断する上で重要な一次情報源として、以下のタイミングを注視しておきたい。

  • Alphabetの2026年10月の決算発表・決算説明会において、「クエリ成長」に関するより具体的な根拠(検索クエリの絶対数、AI Overviews・AI Mode利用による内訳等)が示されるかどうかを確認する
  • 今回紹介した3つの査読前論文(Bocconi大学、ジョージタウン大学、Wangらの実験)が、その後正式な学術誌に掲載される際に、査読プロセスを経て結論に修正が加えられていないかを確認する

よくある質問

Q1. 「ChatGPTユーザーの95%がGoogleも使っている」という数字と「検索が減っている」という研究結果は矛盾しないのですか。

矛盾しない。前者は利用者の重複範囲(リーチ)、後者は同じユーザーの検索頻度・深さの変化であり、測定対象が異なる。

Similarwebの95%という数値は、「ChatGPTを使ったことがあるユーザーのうち、Googleも使ったことがある人の割合」という利用者の重複を示すものである。一方でBocconi大学の研究やWangらの実験が示しているのは、その同じユーザーが実際に行う検索の「回数」やクリックの「頻度」が、時間の経過とともにどう変化したかという別の指標だ。利用者の重複率が高くても、個々の行動量が縮小することは論理的に十分あり得る。

Q2. Bocconi大学の研究における「検索クエリ数の減少」は具体的にどの程度ですか。

介入前平均週33.51件から週3.14件減少(約9.4%減)、20週後には減少率が17.0%まで拡大した。

この研究は、ChatGPT Searchへのアクセスを新たに獲得した米国の世帯と、そうでない世帯を比較する形で分析されており、ログイン済みユーザーに限定した比較では平均4.9%の減少という、やや小さい数値も報告されている。いずれもComscore社の米国デスクトップ・クリックストリームデータ(2024年10月〜2025年7月)に基づく。

Q3. Wangらのフィールド実験ではどのような結果が報告されていますか。

AI Mode強制利用群は標準Google群と比べ、外部クリックスルー率が18.8ポイント減少(95%信頼区間: -22.2〜-15.3)した。

このほか、1日あたりの検索セッション数が0.92件減少(ベースライン4.0件)、1セッションあたりの滞在時間は0.43分増加、ニュースサイトへのクリックが12.5ポイント減少、Redditへのクリックが21.2ポイント減少、Wikipediaへのクリックが9.9ポイント減少、代替検索エンジンの利用が11.2ポイント増加という結果が報告されている。米国のChromeユーザー1,100人を対象に、3日間のベースライン観測後、1週間の無作為割当介入を行うという実験デザインが取られた。

Q4. どのカテゴリのサイトが最も大きな影響を受けていますか。

学術系サイト・リファレンス(辞書・事典)サイト・ニュースサイト・コミュニティ系サイトなど、「情報提供型」のサイトへの影響が大きい。

Bocconi大学の研究では、学術系サイトへの参照が-32.8%、リファレンスサイトが-26.5%、開発者向けサイトが-15.1%、ニュースサイトが-13.4%減少したと報告されている。Wangらの実験でも、ニュースサイト-12.5pt、Reddit-21.2pt、Wikipedia-9.9ptというクリック減少が確認されており、両研究で「答えが定型化しやすい情報提供型サイト」への打撃が共通して大きいことが示されている。

Q5. Googleの「検索クエリ量は記録的水準」という発表と、今回の研究結果はどう整合するのですか。

現時点では整合性を検証できるだけの具体的な内訳データがGoogle側から開示されていない。

Googleは2026年5月19日のGoogle I/O 2026で「検索クエリ量が記録的水準にある」と発表したが、具体的なベースライン数値やAI機能利用分の内訳は非開示のままだ。全体のクエリ総量が新規ユーザー増加等で伸びる一方、既存ユーザー個々の検索頻度は下がる、というシナリオも理論上は両立し得るが、これを裏付ける一次データは現時点で示されていない。

Q6. 今回紹介された学術研究は信頼できるものですか。

いずれも査読前(プレプリント)論文であり、正式な学術誌の査読プロセスを経たものではない点に留意が必要である。

Bocconi大学の研究、ジョージタウン大学(Gholami氏ら)の研究、Wang氏らのフィールド実験の3本はいずれもarXivまたは大学のワーキングペーパーとして公開されたものだ。査読前論文は今後の査読過程で方法論上の指摘や結論の修正が入る可能性があり、確定的な学術的コンセンサスとして扱うことはできない。ただし、異なるデータソース・異なる手法(観察研究と無作為化実験)を用いた複数の研究が方向性の一致した結果を示している点は、一定の重みを持つ材料と言える。

Q7. これらの研究はモバイルアプリやAI機能内蔵ブラウザでの利用も対象にしていますか。

含まれていない。3研究とも主に米国デスクトップ環境のユーザー行動データを分析対象としている。

ChatGPTやGeminiのモバイルアプリ経由の利用、API経由での利用、デスクトップアプリ内蔵のAI機能の利用などは、いずれの研究の分析対象にも含まれていない。したがって、モバイル中心のユーザー行動やアプリ内AI機能の影響については、今回のデータだけでは判断できない点に注意が必要だ。

Q8. 日本語サイトの運営者は、今回の研究結果をどう受け止めればよいですか。

いずれの研究も米国のユーザー・データを対象にしたものであり、日本語圏の固有データは示されていない点に注意しつつ、構造的な傾向は参考にできる。

検索クエリ数の減少幅やカテゴリ別の影響度合いといった具体的な数値は米国市場のものであり、そのまま日本語圏に当てはめることはできない。ただし、「AI検索利用者の重複率の高さ」と「検索頻度・クリックの縮小」が両立し得るという構造そのものは、AIチャットの技術的な仕組みに起因する部分が大きく、言語圏を問わず類似の傾向が生じる可能性は考えられる。自社サイトの実データをGA4・Search Consoleで継続的に確認することが最も確実な判断材料になる。

Q9. マーケットプレイス系・EC系サイトへの影響はどの程度ですか。

今回紹介された研究群では、EC・マーケットプレイス系サイトに特化した具体的な減少率は明示されていない。

Bocconi大学の研究やWangらの実験が示すカテゴリ別データは、学術・リファレンス・ニュース・開発者向け・Reddit・Wikipediaといった「情報提供型」サイトが中心であり、購入・予約といった「行動」を伴うECサイトについての具体的な数値は報告されていない。比較検討や購入完了にはAIチャットの回答だけでは完結しにくい要素が多いと推測されるが、これはあくまで一般論であり、業種・商材によって実際の影響は異なり得る点に留意が必要だ。

Q10. 今後、この論点についてどのような動きを注視すべきですか。

Alphabetの2026年10月決算発表で「クエリ成長」の具体的根拠が示されるかどうかが一つの注目点である。

また、今回紹介した3つの査読前論文が今後正式に学術誌へ掲載される過程で、査読を経た結論の修正・補強が行われるかどうかも継続的にウォッチすべきポイントだ。あわせて、自社サイトのGA4・Search Consoleデータにおいて、指名検索・ブランド言及の推移とオーガニック検索セッションの頻度の推移を並行して追跡し、今回の研究が示す傾向が自社にも当てはまっているかを独自に検証していくことが実務上重要になる。

関連記事

参考文献

  1. People Aren't Leaving Google For AI. They're Using Both.Search Engine Journal(参照: 2026-09-07)
  2. Is AI Replacing Search? (Similarweb GEO report)Similarweb(参照: 2026-09-07)
  3. Bocconi University study (arXiv)arXiv(参照: 2026-09-07)
  4. Beyond Search (Gholami et al., Georgetown University)Georgetown University(参照: 2026-09-07)
  5. Wang et al. field experiment (arXiv)arXiv(参照: 2026-09-07)
  6. Americans and AI 2026: Chatbots, Smart Devices and Views on ImpactPew Research Center(参照: 2026-09-07)
  7. Sundar Pichai keynote, Google I/O 2026Google(参照: 2026-09-07)

関連用語

  • クエリ

    クエリとは、ユーザーが実際に検索窓に入力した検索語のこと。SEOで使う「キーワード」と似ていますが、キーワードが事前に狙う言葉、クエリが実際に打たれた言葉、というニュアンスの違いがあります。

  • グラウンディング

    グラウンディングとは、LLMの回答を信頼できる外部情報源(Web・社内文書)に「接地」させて、ハルシネーション(嘘)を防ぐ仕組み。RAGはグラウンディングの代表的な実装方法です。

  • コンバージョン

    コンバージョンとは、サイト訪問者がサイト運営者の望むアクション(購入・問い合わせ・登録など)を完了すること。SEOの最終ゴールはアクセス数ではなくコンバージョン数を増やすことです。

  • ChatGPT検索

    ChatGPT検索(ChatGPT Search)とは、OpenAIが2024年10月に公開した、ChatGPTがWebをリアルタイム検索して出典付きで回答する機能。Perplexityと並ぶLLMO主戦場のひとつです。

  • Perplexity

    Perplexity(パープレキシティ)とは、回答に必ず引用元(出典URL)を表示する米国発のAI検索エンジン。2022年公開で急速に成長中。LLMOで「サイテーションされる」最初の主戦場として重視されています。

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LLMモニタリングツール比較7選の料金実額に加え、検索上位10ページと本記事を自社スコアラーで採点した2026年9月19日の実測(LLMOスコアと検索順位は逆相関)を掲載。無料で足りる範囲と有料化の境界線を数値で示す。

#LLMモニタリングツール#LLMモニタリングツール おすすめ#モニタリングツール比較検討#AI回答引用
YouTube SEO 完全ガイド 2026 年版|雑学ショートから学べる検索流入の作り方 (youtube-seo-2026-japan-complete-guide)
SEO基礎2026/05/23

YouTube SEO 完全ガイド 2026 年版|雑学ショートから学べる検索流入の作り方

YouTube SEO の本質を 2026 年のアルゴリズムと AI 検索の文脈で再整理。雑学ショート動画運営者でも実践できる KW 選定・タイトル・サムネ・視聴維持率・Shorts と LLMO 引用の関係まで網羅した日本語ピラーガイド。

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YouTube 収益化 完全ガイド【2026 年版】6 つの収益モデルと月収目安の現実 (youtube-monetization-complete-guide-2026)
ツール比較基礎2026/05/17

YouTube 収益化 完全ガイド【2026 年版】6 つの収益モデルと月収目安の現実

YouTube 収益化を 2026 年時点の全 6 モデル(広告・Shorts・メンバーシップ・スパチャ・アフィリエイト・スポンサー)で体系化。YPP 条件・ジャンル別 RPM・月収目安まで、収益化までの最短ロードマップを解説。

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動画 SEO 完全ガイド 2026|YouTube・Google・AI 検索の三軸最適化 (video-seo-complete-guide-2026)
ツール比較基礎2026/05/10

動画 SEO 完全ガイド 2026|YouTube・Google・AI 検索の三軸最適化

動画 SEO を YouTube・Google 検索・AI 検索の三軸で網羅。VideoObject スキーマ・字幕・動画サイトマップ・計測ツールまで25,000字で解説する2026年版決定ガイド。

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無料キーワード調査ツール完全比較 12 選【2026 年版・トラフィック獲得用ハブ】 (free-keyword-tools-master-comparison-2026)
ツール比較基礎2026/05/09

無料キーワード調査ツール完全比較 12 選【2026 年版・トラフィック獲得用ハブ】

無料で使えるキーワード調査ツール 12 選を徹底比較。サジェスト精度・検索ボリューム精度・日本語対応を 3 軸で評価し、個人ブロガーから BtoB SaaS まで用途別の最強組み合わせを解説します。

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Ahrefs無料版でできること・できないこと|エイチレフス無料の全上限【2026年9月】 (ahrefs-free-alternatives)
ツール比較基礎2026/05/06

Ahrefs無料版でできること・できないこと|エイチレフス無料の全上限【2026年9月】

Ahrefs無料版の上限と料金を2026年9月時点の実額で整理。できること・できないこと・0円代替7選。

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