GSCのAI掲載順位計測、Mueller氏「仕組み自体が今後も進化する」と発言
GoogleのJohn Mueller氏が、Search ConsoleにおけるAI Mode・AI Overviewsのposition計測の仕組みは今後も進化していくと発言。9/10・9/14の関連発言とあわせて時系列で整理し、実務上の意味と対応策を解説する。
目次(31項目)
- 何が起きたのか
- 発端:AI Mode内の個別リンクは何番目としてカウントされるのか
- 第1段階(9月10日):「position 1-10」という概念自体が現代のSERPに合わない
- 第2段階(9月14日頃):AI Overview内の全リンクはブロック全体のpositionを継承する
- 第3段階(9月16日、今回の主眼):計測の仕組み自体が今後も進化していく
- 3段階の発言の位置づけを整理する
- aiseo-llmo.com ユーザーへの影響
- 「計測ルールが動く」ことの実務的な意味
- 8月27日の既報(ロギングバグ)との構造的な共通点
- なぜGSCのAI関連計測は構造的に不安定になりやすいのか
- 他のAI検索エンジンとの比較優位という文脈
- 業種別・サイト規模別の実務インパクト
- 今すぐできる対応策
- 1. 計測日ごとに「ルール・仕様のスナップショット」を記録する運用
- 2. ドキュメント変更履歴の定期チェック
- 3. 単一指標への過度な依存を避け、複数データソースを併用する
- 4. ポジション単体でなく、クリック率・インプレッションのトレンドで評価する
- 5. クライアント・経営層への説明テンプレートに前提を明記する
- 6. 社内向けFAQ・ナレッジベースへの反映
- よくある質問
- Q1. John Mueller氏は具体的に何を発言したのか?
- Q2. AI Mode内の個別リンクの引用は、1位・2位…と順番にカウントされるのか?
- Q3. AI Overview内の複数の引用リンクは、それぞれ別のpositionとして記録されるのか?
- Q4. 今回の発言以前にも、position計測についてMueller氏は言及していたのか?
- Q5. 計測ルールが変わった場合、過去に記録されたデータも遡及的に修正されるのか?
- Q6. 具体的にいつ、どのような変更が行われる予定なのか?
- Q7. これは8月27日に報じられたGSCのロギングバグと同じ問題なのか?
- Q8. なぜGSCのAI関連計測は、通常の検索指標と比べて仕様が固まりにくいのか?
- Q9. ChatGPTやPerplexityにも同様の公式計測ツールはあるのか?
- Q10. 実務担当者は今すぐ何をすべきか?
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GSCのAI掲載順位計測、Mueller氏「仕組み自体が今後も進化する」と発言——position・impressionのルールは固定ではない
要点: GoogleのJohn Mueller氏がLinkedIn上のコメントで、Search ConsoleにおけるAI Mode・AI Overviews・通常のGoogle検索の「position(掲載順位)」「impression(表示回数)」の計測の仕組みは、検索/AI Mode/AI Overviews自体の進化にあわせて「今後も時間とともに進化していく」と述べた。あわせて、計測には「エッジケース」が存在することも認めている。
この発言は2026年9月10日の「position 1-10という概念自体が現代のSERPに合わなくなっている」という問題提起、9月14日頃の「AI Overview内の全リンクはブロック全体のpositionを継承する」という現状仕様の確認に続く、3段階目の発言にあたる。GSCの生成AIパフォーマンスレポートを日次/週次のKPIとして追っているaiseo-llmo.comユーザーにとっては、「今見ている数値の計測ルールが、将来のある時点で予告なく変わりうる」という前提を織り込んだ運用設計が必要になる。
最終更新日: 2026年9月17日
何が起きたのか
発端:AI Mode内の個別リンクは何番目としてカウントされるのか
今回の一連のやり取りの発端は、LinkedIn上でユーザーKenichi Suzuki氏がGoogleのJohn Mueller氏に投げかけた、次のような疑問だった。AI Mode内で複数のリンクが引用されている場合、その個別リンクの引用は順番に1位・2位・3位……とpositionがカウントされるのか、それともAI Overviewsと同様に、AI回答ブロック全体が1つのpositionとしてまとめて扱われるのか、という質問である。Search Engine Roundtableの記事「Google Search Console AI Reporting Will Change Over Time」(2026年9月16日07:05公開、著者Barry Schwartz)によれば、Google公式ドキュメントはこの点について明確な説明を提供していない、と指摘されている。
一見すると些末な技術的疑問に見えるかもしれないが、実務上はまったく些末ではない。Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートを使ってAI Mode・AI Overviews経由の自社露出を評価している担当者にとって、「引用の1番目に来ているのか5番目に来ているのか」「そもそも個別リンクごとにpositionが分かれているのか、ブロック全体で1つの数値にまとめられているのか」は、レポート上の数値をどう解釈すべきかを左右する根本的な前提にあたる。この根本的な前提が公式ドキュメントで明示されていない、という状態そのものが、今回のニュースの背景にある問題意識だ。
この論点を正確に理解するには、直近1週間の間にMueller氏が行った3つの発言を、時系列で順を追って見ていく必要がある。以下、9月10日、9月14日、9月16日の順に整理する。
第1段階(9月10日):「position 1-10」という概念自体が現代のSERPに合わない
まず前提として押さえておくべきは、2026年9月10日に報じられたMueller氏のReddit上での発言だ。Search Engine Roundtableの記事「Google Says The Old Position 1-10 Is Hard To Map For Site Owners」によれば、Mueller氏は次のように述べている。
"Search results pages have a lot of ways for users to interact nowadays, so the old 'position 1 - 10' is hard to map." (現代の検索結果ページには、ユーザーが操作できる方法がたくさんあるため、従来の「position 1〜10」という考え方は、もはや意味のある形でマッピングするのが難しい。)
出典: Search Engine Roundtable「Google Says The Old Position 1-10 Is Hard To Map For Site Owners」
現代のGoogle検索結果ページは、AI Overviews・強調スニペット・「他の人はこちらも質問」(People Also Ask)など、多様な表示形式が混在する構造を持っている。従来のSEOにおける「position」という指標は、10本の青いリンクが縦一列に並んでいた時代を前提に設計された概念であり、そこに何番目に表示されるかという単純な整数値で表現できていた。しかし、AI Overviewsのようなブロック要素・強調スニペットのような特殊表示枠が同一ページ内に混在する現在のSERPでは、「そのサイトが何番目に表示されているか」という問いに対して、単一の整数値で答えること自体が本質的に難しくなっている、というのがMueller氏の指摘の趣旨だ。
この発言の中で、AI Overviewsについての現状の仕組みも述べられている。Googleは個別のリンクではなく「ブロック単位」でpositionを追跡しており、生成AIパフォーマンスレポート上でも個々の引用リンクは分離されていない、という点である。つまり、AI Overviewsの回答ブロックの中に複数のサイトが引用されていたとしても、Search Console上ではそのブロック全体に対して1つのpositionが記録される仕組みになっている、という現状の説明だ。
Mueller氏はまた、順位トラッキングについて有益な提案があればチームに持ち込む、とも述べているが、この時点では具体的な変更の予定や実装時期についての発表は一切行われていない。あくまで「現状の課題認識」と「改善提案を歓迎する姿勢」を示したに留まる発言である。
第2段階(9月14日頃):AI Overview内の全リンクはブロック全体のpositionを継承する
9月10日の発言に続き、9月14日頃にもMueller氏は同様の論点について発言を重ねている。ここで確認されたのは、AI Overview内の各引用リンクは、AI Overviewブロック全体が持つ1つのpositionを継承するという仕組みだ。具体的には、AI Overviewの回答本文の冒頭付近で引用されたサイトも、回答の末尾に近い5番目に引用されたサイトも、Search Console上ではまったく同じpositionの数値として記録される、という現状の計測ルールが改めて確認された形になる。
この9月14日の確認は、9月10日に述べられていた「ブロック単位でpositionを追跡している」という説明を、より具体的な形で裏付けるものだ。ここまでの2段階は、いずれも「Googleが現在どのような仕組みでAI Overviewsのpositionを計測しているか」という、現状の仕様の確認にあたる。新しい変更の予告ではなく、既存の仕組みがどうなっているかをより明確にした、という位置づけで捉える必要がある。
第3段階(9月16日、今回の主眼):計測の仕組み自体が今後も進化していく
そして今回、2026年9月16日にSearch Engine Roundtableが報じた記事の主眼となるのが、Mueller氏の次の発言だ。LinkedIn上のコメントで、Mueller氏はSearch ConsoleにおけるAI Mode・AI Overviews・通常のGoogle検索の「position」「impression」計測の仕組みについて、検索/AI Mode/AI Overviews自体の進化にあわせて、今後も時間とともに進化していく("evolve over time")と述べている。
これは9月10日・9月14日の発言とは性質が異なる。9月10日・9月14日はいずれも「現状はこうなっている」という現在時点の仕様説明だったのに対し、9月16日の発言は「その計測の仕組み自体が、将来変わりうる」という将来に向けた見通しを示すものだ。つまり、今回のAI Mode内の個別リンクのpositionカウントに関する質問に対して、Mueller氏は「現状こうなっている」という直接的な回答をする代わりに、「計測の仕組みそのものが今後も進化していくものであり、絶対不変のルールとして固定されているわけではない」という、より大きな枠組みでの説明を選んだことになる。
Mueller氏のこの発言における正確な引用は以下の通りである。
"The goal is not a written-in-stone absolute truth for position counting (that's impossible), but rather to make something that's useful for site owners in terms of understanding how their site is shown." (目指しているのは、掲載順位のカウントについて石に刻まれたような絶対的な真実を示すことではない(それは不可能だ)。そうではなく、サイトオーナーが自分のサイトがどのように表示されているかを理解する上で役立つものを作ることが目標だ。)
出典: Search Engine Roundtable「Google Search Console AI Reporting Will Change Over Time」
この発言の中でMueller氏は、計測には「エッジケース(edge-cases、例外的なケース)」が存在することも認めている。エッジケースという言葉が具体的にどのような状況を指すのかについて、記事内で詳細な説明は行われていないが、少なくともGoogle自身が「計測ルールにはきれいに割り切れない例外的な状況が存在する」ことを公式に認めた発言として位置づけられる。
さらにMueller氏は、重要な変更があった場合にはドキュメントを更新する("update the documentation when / if there are significant changes")とも述べている。ただし、この発言はあくまで「重要な変更があれば、その時点でドキュメントを更新する」という運用方針の表明に留まり、具体的にどのような変更が、いつ行われるのかについては一切明言されていない。また、仮に計測の仕組みが変わった場合に、過去に遡ってすでに記録されたデータが修正されるのかどうかについても、この発言では触れられていない。
3段階の発言の位置づけを整理する
ここまでの流れを改めて整理すると、以下のようになる。
- 9月10日: 「position 1-10という従来の概念自体が、AI Overviewsなど多様な表示形式を持つ現代のSERPにはもはや意味のある形でマッピングしにくい」という問題提起。あわせて、AI Overviewsは個別リンクではなくブロック単位でpositionを追跡しているという現状仕様が述べられた。
- 9月14日頃: 「AI Overview内の全ての引用リンクは、ブロック全体が持つ1つのpositionを継承する」という、現状の計測ルールの具体的な確認。
- 9月16日: その計測の仕組み自体が、今後Search/AI Mode/AI Overviewsの進化にあわせて変わっていく、という将来変更の予告。あわせて計測にはエッジケースが存在することを認め、重要な変更があればドキュメントを更新するとも述べた。これが今回の記事の主眼となる新しい情報だ。
3つの発言はいずれも同じテーマ(GSCにおけるAI関連の掲載順位計測)を扱っているが、性質としては「問題提起→現状仕様の確認→将来の変更可能性の予告」という段階的な深まりを持っている。特に9月16日の発言は、これまで「現状どうなっているか」という説明に終始していた議論に、「その現状自体が固定的なものではなく、今後変わりうる」という新しい軸を持ち込んだ点で、実務上の意味合いが大きく異なる。
なお、繰り返しになるが、今回の一連の発言においてGoogleが具体的にどのような変更を行う予定であるか、あるいはいつ変更が行われるかについては、一切公表されていない。過去データが遡及的に修正されるかどうかについても言及がない。これらの点について、本記事執筆時点で確定した事実は存在しない。推測に基づいた予想を事実であるかのように記載することは避け、あくまで「Googleが計測の仕組みは今後も進化していくと明言した」という事実のみを起点に、以降のセクションで実務上の意味合いを検討する。
aiseo-llmo.com ユーザーへの影響
「計測ルールが動く」ことの実務的な意味
GSCの生成AIパフォーマンスレポートを日次・週次のKPIとしてウォッチしている担当者にとって、Mueller氏の今回の発言が持つ意味は小さくない。通常、KPIをトラッキングする際には、「計測方法・定義は固定されている」という暗黙の前提のもとで、時系列のトレンドを追いかける。ところが今回明らかになったのは、その前提自体が保証されていないという事実だ。「positionの計測ルールは、検索/AI Mode/AI Overviews自体の進化にあわせて今後も変わっていく」とGoogle自身が明言している以上、ある時点を境に、同じ「position」という名前の指標が、実は異なる定義・異なる計測ロジックで算出された数値に切り替わっている、という事態が将来起こりうることになる。
これは、KPIの「ベースラインが移動しうる」ということを意味する。例えば、ある月のAI Overviews経由のposition平均値が改善したように見えたとしても、それが実際の可視性向上によるものなのか、それとも計測ロジックの変更によって同じ実態がより良い数値として表示されるようになっただけなのか、事後的に判別することが難しくなる可能性がある。逆に、悪化したように見える場合も同様だ。計測ルールの変更が予告なく行われ、かつ変更の詳細がドキュメント上で明示されるとも限らない(「重要な変更があれば」という条件付きの約束に留まる)以上、担当者は「数値が動いた」という事実だけを見て、それが施策の効果によるものか計測ルールの変化によるものかを、常に両にらみで検討する必要が出てくる。
8月27日の既報(ロギングバグ)との構造的な共通点
この論点は、当サイトが既報で扱った「GSC『生成AIレポート』にロギングバグ発生、8/13-17分のインプレッションが過少計上」の事例と、構造的な共通点を持つ。8月27日の記事で扱ったロギングバグは、「特定期間のデータが技術的な不具合によって正しく記録されなかった」という一過性のインシデントだった。一方、今回のMueller氏の発言が示すのは、「計測の仕組み・定義そのものが、仕様として今後も変わっていく」という、より構造的・継続的な不確実性である。
両者は原因も性質も異なるが、共通しているのは「GSCの生成AI関連の計測は、まだ発展途上にあり、数値の連続性・一貫性を無条件に信頼できる段階には至っていない」という論点だ。ロギングバグのケースでは「技術的な不具合によって一時的に数値がずれる」リスクが、今回のケースでは「仕様変更によって数値の定義そのものが変わる」リスクが、それぞれ別の角度からGSCの生成AI関連レポートの不安定さを裏付けている。どちらも、単一の指標・単一の期間だけに依存してレポーティングや意思決定を行うことの危うさを示す事例として捉えるべきだろう。
さらに遡れば、当サイトの既報の通り、GSCの生成AIパフォーマンスレポートは2026年7月4日に初めて確認され、8月12日にグローバル展開が完了したばかりの、公開から日が浅い機能である。加えて8月2日の既報では、生成AIデータの解釈においてマーケターが陥りやすい誤解が指摘されていた。今回の9月16日の発言は、こうした一連の「まだ枯れていない計測基盤」というコンテキストの延長線上にあるものとして理解するのが妥当だ。新機能がローンチされてからおよそ2か月あまりというタイミングで、計測ルールの土台部分について「今後も進化していく」という発言が公式に出てきたことは、この計測基盤がまだ仕様として確定していない、発展途上の段階にあることを改めて示している。
なぜGSCのAI関連計測は構造的に不安定になりやすいのか
ここで、より根本的な問いとして、なぜGoogle Search ConsoleのAI関連計測がこれほど頻繁に「仕様が固まっていない」状態にあるのかを考えてみたい。背景にはいくつかの構造的な要因があると考えられる。
第一に、AI Mode・AI Overviews自体がGoogle検索の中でもとりわけ変化の速い領域である、という点が挙げられる。従来の10本の青いリンクという検索結果の表示形式は、長年にわたって基本構造が大きく変わっていない。これに対しAI Mode・AI Overviewsは、生成AIによる回答生成、引用元の選定ロジック、UI上の表示レイアウトなどが、継続的に実験・調整されている段階にある製品だ。検索結果の見せ方自体が頻繁に変わる以上、それを計測する仕組みも、追随して変わらざるを得ない。
第二に、「position」という指標が本来前提としていたモデルが、AI Mode・AI Overviewsの表示形式にそもそも馴染みにくいという構造的なミスマッチがある。従来のpositionは「1つのURLが検索結果ページの何番目に表示されるか」という単純な序列を表す指標だった。しかしAI Modeの回答内では、複数のソースが1つの生成テキストの中に織り込まれる形で引用されるため、「何番目に表示されているか」という問い自体の意味が曖昧になる。9月10日のMueller氏の発言が「old position 1-10 is hard to map」と表現した通り、指標の設計思想と実態の表示形式の間にズレが生じており、Googleはこのズレを埋める形で計測ロジックを模索し続けている、と解釈できる。
第三に、Google自身が今回の発言で示した通り、計測の目的が「絶対的に正確な真実の記録」ではなく「サイトオーナーにとって実用的に役立つ情報の提供」に置かれている、という思想的な立場がある。Mueller氏の引用にある通り、"written-in-stone absolute truth"(石に刻まれたような絶対的な真実)を目指すことは"impossible"(不可能)だとGoogle自身が明言している。この立場に立つ限り、計測ルールは「唯一絶対の正解」を固定的に追求するものではなく、実用性を優先して随時調整されていくものとして運用され続けることになる。これは裏を返せば、GSCのAI関連指標が将来にわたって「仕様が確定した安定指標」になることを、Google自身が約束していない、ということでもある。
他のAI検索エンジンとの比較優位という文脈
このように、GSCのAI関連計測にはまだ不安定さが残るとはいえ、比較の視点を持つことも重要だ。ChatGPTやPerplexityなど、他の主要な生成AI検索サービスには、そもそも公式のパフォーマンス計測ダッシュボードが提供されていない。自社サイトがChatGPTの回答内でどれだけ引用されているか、どのクエリでどの程度表示されているかを、公式データとして確認する手段は現時点で存在しない。
この事実を踏まえると、たとえ仕様が発展途上であっても、Googleが検索/AI Mode/AI Overviews経由の自社露出について、position・impression・クリックといった指標を公式に(しかも無償で)提供し続けていること自体は、他の生成AI検索サービスと比較した際の相対的な優位性として評価できる。仕様が今後も変わりうるという不確実性は実務上の悩みの種ではあるものの、「そもそも計測手段自体が存在しない」他のプラットフォームと比べれば、GSCの生成AIパフォーマンスレポートは依然としてLLMO/GEO領域における数少ない一次データソースであり続けている。この比較優位の認識を持った上で、不確実性への向き合い方を設計することが実務上は建設的だ。
業種別・サイト規模別の実務インパクト
計測ルールの将来変更というリスクが、実務にどの程度のインパクトを与えるかは、サイトの特性によって濃淡がある。
AI Overviews・AI Mode経由の露出をKPIの中核に据えている事業者
すでにAI Overviews・AI Mode経由のposition・インプレッションを、月次のKPIレポートや評価指標の中核に組み込んでいる事業者にとっては、計測ルールの将来的な変更は最も直接的な影響を受ける対象になる。特に、社内やクライアントに対して「positionが◯位から◯位に改善した」という形で成果を報告している場合、計測ルールの変更によってその報告の前提が崩れるリスクがあることを、あらかじめ関係者と共有しておく必要がある。
大規模サイト・多数のクエリを抱えるサイト
扱うクエリ数・ページ数が多いサイトほど、計測ルールの変更が反映された際に、レポート全体の数値が広範囲かつ一斉に動く可能性がある。特に週次・月次でのトレンドを可視化するダッシュボードを運用している場合、いつの時点から新しい計測ルールが適用され始めたのかを見分けにくいという課題が生じやすい。
中小規模サイト・特定クエリに依存するサイト
扱うクエリ数が少ないサイトの場合、そもそもAI Overviews・AI Mode経由のインプレッション数の絶対値が小さく、日々のブレ(ノイズ)が相対的に大きい。この状態で計測ルールの変更が加わると、「元々のノイズによる変動」なのか「計測ルール変更による変動」なのかを切り分けることが、大規模サイト以上に難しくなる可能性がある。
代理店・複数クライアントを抱える運用者
複数クライアントのSearch Consoleデータを横断的に扱う立場では、計測ルールの変更が起きた際に、影響を受ける全クライアントに対して一貫した説明を提供できる体制があらかじめ整っていることが望ましい。個々のクライアントから問い合わせを受けるたびに都度対応するのではなく、能動的に「GSCのAI関連計測は仕様として今後も変わりうる、とGoogleが公式に明言している」という前提を、定例報告のテンプレートに組み込んでおくことが効率的だ。
今すぐできる対応策
1. 計測日ごとに「ルール・仕様のスナップショット」を記録する運用
最も基本的な備えは、GSCのAI関連レポートの数値そのものだけでなく、「その数値がどの仕様・ルールのもとで計測されたものか」という前提条件も、あわせて記録として残しておくことだ。具体的な運用例は以下の通り。
- 月初など定期的なタイミングで、Search Consoleのヘルプドキュメント(生成AIパフォーマンスレポート関連のページ)のスクリーンショットまたはテキストコピーを保存する
- 保存したドキュメントに対して、取得日付を明記したファイル名(例:
gsc-genai-report-docs_2026-09-17.md)で社内のナレッジベースに蓄積する - Search Engine RoundtableやSearch Engine Landなど、Google公式発言を報じる業界メディアの関連記事を継続的にウォッチし、仕様変更に関する言及があれば都度記録に追記する
- 記録には「その時点でのGoogle公式の説明」「一次情報のURL」「取得日」の3点を最低限含める
このスナップショットを継続的に蓄積しておくことで、将来ある時点でレポートの数値の傾向が大きく変化した際に、「その変化が施策の効果なのか、計測ルールの変更なのか」を判断するための手がかりを、後から確認できるようになる。
2. ドキュメント変更履歴の定期チェック
Mueller氏は「重要な変更があった場合にはドキュメントを更新する」と述べている。この発言を踏まえると、Search Consoleのヘルプドキュメントの変更履歴を定期的にチェックする運用を組み込んでおくことが有効だ。
- Search Console ヘルプセンター内の生成AIパフォーマンスレポート関連ページを、月1回程度の頻度で確認する
- 可能であれば、該当ページのdiff(差分)を検知できる外形監視ツール(ウェブページの変更監視サービスなど)を利用し、ドキュメントが更新された際に通知を受け取れるようにしておく
- Search Engine Roundtable・Search Engine Landなど、Google Search Central関連のアップデートを継続的に報じている業界メディアのRSS・ニュースレターを購読し、一次情報が出た際に見落とさないようにする
- 当サイト(aiseo-llmo.com)でも、GSCの生成AI関連の仕様変更・ドキュメント更新について継続的に報じていく方針であるため、関連する既報・続報をあわせてチェックする
3. 単一指標への過度な依存を避け、複数データソースを併用する
positionという単一の指標だけに依存した評価を避け、複数の指標・複数のデータソースを組み合わせて全体像を把握する運用に切り替えることが望ましい。具体的には以下のような組み合わせが考えられる。
- GSCの生成AIパフォーマンスレポート内でも、position単体ではなく、インプレッション数・クリック数・CTR(クリック率)を並行して確認する
- 通常のウェブ検索のパフォーマンスレポートとあわせて、AI Overviews・AI Mode経由の数値が全体のトラフィックに占める割合の推移を確認する
- 自社で独自に実施しているAI検索でのブランド名・製品名の言及調査(手動でのプロンプトテストなど)があれば、GSCのレポート数値と突き合わせて、傾向の一致・乖離を確認する
- サードパーティのAI Overview計測ツールなど、GSC以外の計測手段も併用し、単一ソースへの依存リスクを分散させる
4. ポジション単体でなく、クリック率・インプレッションのトレンドで評価する
計測ルールが将来変わりうるという前提に立つと、position(掲載順位)という単一の序列指標を絶対視するのではなく、複数の指標を組み合わせたトレンド評価に軸足を移すことが、変化に強いレポーティング設計につながる。特に、インプレッション数・クリック数・CTRの3指標は、position単体よりも相対的に定義の変更による影響を受けにくいと考えられるため、これらの指標を主軸に置いた評価枠組みを検討する価値がある。ただし、これらの指標についても将来的に計測ルールが変わらないという保証はない点には留意が必要だ。
5. クライアント・経営層への説明テンプレートに前提を明記する
定例報告やクライアントへの説明資料においては、GSCのAI関連計測が発展途上であるという前提を、あらかじめテンプレートの中に明記しておくことが望ましい。具体的な文例としては、以下のような一文を報告資料の脚注やことわり書きとして加えることが考えられる。
【計測上の留意事項】Google Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポート(AI Mode・AI Overviews関連)における掲載順位(position)・表示回数(impression)の計測方法は、Google公式(John Mueller氏)により「検索/AI Mode/AI Overviews自体の進化にあわせて今後も変わりうる」と説明されています(出典: Search Engine Roundtable, 2026年9月16日)。本レポートの数値は現時点での計測ルールに基づくものであり、将来の仕様変更により、同一指標であっても計測方法が変わる可能性がある点をご留意ください。
このような一文をあらかじめ定型文として用意しておくことで、将来仕様変更が起きた際に、報告先から「なぜ急に数値の傾向が変わったのか」と問われた場合にも、慌てず一貫した説明を行うことができる。
6. 社内向けFAQ・ナレッジベースへの反映
今回のMueller氏の発言とその背景を、社内向けのFAQやナレッジベースに反映しておくことも有効な対応策だ。特に、複数の担当者が交代でGSCのレポートを確認・報告する体制を取っている場合、全員が同じ前提知識を共有できていないと、数値の解釈にばらつきが生じるリスクがある。今回のニュースを機に、「GSCのAI関連計測ルールは今後も変わりうる」という前提を、チーム全体の共通認識として明文化しておくことを推奨する。
よくある質問
Q1. John Mueller氏は具体的に何を発言したのか?
GoogleのJohn Mueller氏はLinkedIn上のコメントで、Search ConsoleにおけるAI Mode・AI Overviews・通常のGoogle検索のposition(掲載順位)・impression(表示回数)計測の仕組みは、検索自体の進化にあわせて今後も時間とともに進化していくと発言した。あわせて計測にはエッジケースが存在することも認めている。
Q2. AI Mode内の個別リンクの引用は、1位・2位…と順番にカウントされるのか?
この点について公式ドキュメントは明確な説明を提供していない。今回のMueller氏の発言も、この疑問に直接回答する形ではなく、「計測の仕組み自体が今後も進化していく」という、より大きな枠組みでの説明にとどまっている。
Q3. AI Overview内の複数の引用リンクは、それぞれ別のpositionとして記録されるのか?
9月14日頃にMueller氏が確認した現状の仕組みでは、AI Overview内の全ての引用リンクは、AI Overviewブロック全体が持つ1つのpositionを継承する。つまり回答冒頭で引用されたサイトも5番目に引用されたサイトも、Search Console上では同じpositionとして記録される。
Q4. 今回の発言以前にも、position計測についてMueller氏は言及していたのか?
はい。2026年9月10日、Mueller氏はReddit上で、現代の検索結果ページはAI Overviews・強調スニペットなど多様な表示形式を持つため、従来の「position 1-10」という概念はもはや意味のある形でマッピングするのが難しいと発言していた。今回の9月16日の発言は、この問題提起の延長線上にある。
Q5. 計測ルールが変わった場合、過去に記録されたデータも遡及的に修正されるのか?
その点について、Mueller氏は今回の発言で言及していない。重要な変更があればドキュメントを更新するとは述べているが、過去データの遡及修正の有無については明言されておらず、本記事執筆時点で確定した事実はない。
Q6. 具体的にいつ、どのような変更が行われる予定なのか?
現時点で具体的な変更内容・実施時期は一切公表されていない。Mueller氏は「重要な変更があった場合にはドキュメントを更新する」と述べたのみで、変更の予定表やロードマップは示されていない。
Q7. これは8月27日に報じられたGSCのロギングバグと同じ問題なのか?
いいえ、別の事象である。8月27日の既報は特定期間(8月13〜17日)のデータが技術的な不具合によって過少計上されたという一過性のインシデントだった。一方、今回の発言は計測の仕組み・定義そのものが仕様として今後も変わっていくという、より継続的・構造的な話であり、両者は原因も性質も異なる。ただし、どちらも「GSCのAI関連計測はまだ発展途上で不安定」という文脈においては共通点を持つ。
Q8. なぜGSCのAI関連計測は、通常の検索指標と比べて仕様が固まりにくいのか?
AI Mode・AI Overviews自体がGoogle検索の中でも特に変化の速い領域であり、表示ロジックが継続的に調整・実験されていること、従来の「position」という指標が想定していたモデルとAI Modeの表示形式との間に構造的なミスマッチがあること、そしてGoogle自身が計測の目的を「絶対的な真実の記録」ではなく「サイトオーナーにとって実用的な情報提供」に置いていることなどが背景として考えられる。
Q9. ChatGPTやPerplexityにも同様の公式計測ツールはあるのか?
いいえ、ChatGPTやPerplexityなど主要な生成AI検索サービスには、現時点で公式のパフォーマンス計測ダッシュボードは提供されていない。この点を踏まえると、GSCの生成AIパフォーマンスレポートは仕様が発展途上であっても、Googleが公式に無償で提供する数少ない一次データソースとして相対的な価値を持つ。
Q10. 実務担当者は今すぐ何をすべきか?
計測日ごとにドキュメント・仕様のスナップショットを記録する運用を整えること、Search Consoleのドキュメント変更履歴を定期的にチェックすること、position単体でなくインプレッション・クリック率など複数指標を併用して評価すること、そしてクライアントや経営層への報告資料に「計測仕様は今後変わりうる」という前提を明記しておくことが、今すぐ着手できる具体的な対応策となる。
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参考文献
- Google Search Console AI Reporting Will Change Over Time — Search Engine Roundtable(参照: 2026-09-17)
- Google Says The Old Position 1-10 Is Hard To Map For Site Owners — Search Engine Roundtable(参照: 2026-09-17)
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- クエリ
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