ChatGPT、EUで「非常に大規模な検索エンジン」に正式指定——DSA厳格規制へ
欧州委員会は2026年8月31日、ChatGPTをDSA上の「非常に大規模なオンライン検索エンジン(VLOSE)」に正式指定した。AIチャットボットとして初の指定であり、LLMO実務への影響を整理する。
目次(26項目)
- 何が起きたのか
- 欧州委員会が8月31日にChatGPTをVLOSEに指定
- 指定の法的根拠——月間4,500万人という閾値
- Reddit・Robloxとの同時指定——VLOPとVLOSEの違い
- 課される追加義務の内容
- 国内外の反応
- 背景にあるEUのAI検索規制強化の流れ
- aiseo-llmo.com ユーザーへの影響
- 「ChatGPT=検索エンジン」という法的位置づけが公式に確定した意味
- 適格研究者向けデータアクセスがLLMO可視性研究に開く可能性
- 6ヶ月ごとの透明性報告書はLLMO分析の一次情報になりうる
- EU圏でのAI検索コンプライアンス対応が事業運営上の前提条件に
- 業種別のインパクト
- 今すぐできる対応策
- よくある質問
- Q1. ChatGPTのVLOSE指定とは具体的に何を意味するのか。
- Q2. ChatGPTはなぜ「検索エンジン」に分類されたのか。
- Q3. Reddit・Robloxも同時に指定されたのか。両者との違いは何か。
- Q4. VLOSE指定によりChatGPTにはどのような義務が課されるのか。
- Q5. DSA第27条の適用除外とはどういうことか。
- Q6. 今回の指定はDSA上何番目の「非常に大規模」指定になるのか。
- Q7. この指定はLLMO・AI検索最適化の実務にどのような影響を与えるか。
- Q8. なぜこのタイミングでの指定なのか、背景に何があるのか。
- Q9. 今回の指定でChatGPTの回答内容やアルゴリズムがすぐに変わるのか。
- Q10. 他の生成AIサービス(Gemini、Perplexityなど)も今後同様の指定を受ける可能性はあるか。
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ChatGPT、EUで「非常に大規模な検索エンジン」に正式指定——DSA厳格規制へ
要点: 欧州委員会は2026年8月31日、ChatGPTをEUデジタルサービス法(DSA)上の「非常に大規模なオンライン検索エンジン(VLOSE)」として正式指定した。同日Reddit・Robloxも「非常に大規模なオンラインプラットフォーム(VLOP)」に指定され、DSA上の最上位規制ティア対象は合計28サービスに到達した。ChatGPTはAIチャットボットとして初のVLOSE指定であり、年次リスク評価・外部監査・研究者向けデータアクセス・6ヶ月ごとの透明性報告書などの追加義務が課される。指定はChatGPTのライブウェブ検索機能を根拠としており、AI製品というカテゴリ自体を対象にしたものではない点に注意が必要だ。
最終更新日: 2026年9月3日
何が起きたのか
欧州委員会が8月31日にChatGPTをVLOSEに指定
欧州委員会は2026年8月31日、公式発表「Commission designates ChatGPT, Reddit and Roblox under the Digital Services Act」において、ChatGPTをDSA上の「非常に大規模なオンライン検索エンジン(Very Large Online Search Engine、VLOSE)」として正式に指定したことを明らかにした。同日、ソーシャルニュースサイトのReddit、ゲーム・メタバースプラットフォームのRobloxも「非常に大規模なオンラインプラットフォーム(Very Large Online Platform、VLOP)」として指定されている。
Search Engine Journal・Euronews・Winbuzzer・Tech-ish・Gizmodo・Business Standardなど複数の海外メディアが8月31日から9月1日にかけて一斉にこのニュースを報じた。ChatGPTはDSA制定以来、AIチャットボットとしては初めてVLOSE指定を受けたサービスとなる。これにより、DSA上「非常に大規模」なプラットフォーム・検索エンジンとして指定されているサービスの総数は28に到達した。
指定の法的根拠——月間4,500万人という閾値
DSAでは、EU域内で月間平均4,500万人以上のユーザー(EU総人口のおよそ10%に相当)に到達するオンラインプラットフォームおよびオンライン検索エンジンを「非常に大規模」として分類し、通常のプラットフォームよりも厳格な規制ティアの対象とする仕組みが設けられている。この閾値を超えるサービスには、DSAが定める標準的な義務に加えて、追加的なシステミックリスク管理義務が課される。
今回の指定にあたり、OpenAIはChatGPTの検索機能について、EU域内の月間平均利用者数が約1億5,910万人に達すると報告した。これは指定基準となる4,500万人という閾値の3倍を優に超える規模であり、欧州委員会が指定に踏み切る明確な根拠となった。
欧州委員会は今回の指定について、「ChatGPTはユーザーのプロンプト・クエリに応答するとともに、ウェブ検索も行うハイブリッドサービスであり、オンライン検索エンジンに該当する」との見解を示している。ここで重要なのは、VLOSEという分類がChatGPTという製品そのもの、あるいは「生成AIチャットボット」というカテゴリ全般を対象にした指定ではなく、あくまでChatGPTが備えるライブウェブ検索機能——ユーザーの質問に応じてリアルタイムのウェブ情報を検索・参照し回答に組み込む機能——に基づいて下された判断だという点だ。この線引きは、今後他の生成AIサービスがDSA上どのように扱われるかを占ううえでも参考になる。
Reddit・Robloxとの同時指定——VLOPとVLOSEの違い
同日指定されたReddit・Robloxは、ChatGPTとは異なり「非常に大規模なオンラインプラットフォーム(VLOP)」として分類されている。DSAはサービスの性質に応じてVLOP(オンラインプラットフォーム全般)とVLOSE(オンライン検索エンジン)という2つの区分を設けており、いずれも月間4,500万人以上という利用者数の閾値は共通するが、課される義務の一部には違いがある。
具体的には、DSA第27条が定める「推奨システムの主要パラメータを平易な言語で開示する義務」は、一般的なオンラインプラットフォーム(VLOP)には適用されるが、オンライン検索エンジン・VLOSEには適用が除外されている。したがって、Reddit・RobloxはこのVLOP向け推奨システム開示義務の対象となる一方、ChatGPTはVLOSEとして分類されたことで、この特定の条文の直接適用対象からは外れることになる。ただし、これはVLOSEに対する透明性義務そのものが軽いことを意味するわけではない。後述するとおり、アルゴリズムの透明性・独立監査への対応・適格研究者へのデータアクセス提供・定期的な透明性報告書の提出など、検索エンジン特有の一連の透明性義務は別途、VLOSE指定サービスに課される。
課される追加義務の内容
VLOSE指定を受けたChatGPTには、通常のDSA義務に加えて主に以下の追加義務が課される。
- システミックリスクの年次評価と軽減措置: 違法コンテンツの拡散、未成年者への悪影響、利用者の心身の健康への影響、基本的人権の保護、選挙プロセスの健全性、公共安全といった観点から、サービスがもたらしうるシステミックリスクを年に1回評価し、必要な軽減措置を講じる義務。
- 独立監査人による外部監査: 年1回以上、独立した監査人によるコンプライアンス監査を受ける義務。監査結果が完全にポジティブでない場合には、是正措置を講じるか、なぜ是正措置を講じないかについて説明する義務が生じる。
- コンプライアンス監視用データの提供: 欧州委員会およびアイルランドのデジタルサービス調整官からの要求に応じて、コンプライアンス状況を監視するためのデータを提供する義務。
- 適格な独立研究者へのデータアクセス: DSA上「適格」と認定された独立研究者からの要請に応じて、審査・研究目的でのデータアクセスを提供する義務。
- 6ヶ月ごとの透明性報告書: コンテンツモデレーションやリスク軽減措置の実施状況などについて、半年に一度、透明性報告書を公表する義務。
OpenAIは、指定通知を受けてから4ヶ月以内(目安としておよそ2027年1月まで)に、これらの追加的なDSA義務への対応を完了させる必要がある。
国内外の反応
欧州委員会の発表を受け、業界メディアの論調はおおむね「AI検索サービスに対するEUの規制網が着実に広がっている」という受け止めで一致している。Search Engine Journalは、ChatGPTがAIチャットボットとして初めてVLOSE指定を受けた点を強調し、生成AIサービスがもはや「新しいカテゴリの製品」として規制の外側に留まれる段階ではなくなりつつあると論じた。Euronewsは、ChatGPT・Reddit・Robloxが同時に「最も厳格なデジタル安全規制」の対象となったことを、EUがプラットフォームの巨大化に対して一貫した規制フレームワークを適用している証左だと位置づけている。Gizmodoは見出しで「EUが公式にChatGPTを検索エンジンだと決定した」と端的に表現し、この分類がAI業界にとって象徴的な出来事であることを示唆した。Winbuzzer・Tech-ishはそれぞれ、VLOSE指定に伴う具体的な義務内容——年次リスク評価、外部監査、データアクセス、透明性報告書——を詳細に整理し、コンプライアンス実務の観点から今回の指定を解説している。
一方、OpenAI側からの詳細な公式コメントは、本稿執筆時点の報道範囲では大きく取り上げられていない。今回の指定はOpenAIが自ら申請したものではなく、欧州委員会がOpenAIの自己申告した利用者数データ(月間平均約1億5,910万人)に基づいて一方的に下した行政上の決定である点も、他のVLOP/VLOSE指定と同様の性質を持つ。
背景にあるEUのAI検索規制強化の流れ
今回のVLOSE指定は、単独の出来事ではなく、2026年に入ってから続いているEUのAI検索・生成AI規制強化の一連の流れの中に位置づけられる。
- EU AI Act第50条の透明性義務(2026年8月2日適用開始、本サイト既報:EU AI Act第50条透明性義務の適用開始): GPAI(汎用AI)提供事業者に対し、AI生成コンテンツであることの開示など一連の透明性義務を課す規則が施行された。
- EU DMA関連のGoogle検索データ共有(本サイト既報:EU DMA、Google検索データ共有義務): デジタル市場法(DMA)に基づき、Googleが競合検索エンジンに検索データを共有する義務が議論されてきた。
- Google AI OverviewsへのDMA罰金(本サイト既報:EU DMA、Google AI Overviewsに罰金): AI Overviewsの表示方法をめぐり、GoogleがDMA違反として制裁を受けた。
- ChatGPT ShoppingタブのEUサイドバー常時ピン留め(本サイト既報:ChatGPT ShoppingタブがEUサイドバーに常時ピン留め): OpenAIがEU圏限定の機能展開を進めるなど、EU固有のプロダクト対応が続いている。
これらを踏まえると、今回のVLOSE指定は「AI Actによるコンテンツ透明性の規制」と「DSA/DMAによるプラットフォーム・検索エンジンとしての構造的規制」という2つの規制軸が、ChatGPTという単一のサービスに対して同時に重なり始めた出来事として理解できる。EUは、生成AIサービスを「新しいカテゴリの例外」として扱うのではなく、既存の検索エンジン・プラットフォーム規制の枠組みに段階的に組み込む方針を明確にしつつあると言える。
aiseo-llmo.com ユーザーへの影響
「ChatGPT=検索エンジン」という法的位置づけが公式に確定した意味
LLMO(大規模言語モデル最適化)・AI検索最適化に取り組むマーケター・SEO担当者にとって、今回の指定が持つ最大の意味は、「ChatGPTは実質的に検索エンジンとして機能している」という業界内で共有されてきた認識が、EUという主要な規制当局によって法的・行政的に公式に裏付けられた点にある。これまでLLMO実務では、ChatGPTの回答生成メカニズムとGoogleなど従来型検索エンジンのランキングメカニズムを類推的に比較しながら最適化施策を組み立てるアプローチが一般的だったが、今回の指定はその類推に一段の正当性を与えるものと言える。
ただし、繰り返しになるが、この指定はChatGPTという生成AIチャットボット全体を検索エンジンと認定したものではなく、あくまでそのライブウェブ検索機能を根拠にしたものである。したがって、LLMO実務における示唆も「ChatGPTの回答生成すべてが検索エンジン的なランキングロジックに従う」という単純化した理解ではなく、「ChatGPTがウェブ検索を伴う回答を生成する際には、検索エンジンに準じた透明性・監査対応が求められる」という、より限定的だが実務上重要な理解にとどめておく必要がある。
適格研究者向けデータアクセスがLLMO可視性研究に開く可能性
VLOSE指定に伴う義務の一つに、DSA上「適格」と認定された独立研究者へのデータアクセス提供がある。この仕組みは主に、違法コンテンツの拡散や選挙への影響といったシステミックリスクの学術研究を目的として設計されたものであり、LLMO・AI可視性研究を直接の対象としたものではない。しかし、こうした研究者向けデータアクセスの枠組みが整備されること自体は、中長期的にはAI検索の引用メカニズム・情報流通構造を独立した第三者の立場から検証する学術研究が生まれる土壌を広げる可能性がある。
実際、これまでもPress Ranger・OtterlyAIといった専門事業者による独自のAI引用データ分析(本サイトでも複数回取り上げてきた)が、LLMO業界における実証的な知見の主要な供給源になってきた。DSA上の適格研究者向けデータアクセスがどこまでAI検索の透明性向上に資するかは今後の運用次第だが、「AI検索エンジンの内部データに第三者がアクセスできる制度的な入り口」が公式に一つ増えたこと自体は、LLMO分野の研究インフラという観点から注視する価値がある動きだ。
6ヶ月ごとの透明性報告書はLLMO分析の一次情報になりうる
VLOSE指定サービスには、6ヶ月ごとの透明性報告書の公表義務が課される。この報告書は主にコンテンツモデレーションやリスク軽減措置の実施状況を対象としたものであり、AI引用・可視性データそのものを開示するものではない可能性が高い。それでも、ChatGPTが自らのサービス運営に関する定期的な公式データを開示する頻度・粒度が制度的に担保されることは、LLMO担当者がChatGPTのサービス動向を継続的にモニタリングするうえでの一次情報源が一つ増えることを意味する。今後、透明性報告書の内容やフォーマットが明らかになった段階で、LLMO実務にどこまで応用できる情報が含まれるかを改めて検証する必要がある。
EU圏でのAI検索コンプライアンス対応が事業運営上の前提条件に
今回の指定により、OpenAIは通知から4ヶ月以内(目安として2027年1月頃まで)に追加的なDSA義務への対応を完了させる必要がある。年次リスク評価・外部監査・研究者データアクセス・透明性報告書といった一連の対応は、OpenAI自身のコンプライアンス業務の負荷を大きく高めることになるが、EU圏でビジネスを展開する事業者にとっても間接的な影響が生じうる。
具体的には、ChatGPTがシステミックリスク評価の一環として、コンテンツモデレーションポリシーやウェブ検索結果の取り扱い方針を見直す可能性があり、その結果としてEU域内ユーザー向けのChatGPT回答生成・引用挙動が変化する可能性は排除できない。もっとも、本稿執筆時点でそうした具体的な挙動変化が確認されているわけではなく、今後の動向を注視する必要がある段階にとどまる。
業種別のインパクト
EC・小売業: ChatGPT Shoppingタブの常時ピン留めなど、OpenAIがEU圏で進めているプロダクト展開(本サイト既報)とあわせて考えると、EU域内消費者向けにChatGPT経由の購買行動が今後さらに拡大する可能性がある。VLOSE指定に伴うコンプライアンス強化がユーザー体験や検索結果の表示方法にどう影響するかは、EU圏で事業を展開するEC事業者にとって継続的な注視ポイントになる。
メディア・パブリッシャー: DSA上の透明性義務やシステミックリスク評価の対象には、情報の信頼性やコンテンツモデレーションの観点が含まれる。ChatGPTがウェブ検索結果として引用するソースの選定基準や、誤情報対策の運用がどう変化するかは、AI検索経由の流入を重視するメディア・パブリッシャーにとって直接的な関心事項となる。
BtoB・SaaS企業: 直接的なコンプライアンス対応の主体はOpenAI側だが、EU域内での事業活動においてAI検索サービスの規制環境が厳格化していく流れそのものは、LLMO戦略を検討するうえでのマクロ環境要因として押さえておく価値がある。特にEU域内の顧客向けにコンテンツマーケティングやLLMO施策を展開している企業は、規制動向の変化がChatGPTの回答挙動に波及するリスクをモニタリング項目に加えておくとよい。
LLMO・SEOコンサルティング事業者: 「ChatGPTが法的に検索エンジンと認定された」という事実は、クライアント企業への説明・提案の根拠として活用できる象徴的な材料になる。従来型SEOとLLMOの境界が制度面でも接近しつつあることを示す事例として、業界の潮流を説明する際の一次情報として押さえておきたい。
今すぐできる対応策
- 欧州委員会の公式発表原文(digital-strategy.ec.europa.eu)を確認し、VLOSE指定の正確な根拠・義務内容を一次情報で把握する
- 自社がEU域内でChatGPT経由の流入・引用を重視している場合、今後4ヶ月間(2027年1月頃まで)のOpenAIのコンプライアンス対応状況を定期的にチェックする運用フローを整備する
- DSA第27条の推奨システム開示義務がVLOSEには適用除外である一方、監査・データアクセス・透明性報告書といった別の透明性義務が課される点を正しく理解し、社内外への説明で混同しないようにする
- ChatGPTが今後公表する6ヶ月ごとの透明性報告書を確認し、LLMO施策に応用できる情報が含まれていないか継続的にウォッチする
- EU AI Act第50条・DMA関連のGoogle規制など、既報の関連ニュースとあわせてEUのAI検索規制強化の全体像を社内で整理し、EU圏でのAI検索コンプライアンスに関するナレッジベースを構築する
- EC・小売業など消費者向けビジネスを展開する事業者は、ChatGPT ShoppingタブなどOpenAIのEU固有プロダクト展開の動向とあわせて、VLOSE指定後のユーザー体験変化を注視する
- 適格研究者向けデータアクセスの運用が具体化した段階で、学術研究に基づくAI検索の透明性データが公開される可能性があるため、関連する学術・業界レポートの情報収集チャネルを確保しておく
- 自社のLLMOレポーティングにおいて、「ChatGPTの法的位置づけ(検索エンジンとしての規制対象化)」を踏まえた説明資料をアップデートし、クライアントや社内ステークホルダーへの説明に活用する
- Reddit・RobloxのVLOP指定など、同時に進行しているDSA上の他社動向もあわせて把握し、AI検索・プラットフォーム規制全体の潮流を俯瞰的に理解する
よくある質問
Q1. ChatGPTのVLOSE指定とは具体的に何を意味するのか。
欧州委員会が2026年8月31日、DSA上「非常に大規模なオンライン検索エンジン」としてChatGPTを正式指定したことを指す。
EU域内で月間平均4,500万人以上のユーザーに到達するサービスが対象となる最も厳格な規制ティアであり、OpenAIが報告したChatGPT検索機能のEU域内月間平均利用者数(約1億5,910万人)は、この閾値の3倍超に達していた。
Q2. ChatGPTはなぜ「検索エンジン」に分類されたのか。
欧州委員会が、ChatGPTをユーザーのプロンプトに応答しつつウェブ検索も行う「ハイブリッドサービス」と位置づけ、オンライン検索エンジンに該当すると判断したため。
この分類はChatGPTのライブウェブ検索機能に基づくものであり、生成AIチャットボットという製品カテゴリ全体を検索エンジンと認定したものではない点に注意が必要だ。
Q3. Reddit・Robloxも同時に指定されたのか。両者との違いは何か。
同じ2026年8月31日に、Reddit・Robloxは「非常に大規模なオンラインプラットフォーム(VLOP)」として指定された。ChatGPTのVLOSEとは異なる区分である。
VLOPとVLOSEは共通してDSA上の最上位規制ティアだが、DSA第27条の推奨システム開示義務はVLOPには適用される一方、VLOSEには適用除外となっているなど、義務の一部に違いがある。
Q4. VLOSE指定によりChatGPTにはどのような義務が課されるのか。
主に、システミックリスクの年次評価と軽減措置、独立監査人による年1回以上の外部監査、コンプライアンス監視用データの提供、適格研究者へのデータアクセス、6ヶ月ごとの透明性報告書の5点が課される。
監査結果が完全にポジティブでない場合には、是正措置を講じるか、その理由を説明する義務が生じる。OpenAIは指定通知から4ヶ月以内(目安として2027年1月頃まで)にこれらへの対応を完了させる必要がある。
Q5. DSA第27条の適用除外とはどういうことか。
DSA第27条が定める「推奨システムの主要パラメータを平易な言語で開示する義務」は、一般的なオンラインプラットフォームには適用されるが、オンライン検索エンジン・VLOSEには適用除外となっている。
ただし、これはVLOSEに対する透明性義務全般が軽いことを意味するものではない。監査対応・研究者へのデータアクセス・透明性報告書など、検索エンジン特有の別の透明性義務が課される点は明確に区別して理解する必要がある。
Q6. 今回の指定はDSA上何番目の「非常に大規模」指定になるのか。
ChatGPT・Reddit・Robloxの指定により、DSA上「非常に大規模」なプラットフォーム・検索エンジンとして指定されているサービスの総数は28に到達した。
Google検索やBing、大手SNSプラットフォームなど、既存の主要サービスに続く形での指定拡大となる。
Q7. この指定はLLMO・AI検索最適化の実務にどのような影響を与えるか。
直接的な施策変更を必要とするものではないが、「ChatGPTが法的に検索エンジンとして扱われている」という事実が、LLMO実務の位置づけを裏付ける材料になる。
適格研究者向けデータアクセスや透明性報告書の運用が具体化すれば、中長期的にはAI検索の可視性・引用メカニズムに関する第三者データが増える可能性があり、継続的な注視が推奨される。
Q8. なぜこのタイミングでの指定なのか、背景に何があるのか。
EU AI Act第50条の透明性義務適用開始(2026年8月2日)、DMA関連のGoogle検索データ共有、Google AI OverviewsへのDMA罰金など、2026年を通じたEUのAI検索規制強化の流れの延長線上にある動きと位置づけられる。
OpenAI自身もChatGPT ShoppingタブのEU限定展開など、EU固有のプロダクト対応を進めており、規制とプロダクト展開の両面でEU市場への対応が同時進行している状況だ。
Q9. 今回の指定でChatGPTの回答内容やアルゴリズムがすぐに変わるのか。
本稿執筆時点で、具体的な回答生成挙動の変更が確認されているわけではない。義務対応の期限は指定通知から4ヶ月以内とされており、対応の詳細が明らかになるのはこれからだ。
年次リスク評価やコンテンツモデレーション方針の見直しが、結果としてEU域内向けの回答挙動に影響する可能性はあるが、現時点では推測の域を出ない。今後の公式発表・報道を注視する必要がある。
Q10. 他の生成AIサービス(Gemini、Perplexityなど)も今後同様の指定を受ける可能性はあるか。
本稿の情報の範囲では、他の生成AIサービスに関する具体的な指定の動きは確認されていない。
ただし、今回の指定がChatGPTのライブウェブ検索機能を根拠にしている以上、同様のウェブ検索機能を備え、かつEU域内で月間4,500万人以上の利用者を持つ他の生成AI検索サービスも、将来的に同様の基準で評価される可能性は理論上排除できない。
関連記事
参考文献
- Commission designates ChatGPT, Reddit and Roblox under the Digital Services Act — European Commission(参照: 2026-09-03)
- ChatGPT Is Now A 'Very Large Online Search Engine' In The EU — Search Engine Journal(参照: 2026-09-03)
- What does the EU 'very large search engine' tag mean for ChatGPT? — Business Standard(参照: 2026-09-03)
- EU places ChatGPT, Reddit and Roblox under strictest digital safety rules — Euronews(参照: 2026-09-03)
- EU Designates ChatGPT for Tougher DSA Search Engine Scrutiny — Winbuzzer(参照: 2026-09-03)
- EU DSA: ChatGPT Becomes a VLOSE, Reddit and Roblox Join VLOPs — Tech-ish(参照: 2026-09-03)
- The EU Has Officially Decided ChatGPT Is a Search Engine — Gizmodo(参照: 2026-09-03)
関連用語
- クエリ
クエリとは、ユーザーが実際に検索窓に入力した検索語のこと。SEOで使う「キーワード」と似ていますが、キーワードが事前に狙う言葉、クエリが実際に打たれた言葉、というニュアンスの違いがあります。
- ChatGPT検索
ChatGPT検索(ChatGPT Search)とは、OpenAIが2024年10月に公開した、ChatGPTがWebをリアルタイム検索して出典付きで回答する機能。Perplexityと並ぶLLMO主戦場のひとつです。
- Perplexity
Perplexity(パープレキシティ)とは、回答に必ず引用元(出典URL)を表示する米国発のAI検索エンジン。2022年公開で急速に成長中。LLMOで「サイテーションされる」最初の主戦場として重視されています。
- ランキング
ランキングとは、検索結果のどの位置(何位)にページが表示されるかを決める仕組み・順位そのもの。Googleは200以上の要素を組み合わせてランキングを決めていると言われています。
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