Search Console 生成AIオプトアウト設定とは|AI Overviews 除外の判断基準と手順
2026年6月にGoogleがSearch Consoleへ追加した生成AIオプトアウト設定を解説。AI Overviews・AI Mode からの除外範囲、nosnippet や Google-Extended との違い、除外すべきかの判断基準と実装手順を一次情報ベースで整理します。
目次(44項目)
- はじめに
- 2026年6月に何が起きたのか:CMA 規制とGoogleの対応
- 発端は英国の競争法規制
- Google 側の実装とタイムライン
- なぜ「英国限定」なのか
- 「Search generative AI」設定の実態:何を止め、何を止めないのか
- 設定場所と操作
- カバー範囲
- カバー範囲外
- 順位への影響はあるか
- 従来の制御手段との比較:nosnippet / max-snippet / Google-Extended / noindex
- 制御手段の一覧比較
- Google-Extended の重大な誤解
- nosnippet の代償
- 部分制御という選択肢
- オプトアウトすべきか:判断フレームワーク
- 前提となる数字
- オプトアウトが解決しない問題
- それでもオプトアウトに合理性がある3ケース
- 判断チェックリスト
- 引用状況を測ってから決める
- 実装手順:確認から効果測定まで
- オプトアウトしない場合の戦略:引用される側に回る
- Google 公式が示す最適化の方向性
- 引用されやすいコンテンツの構造要件
- 第三者言及の重要性
- プラットフォーム分散という現実解
- 日本のサイト運営者が2026年後半に備えるべきこと
- 設定が来る前にやっておくこと
- 規制動向の注視ポイント
- 過剰反応を避ける
- まとめ
- よくある質問
- Q. 日本のサイトでもこの設定は使えますか?
- Q. オプトアウトすると通常検索の順位は下がりますか?
- Q. Google-Extended をブロックすれば AI Overviews に出なくなりますか?
- Q. nosnippet と新しいトグルはどちらを使うべきですか?
- Q. オプトアウトすれば AI Overviews の表示自体が消えますか?
- Q. 一度オプトアウトした後、元に戻せますか?
- Q. 生成AIパフォーマンスレポートでクリック数は見られますか?
- Q. 他社の AI 検索での引用も止められますか?
- Q. CMA の規制は具体的に何を Google に義務づけましたか?
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Search Console 生成AIオプトアウト設定とは|AI Overviews 除外の判断基準と手順
この記事の結論: 2026年6月3日、Google は Search Console に「Search generative AI」という設定項目を追加し、通常の検索順位を維持したまま AI Overviews・AI Mode・Discover 内 AI Overviews への表示だけを拒否できるようにしました。これは英国 CMA の規制対応として英国の一部サイトから先行提供されているもので、日本を含む他地域への展開時期は未公表です。従来 nosnippet を使うしかなかった「AI だけ止める」要求が、通常スニペットを犠牲にせず実現できるようになった点が本質的な変化です。ただし対象は Google 検索の生成AI面に限られ、Gemini アプリや他社 AI 検索には効きません。大半のサイトにとって合理的な選択は「オプトアウトしない」であり、この設定は交渉材料を持つ大手パブリッシャー向けの武器と理解すべきです。
最終更新日: 2026年7月19日
はじめに
生成AI検索の登場以来、サイト運営者は不愉快な二択を突きつけられてきました。AI Overviews に自社コンテンツを要約されるのを黙認するか、それとも nosnippet を使って AI から身を守る代わりに通常検索のスニペットまで失うか、です。この二択が不愉快だったのは、どちらを選んでも損をする構造になっていたからです。前者を選べばゼロクリック化でトラフィックを削られ、後者を選べば検索結果でのクリック率そのものが崩壊します。
2026年6月3日、この構造が一部の地域で崩れました。Google が Search Console に「Search generative AI」という独立した設定を追加し、通常検索での表示・順位を一切変えずに、生成AI面への露出だけを拒否できるようにしたのです。Search Engine Land はこの変更を「AI 応答内でコンテンツをブロックするコントロール」として報じ、同日 Google Search Central Blog も生成AIパフォーマンスレポートの導入とあわせてアナウンスしました。
重要なのは、この機能が Google の自発的なプロダクト改善ではないという点です。英国の競争・市場庁(CMA)が Google に対して課した行為要件(conduct requirement)への対応として実装されたものであり、だからこそ最初の提供対象は英国のサイト所有者の一部に限定されています。GOV.UK の発表では、これは「世界初」の措置として位置づけられています。
この記事では、この設定が実際に何を止めて何を止めないのか、既存の nosnippet や Google-Extended とどう違うのか、そして日本のサイト運営者は 2026年後半に向けて何を準備すべきかを、一次情報にあたりながら整理します。結論から言えば、大半のサイトにとって「オプトアウトする」は誤った選択です。しかしなぜ誤りなのかを構造的に理解しておくことは、生成AI検索時代の意思決定の土台になります。
2026年6月に何が起きたのか:CMA 規制とGoogleの対応
発端は英国の競争法規制
この設定を理解するには、まず Google の意思ではなく英国政府の規制から話を始める必要があります。
英国 CMA は2025年10月、Google を一般検索サービスにおける「戦略的市場地位」(Strategic Market Status、SMS)を持つ事業者として指定しました。英国のデジタル市場競争消費者法(DMCC)に基づくこの指定は、企業に違法行為があったことを立証しなくても、指定さえすれば拘束力のある行為要件を課せるという強力な枠組みです。Google は英国の検索の90%超を握っており、指定は避けられないものでした。
SMS 指定を受けて CMA が2026年6月に課した行為要件は、パブリッシャー保護を三つの柱で構成しています。
- AI 機能からのオプトアウト: 通常検索での表示を維持したまま、AI Overviews や AI Mode でのコンテンツ利用を拒否できること
- 適切なアトリビューション: AI 生成回答内で、出典への明瞭なリンクを提示すること
- ファインチューニングからの除外: 自社コンテンツが Google の AI モデルの微調整に使われることを拒否できること
CMA はこの介入を「世界初」と表現し、報道機関などのパブリッシャーが Google とコンテンツ取引を交渉する際の立場を強化するものだと説明しています。TechCrunch も2026年6月3日の記事で、この規制がパブリッシャーに交渉力を与えるものだと報じました。
Google 側の実装とタイムライン
Google 側の対応は素早いものでした。判明している日程を整理すると次の通りです。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年10月 | CMA が Google を一般検索で SMS 指定 |
| 2026年6月3日 | Google が Search Console に生成AI関連の設定とパフォーマンスレポートを発表 |
| 2026年6月17日 | オプトアウト設定の効力が発生(設定が実際に反映され始める) |
| 2026年12月 | CMA 行為要件の主要義務の発効予定時期 |
| 未定 | 英国以外へのグローバル展開 |
注意すべきは、6月3日の発表と6月17日の効力発生に約2週間の間隔があることです。設定 UI が現れてから実際に生成AI面での表示が止まるまでにはタイムラグがあり、トグルを切り替えた瞬間に AI Overviews から消えるわけではありません。
また、CMA 行為要件の主要義務そのものは2026年12月の発効が予定されており、6月時点の実装は先行対応という位置づけです。つまり2026年後半にかけて、この機能の仕様が変わったり対象範囲が広がったりする可能性は十分にあります。
なぜ「英国限定」なのか
現時点で提供対象は英国のサイト所有者の一部です。Google はこれを「十分にテストしフィードバックを得るため、一部のウェブサイトに段階的に展開している」と説明しており、将来的なグローバル展開に言及していますが、具体的な日付は示していません。
規制起点の機能である以上、Google に他地域へ展開するインセンティブは本来ありません。それでも展開の可能性が語られるのは、EU のデジタル市場法(DMA)をはじめ類似の規制圧力が各地で高まっており、地域ごとに別実装を維持するよりグローバル共通機能にした方が運用コストが低いという事情があるためです。日本には現時点で同等の規制枠組みは存在しませんが、Google が世界展開を選べば日本のサイトでも設定が現れることになります。
「Search generative AI」設定の実態:何を止め、何を止めないのか
設定場所と操作
Search Console の Settings(設定)→ Search generative AI に配置されています。トグル形式で、オンにしておけば従来通り生成AI面に表示され、オフにすれば除外されます。
Google の説明では、サイト所有者は「自社サイトが当社の生成AI検索機能(AI Overviews、AI Mode、Discover 内 AI Overviews など)に表示され、応答のグラウンディングに使われるかどうかを決定できる」とされています。
カバー範囲
オプトアウトが効くのは、Google 検索プロダクト内の以下の三つの面です。
- AI Overviews: 検索結果上部に表示される生成要約
- AI Mode: 対話型の検索体験(2026年時点で Gemini 3.5 Flash がデフォルト)
- Discover 内の AI Overviews: Discover フィードに差し込まれる生成AIレイヤー
カバー範囲外
ここが最も誤解されやすい部分です。以下はオプトアウトしても止まりません。
- Gemini アプリ: 同じモデルファミリーで動いていても、別プロダクト・別の推論パイプラインであり、このトグルのスコープ外です
- Vertex AI 経由の利用: Google Cloud 側の AI 製品での利用は別系統の制御対象です
- ChatGPT / Perplexity / Claude などの他社 AI 検索: Google の設定なので当然ながら一切影響しません
- 通常の Google 検索: これは「止まらない」ことが利点です。順位もスニペットも維持されます
つまりこの設定は「AI から身を守る万能スイッチ」ではなく、「Google 検索プロダクト内の生成AI面に限定した表示拒否」という極めて限定的なものです。他社 AI 検索での引用を止めたいなら、robots.txt の完全ガイドで解説しているクローラー単位の制御を別途行う必要があります。
順位への影響はあるか
Google は明確に否定しています。オプトアウトの選択は「これら生成AI検索機能の外側の検索結果に対するランキングシグナルとしては使用されない」と述べており、通常検索の順位が下がる懸念は公式には払拭されています。
ただし、Google が同時に警告しているのは失うものの方です。「オプトアウトしたサイトは、当社の生成AI機能からのトラフィックとインプレッションを受け取らない」――つまり AI Overviews 経由の引用リンクからの流入は完全にゼロになります。順位は守られるが、AI 面からの流入は捨てる、というトレードオフです。
従来の制御手段との比較:nosnippet / max-snippet / Google-Extended / noindex
生成AIとコンテンツ利用をめぐる制御手段は複数あり、それぞれ効く範囲が違います。混同すると「対策したつもりで何も止まっていない」あるいは「止めすぎて検索流入を失う」という事故が起きます。
制御手段の一覧比較
| 制御手段 | AI Overviews / AI Mode | 通常検索スニペット | 通常検索の順位 | Gemini アプリ | モデル学習 |
|---|---|---|---|---|---|
| Search generative AI トグル | 止まる | 影響なし | 影響なし | 止まらない | 別要件 |
nosnippet | 止まる(入力として不使用) | 消える | 間接的に悪影響 | – | – |
max-snippet:N | 使用量が制限される | N 文字に制限 | 間接影響あり | – | – |
data-nosnippet | 該当箇所のみ除外 | 該当箇所のみ消える | 影響小 | – | – |
noindex | 止まる | 消える | インデックス自体消滅 | – | – |
| Google-Extended | 止まらない | 影響なし | 影響なし | 止まる | 止まる |
| robots.txt で Googlebot 拒否 | 止まる | 消える | インデックス消滅 | – | – |
Google-Extended の重大な誤解
実務上いちばん多い事故がこれです。「Google-Extended を robots.txt でブロックしたから AI Overviews に出ないはず」という思い込みは誤りです。
AI Overviews と AI Mode は、Google-Extended のクロール結果ではなく、Googlebot が収集した通常の検索インデックスを参照して回答を生成しています。Google-Extended が制御するのは Gemini アプリや Vertex AI といった別系統の AI 製品におけるモデル学習とグラウンディングです。したがって Google-Extended を全面ブロックしても AI Overviews での引用は止まりませんし、逆に Google-Extended を許可しても AI Overviews に出やすくなるわけでもありません。
この切り分けについては学習用ボットと検索用ボットの allow/block 判断でより詳しく整理しています。
nosnippet の代償
2026年6月以前、AI Overviews からの離脱手段として実質的に唯一機能したのが nosnippet でした。Google のドキュメントでも、nosnippet はテキストスニペットと動画プレビューを抑止すると同時に、コンテンツが AI Overviews および AI Mode の直接的な入力として使われることを防ぐと説明されています。
しかしその代償は通常検索でのスニペット消失です。スニペットのない検索結果はタイトルと URL だけになり、クリック率は大きく落ちます。順位が変わらなくても実質的な流入は減るため、「AI だけ止めたい」という要求に対しては割に合わない手段でした。
新しいトグルの本質的な価値は、このカップリングを解除した点にあります。AI 面の露出と通常スニペットが初めて独立して制御できるようになったわけです。nosnippet を含むメタタグ全般の挙動はnoindex タグの使い方ガイドやnoarchive ディレクティブの現在の扱いもあわせて確認してください。
部分制御という選択肢
全面オプトアウトか全面許可かの二択ではありません。data-nosnippet を使えば、ページ内の特定要素だけを AI の入力から外せます。たとえば有料記事の本文コアだけを data-nosnippet で囲み、リード文と見出しは開放しておけば、AI Overviews に「概要は引用されるが本文の核心は引用されない」状態を作れます。
<article>
<p>この導入部分は AI の引用対象として開放する。</p>
<div data-nosnippet>
<p>ここが有料領域の核心。スニペットにも AI 入力にも使わせない。</p>
</div>
</article>
max-snippet:50 のように文字数上限を設ける方法も、AI が使える情報量を制限しつつ通常スニペットを完全には失わない折衷案として機能します。
オプトアウトすべきか:判断フレームワーク
ここからが実務上最も重要な論点です。設定できることと、設定すべきことは別問題です。
前提となる数字
判断材料として押さえておくべき業界データがあります。AI Overviews が表示されるクエリでは、非表示時に比べてオーガニッククリックが相対的に約47%減少するという分析があり、一部パブリッシャーのパネル調査では Google 経由の参照トラフィックが約3分の1減少したという報告も出ています。これらは監査済みの確定値ではなく方向性を示す指標として扱うべき数字ですが、AI Overviews がクリックを奪っていること自体は広く観測されています。
この数字を見ると「では止めるべきだ」と考えたくなります。しかしここに論理の飛躍があります。
オプトアウトが解決しない問題
AI Overviews からオプトアウトしても、AI Overviews は表示され続けます。あなたのサイトが引用されなくなるだけで、競合他社のコンテンツを引用した AI Overviews がそのクエリの上部に表示され、ゼロクリック化は変わらず進行します。
つまりオプトアウトで起きることは次の通りです。
- AI Overviews によるクリック減少 → 止まらない(他社ソースで生成されるため)
- AI Overviews 経由の引用リンク流入 → ゼロになる
- AI 回答内でのブランド名露出 → 消える
- 通常検索の順位とスニペット → 維持される
要するに、失うものだけがあって得るものがほとんどない構造です。ゼロクリック検索の本質的な問題は自社が引用されることではなく、AI 要約でユーザーの疑問が完結することにあるため、自社を引用対象から外しても問題は解決しません。
それでもオプトアウトに合理性がある3ケース
一方で、次のような立場のサイトには合理性があります。
- Google と有償ライセンス交渉をしているパブリッシャー: CMA が「交渉力を与える」と表現した通り、オプトアウトは交渉カードです。無償利用を止められる立場を持つこと自体が価値になります
- コンテンツそのものが商品である事業: 有料データベース、調査レポート、専門メディアなど、要約されると商品価値が毀損する場合
- 法務・コンプライアンス要件がある場合: 契約や規制上、コンテンツの二次利用を制限する義務があるケース
逆に言えば、流入獲得を目的とする一般的な事業サイト・オウンドメディアには当てはまりません。
判断チェックリスト
自社がどちらに属するか、以下を確認してください。
- AI Overviews 経由の流入が現在ゼロである(引用されていないので失うものがない)
- コンテンツ閲覧そのものが収益源であり、要約が代替品になる
- Google または他の AI 事業者とライセンス契約の交渉余地がある
- コンテンツの二次利用を制限する法的義務がある
- AI 経由のブランド認知獲得を戦略上重視していない
上記に3つ以上該当しないサイトは、オプトアウトすべきではありません。
引用状況を測ってから決める
判断の前提として、そもそも自社が AI 検索でどれだけ引用されているかを把握する必要があります。引用ゼロのサイトがオプトアウトしても意味がなく、逆に主要な流入源になっているのに気づかず遮断すれば大損害です。
aiseo-llmo では、自社サイトが主要な AI 検索でどの程度引用されているかを調べるAI引用率の無料診断を提供しています。オプトアウトの是非を検討する前に、失う可能性のあるものの実測値を持っておくことをおすすめします。同じ手法で、生成AIパフォーマンスレポートの読み方と突き合わせれば、Google 内外の露出状況を並べて評価できます。
実装手順:確認から効果測定まで
実際に設定を扱う際の手順を、番号付きで整理します。日本のサイトではまだ設定が現れていない可能性が高いため、ステップ1で提供状況の確認から始めます。
-
設定の提供有無を確認する Search Console にログインし、対象プロパティを選択して Settings(設定)を開きます。「Search generative AI」の項目が存在するか確認します。表示されない場合は、そのプロパティが対象地域・対象ロールアウト範囲に入っていません。この時点で待機となります。
-
現在の生成AI経由の露出量を測定する 同じく Search Console の生成AIパフォーマンスレポートで、AI Overviews・AI Mode でのインプレッション数を確認します。2026年7月時点でこのレポートはインプレッション、ページ、国、デバイスを表示しますが、クリック数・CTR・平均掲載順位・クエリ別内訳は含まれていません。したがって「どれだけ表示されたか」は分かっても「どれだけクリックされたか」は分かりません。
-
参照元ログで実流入を補完する レポートにクリックデータがないため、サーバーログまたはアナリティクスの参照元で
google.comからの生成AI面経由と思われる流入を別途推定します。AI クローラーのログ解析の手法が応用できます。 -
失うものと得るものを金額換算する ステップ2〜3で得た数字をもとに、オプトアウトによって失う流入の推定値を出します。同時に、コンテンツ保護によって得られる価値(ライセンス収入の見込み、有料購読の維持など)を並べて比較します。数値化できない場合、オプトアウトの判断根拠は感情論になります。
-
部分制御で先に試す 全面オプトアウトの前に、
data-nosnippetによる部分制御を一部ページで試します。全面遮断より可逆性が高く、影響を局所化して観測できます。 -
設定を切り替える 判断が固まったらトグルを操作します。効力発生にはタイムラグがあることを前提に、切り替え日時を記録しておきます。
-
2週間〜1か月の観測期間を置く 6月3日の発表から6月17日の効力発生まで2週間あった前例から、反映には時間がかかると想定します。生成AIインプレッション、通常検索のクリック数、全体セッション数を並べて推移を追います。
-
通常検索側の指標を必ず監視する Google は順位に影響しないと明言していますが、公式説明と実測が食い違う可能性は常にあります。通常検索のクリック数・平均掲載順位が同時期に動いていないかを確認し、動いていれば戻す判断材料にします。
-
可逆性を確認しておく トグルはオフにした後オンに戻せますが、戻した後に元の引用頻度まで回復するかは保証されていません。生成AIの引用選択は動的であり、一度候補から外れたページが同じ扱いに戻る保証はない点をリスクとして認識しておきます。
オプトアウトしない場合の戦略:引用される側に回る
大半のサイトが選ぶべき「オプトアウトしない」を選んだ場合、次に考えるべきは引用される確率をどう上げるかです。
Google 公式が示す最適化の方向性
Google は2026年5月、生成AI検索向けの最適化に関する公式リソースを Search Central に公開しています。そこで繰り返し強調されているのは「特別な技術要件はない」という点です。新しい機械可読ファイルや AI 専用テキストファイル、専用マークアップを作る必要はないと明示されています。
この公式見解は、llms.txt が必要かどうかという論争に対する Google 側の回答でもあります。少なくとも Google 検索の生成AI面に関しては、既存の SEO の延長線上にあるというのが公式の立場です。
引用されやすいコンテンツの構造要件
とはいえ、AI が引用しやすい構造には実務的な傾向があります。
| 要素 | 引用されやすい形 | 避けるべき形 |
|---|---|---|
| 見出し | 質問形または結論を含む具体的な文 | 「概要」「はじめに」などの汎用語のみ |
| 結論の位置 | 見出し直後40〜80字で断定 | 前置きを重ねて最後に結論 |
| 数値・日付 | 出典と基準日を併記 | 「最近」「多くの」など曖昧表現 |
| 定義 | 一文で完結する定義文を用意 | 複数段落に定義が分散 |
| 比較 | 表形式で軸を明示 | 散文で列挙 |
AI は回答生成時に、抜き出してそのまま使える単位の情報を優先します。段落をまたいで読解しないと結論が取れない構造は、引用候補から外れやすくなります。
第三者言及の重要性
生成AI が「どのブランドを名指しするか」を判断する際、自社サイトの記述だけでは不十分です。ブランドが自称する内容について、外部からの裏付けが取れるかどうかが判断材料になります。第三者メディアでの言及、独立した参照の蓄積、事実の精度、構造的な明瞭さ――これらが組み合わさって初めて名指しの対象になります。
つまりLLMOの実務は自社サイト内の最適化だけでは完結せず、外部での言及獲得を含む広報活動と地続きになります。この構造はSEOとLLMOのハイブリッド戦略で詳しく展開しています。
プラットフォーム分散という現実解
Google の生成AI面だけを見て意思決定するのは危険です。2026年時点で AI 検索の入口は分散しており、ChatGPT、Perplexity、Claude、各社のブラウザ内蔵 AI などが並存しています。Google のオプトアウト設定はこれらに一切影響しないため、Google 内での露出を捨てても他社 AI 検索での引用は続きます。
逆に言えば、Google でオプトアウトしたサイトも他社 AI 検索での可視性は維持できます。「Google だけ止めて他は開放する」という非対称な戦略が技術的に可能になったのは、この設定の副次的な効果です。
日本のサイト運営者が2026年後半に備えるべきこと
設定が来る前にやっておくこと
日本での提供時期は未定ですが、来たときに慌てないための準備は今できます。
1. ベースラインを記録する 現時点の生成AI経由インプレッション、通常検索クリック、全体流入を月次で記録しておきます。設定が導入された後に比較対象がなければ、影響の測定ができません。
2. 制御手段の現状を棚卸しする
自社の robots.txt とメタタグを確認し、意図せず nosnippet や Google-Extended のブロックが入っていないかを点検します。過去に「AI 対策」として設定したものが、実は意図と違う範囲に効いている(あるいは全く効いていない)ケースは珍しくありません。
3. 判断基準を事前に文書化する 設定が現れてから議論を始めると、社内の感情論に流されます。「AI 経由流入が全体の何%を超えたらオプトアウトしない」「ライセンス交渉が成立したら検討する」といった閾値を先に決めておきます。
規制動向の注視ポイント
日本には現時点で CMA の SMS 指定に相当する枠組みはありませんが、2026年に施行された競争関連法制や文化庁の生成AIと著作権に関する議論など、周辺の規制環境は動いています。Google が地域ごとに別実装を維持するコストを嫌ってグローバル展開する可能性と、規制がない地域には提供しないという判断の両方があり得ます。
現実的な見通しとしては、2026年12月の CMA 行為要件の主要義務発効に向けて Google 側の実装が固まり、その後にグローバル展開の判断が下されるという流れが想定されます。したがって日本での提供があるとしても2027年以降になる可能性が高いと見るのが妥当です。
過剰反応を避ける
最後に強調しておきたいのは、この設定の登場を「AI 検索から撤退できるようになった」と解釈すべきではないという点です。
CMA が意図したのはパブリッシャーの交渉力強化であり、AI 検索そのものの否定ではありません。Google 側も通常検索の順位に影響させないと明言することで、オプトアウトが「罰」にならないよう設計しています。この設計は裏を返せば、Google がオプトアウトの選択率が低いことを想定しているという意味でもあります。生成AI面からの流入を自ら捨てる事業者は少ないという読みです。
大半のサイトにとって取るべき行動は、オプトアウトの検討ではなく、AI検索最適化の実務を通じて引用される確率を上げることです。守りの設定が増えたからといって、攻めの優先順位が変わるわけではありません。
まとめ
2026年6月3日に Search Console へ追加された「Search generative AI」設定は、英国 CMA の行為要件への対応として実装されたもので、通常検索の順位とスニペットを維持したまま AI Overviews・AI Mode・Discover 内 AI Overviews への表示だけを拒否できます。6月17日に効力が発生し、現在は英国の一部サイトに限定提供されています。
技術的な意義は、nosnippet で不可分だった「AI 面の露出」と「通常スニペット」を初めて分離できるようになった点にあります。一方で Gemini アプリや他社 AI 検索には一切効かず、Google-Extended とも制御対象が異なるため、混同は事故のもとです。
判断としては、オプトアウトしても AI Overviews 自体は他社ソースで生成され続けるため、ゼロクリック化は解決しません。失う流入だけがある構造であり、有償ライセンス交渉を持つパブリッシャーやコンテンツ自体が商品である事業を除けば、選ぶ理由は乏しいと言えます。日本での提供は未定ですが、来たときに数値で判断できるよう、今のうちにベースラインの記録と制御手段の棚卸しを済ませておくのが実務的な備えです。
よくある質問
Q. 日本のサイトでもこの設定は使えますか?
2026年7月時点では使えません。英国の一部サイト所有者に限定して提供されており、日本を含む他地域への展開時期は公表されていません。
この機能は英国 CMA の規制対応として実装されたもので、Google の自発的な機能追加ではありません。したがって規制のない地域に展開する義務は Google にはありません。ただし地域別実装を維持する運用コストや、EU など他地域での規制圧力を考えると、将来的なグローバル展開の可能性は残ります。CMA 行為要件の主要義務発効が2026年12月に予定されているため、実装が固まるのはその前後、日本での提供があるとすれば2027年以降が現実的な見通しです。Search Console の Settings に「Search generative AI」の項目が現れるかどうかで、自社プロパティが対象かを判別できます。
Q. オプトアウトすると通常検索の順位は下がりますか?
下がりません。Google はオプトアウトの選択を生成AI検索機能の外側の検索結果に対するランキングシグナルとしては使用しないと明言しています。
これは重要な設計上の保証です。CMA の要件が「通常検索での可視性を維持したまま AI 利用を拒否できること」を求めていたため、順位に影響させる実装は規制違反になります。ただし失うものはあります。オプトアウトしたサイトは生成AI機能からのトラフィックとインプレッションを一切受け取らなくなるため、AI Overviews 内の引用リンク経由の流入はゼロになります。順位は守られるが AI 面の流入は捨てる、というトレードオフとして理解してください。なお公式説明と実測が食い違う可能性は常にあるため、切り替え後は通常検索のクリック数と平均掲載順位を必ず監視すべきです。
Q. Google-Extended をブロックすれば AI Overviews に出なくなりますか?
なりません。これは実務で最も多い誤解です。Google-Extended が制御するのは Gemini アプリや Vertex AI におけるモデル学習とグラウンディングであり、AI Overviews には影響しません。
AI Overviews と AI Mode は、Google-Extended のクロール結果ではなく Googlebot が収集した通常の検索インデックスを参照して回答を生成しています。したがって robots.txt で Google-Extended を全面拒否しても、AI Overviews での引用は止まりません。逆に Google-Extended を許可しても AI Overviews に出やすくなるわけでもなく、両者は独立した系統です。AI Overviews を止めたいなら nosnippet か新しい Search generative AI トグル、Gemini アプリでの利用を止めたいなら Google-Extended、と目的別に使い分ける必要があります。
Q. nosnippet と新しいトグルはどちらを使うべきですか?
設定が使えるならトグルです。nosnippet は通常検索のスニペットまで消えるため、クリック率が大きく落ちるという代償があります。
nosnippet は AI Overviews と AI Mode の直接的な入力としての利用を防ぐ効果を持ちますが、同時にテキストスニペットと動画プレビューも抑止します。スニペットのない検索結果はタイトルと URL だけになり、実質的な流入が減ります。新しいトグルの本質的な価値は、この AI 面の露出と通常スニペットのカップリングを解除した点にあります。トグルが使えない地域では、全面的な nosnippet の代わりに data-nosnippet で保護したい箇所だけを限定するか、max-snippet で文字数上限を設ける折衷案を検討してください。
Q. オプトアウトすれば AI Overviews の表示自体が消えますか?
消えません。自社サイトが引用されなくなるだけで、そのクエリの AI Overviews は競合他社のコンテンツを引用して生成され続けます。
ここがオプトアウトの判断で最も誤解されやすい点です。AI Overviews によるクリック減少は「自社が引用されているから」起きているのではなく、AI 要約でユーザーの疑問が完結してしまうから起きています。したがって自社を引用対象から外しても、検索結果上部に AI Overviews が表示される状況は変わらず、ゼロクリック化も止まりません。結果として失う流入だけが残る構造になります。この非対称性を理解せずに「AI に取られるくらいなら止める」と判断すると、状況を悪化させるだけになります。
Q. 一度オプトアウトした後、元に戻せますか?
トグルなので設定自体はオンに戻せます。ただし元の引用頻度まで回復する保証はありません。
生成AI の引用選択は動的で、どのソースを使うかはクエリごと・生成ごとに変わります。オプトアウト期間中に競合サイトが該当トピックで引用実績を積めば、復帰後に同じポジションへ自動的に戻るとは限りません。また6月3日の発表から6月17日の効力発生まで約2週間あった前例から、設定変更の反映には時間がかかると想定されます。オンに戻した場合も即座に引用が再開するわけではないでしょう。可逆性はあるが摩擦がある、という前提で判断してください。全面オプトアウトの前に data-nosnippet による部分制御で試すのが安全な進め方です。
Q. 生成AIパフォーマンスレポートでクリック数は見られますか?
見られません。2026年7月時点のレポートに含まれるのはインプレッション、ページ、国、デバイスまでで、クリック数・CTR・平均掲載順位・クエリ別内訳は提供されていません。
これは意思決定上の大きな制約です。自社ページが AI Overviews や AI Mode の回答内に表示されたことは確認できますが、それが実際の訪問につながっているか、どのクエリで表示されたかは分かりません。オプトアウトの損得を計算しようとしても、失う流入の実額が測れないわけです。当面はサーバーログやアナリティクスの参照元データで補完し、生成AI面経由と推定される流入を別途集計する運用が必要になります。将来的にクリックデータが追加される可能性はありますが、2026年7月時点では未提供です。
Q. 他社の AI 検索での引用も止められますか?
止められません。Search Console の設定は Google 検索プロダクト内の生成AI面にのみ作用し、ChatGPT、Perplexity、Claude などの他社 AI 検索には一切影響しません。
他社 AI 検索での利用を制御したい場合は、robots.txt でクローラー単位に指定する必要があります。GPTBot、ClaudeBot、PerplexityBot など各社が公開しているユーザーエージェントを個別に扱うことになりますが、ここでも学習用ボットと検索用ボットの区別が重要です。検索用ボットまでブロックすると、そのプラットフォームの AI 検索結果から完全に姿を消すことになります。Cloudflare の Content Signals Policy のように、robots.txt 内で用途別のシグナルを表明する枠組みも出てきているため、複数プラットフォームを横断した制御ポリシーとして設計するのが現実的です。
Q. CMA の規制は具体的に何を Google に義務づけましたか?
パブリッシャー保護を三つの柱で義務づけました。AI 機能からのオプトアウト、AI 回答内での適切なアトリビューション、モデルのファインチューニングからの除外です。
背景として、CMA は2025年10月に Google を一般検索サービスにおける戦略的市場地位(SMS)事業者として指定しました。英国のデジタル市場競争消費者法に基づくこの枠組みでは、違法行為の立証なしに拘束力のある行為要件を課せます。CMA はこの介入を世界初と位置づけ、報道機関などのパブリッシャーが Google とコンテンツ取引を交渉する立場を強化するものだと説明しています。主要義務の発効は2026年12月が予定されており、6月時点の Search Console 実装は先行対応という位置づけです。今後仕様が変わる可能性は残ります。
関連用語
関連記事
参考文献
- AI Features and Your Website — Google Search Central(参照: 2026-07-19)
- Introducing Search Generative AI performance reports in Search Console — Google Search Central Blog(参照: 2026-07-19)
- CMA secures fairer deal for publishers and improves Google search services in UK — GOV.UK / Competition and Markets Authority(参照: 2026-07-19)
- Google Search Console AI performance reports and controls to block your content in AI responses — Search Engine Land(参照: 2026-07-19)
- Google、AI Overviews・AI Modeへの表示を制御できる新機能をSearch Consoleに導入 — 海外SEO情報ブログ(参照: 2026-07-19)
- Publishers will be able to opt out of AI Search, thanks to new regulation — TechCrunch(参照: 2026-07-19)
関連用語
- インデックス
インデックスとは、クローラーが集めたページをGoogleがデータベースに登録すること。インデックスされて初めて検索結果に表示される対象になります。「索引」とイメージすると分かりやすい用語です。
- llms.txt
llms.txtとは、サイト運営者がAIクローラーに「このサイトの重要な情報はここ」と伝えるためのMarkdownファイルの提案。2024年9月にJeremy Howard氏が提唱し、急速に普及しつつある新しい標準です。
- クエリ
クエリとは、ユーザーが実際に検索窓に入力した検索語のこと。SEOで使う「キーワード」と似ていますが、キーワードが事前に狙う言葉、クエリが実際に打たれた言葉、というニュアンスの違いがあります。
- グラウンディング
グラウンディングとは、LLMの回答を信頼できる外部情報源(Web・社内文書)に「接地」させて、ハルシネーション(嘘)を防ぐ仕組み。RAGはグラウンディングの代表的な実装方法です。
- クローラー
クローラーとは、Web上のページを自動巡回してデータを集めるプログラムのこと。Googleの「Googlebot」が代表例で、これに見つけてもらわないと検索結果に表示されません。
- ゼロクリック検索
ゼロクリック検索とは、ユーザーが検索結果ページ上で答えを得て、どのサイトもクリックせずに離脱する検索行動。フィーチャードスニペット・AI Overview の普及で2024年以降急増しています。
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