LLMO対策のRFP(提案依頼書)の書き方|そのまま使える記入例テンプレート
複数のLLMO対策会社にコンペ形式で相見積もりを依頼したい担当者向けに、一般的なRFPの型にLLMO特有の要求項目(対象AIプラットフォーム範囲・引用実績の証明方法・モニタリング体制など)を落とし込む書き方を、コピペで使える記入例テンプレート付きで解説する。
目次(35項目)
- はじめに
- RFPとRFI・見積依頼(RFQ)の違い、LLMO対策ではどう使い分けるか
- 一般的なRFPの記載項目とLLMO対策特有の落とし穴
- LLMO対策RFPに追加すべき5つの特有要求項目
- 1. 対象AIプラットフォームの範囲
- 2. AI引用実績の証明方法
- 3. モニタリング体制
- 4. 実装可能範囲
- 5. レポーティング頻度
- コピペで使えるLLMO対策RFPテンプレート全文(記入例つき)
- 表紙・宛先
- 1. プロジェクト概要
- 2. 現状の課題
- 3. 要求事項(機能要求)
- 4. 要求事項(LLMO特有の非機能要求)※本テンプレートの核心部分
- 5. 予算・スケジュール
- 6. 評価基準・選定方法
- 7. 提出方法・留意事項
- 評価基準・選定方法のテンプレート(採点シート)
- RFP作成でよくある失敗と回避策
- コンペ実施のスケジュールと進め方
- RFP送付前の最終チェックリスト
- よくある質問
- Q1. RFPは何社に送るべきですか?
- Q2. RFPとRFIの両方を作る時間がありません。RFPだけでもよいですか?
- Q3. LLMO特有の要求項目を書いても、会社側が理解してくれるか不安です。
- Q4. 提案書の分量に上限を設けるべきですか?
- Q5. 費用感が会社によって大きく違います。安い会社を除外すべきですか?
- Q6. RFPに記載した予算を会社に知らせると、その金額まで見積もりを吊り上げられませんか?
- Q7. プレゼン選考は必須ですか? 書面だけで決めてはいけませんか?
- Q8. RFP送付後、途中で要求事項を変更してもよいですか?
- Q9. 選定後、RFPに書いた内容は契約書にそのまま使えますか?
- Q10. 社内にLLMO対策の知見がなく、要求事項をどう書けばよいか分かりません。
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LLMO対策のRFP(提案依頼書)の書き方|そのまま使える記入例テンプレート
この記事の結論: 一般的なRFPの型(概要・現状課題・要求事項・評価基準)に、LLMO対策特有の5項目——対象AIプラットフォームの範囲、AI引用実績の証明方法、モニタリング体制、実装可能範囲、レポーティング頻度——を追加しない限り、複数社から出てくる提案書は前提がバラバラで比較できない。本記事はこの5項目を含むコピペ可能なRFPテンプレートと採点シートを提示し、コンペ形式での相見積もりを機能させる手順をまとめる。
最終更新日: 2026年8月4日
はじめに
複数のLLMO対策会社にコンペ形式で声をかけ、同じ土俵で提案を比較したい——そう考えて社内でRFPの作成を任されたものの、手が止まる担当者は多い。理由は単純で、世の中にあるRFPの解説記事はどれもシステム開発やWeb制作を前提にした一般論であり、「LLMO対策」という比較的新しい発注領域に固有の論点がまったく反映されていないからだ。
一般的なRFPの型自体は難しくない。プロジェクト概要、現状の課題、要求事項、評価基準、選定方法という5つの柱を押さえれば骨格は完成する。問題はその先である。LLMO対策は「AIにどう引用されるか」という、従来の受託開発やSEO施策にはなかった評価軸を扱う。ここを一般的なRFPの型のまま発注すると、各社は自社の得意な物差しで自由に提案してくるため、コンペの体裁を取っていても実質的には比較不能な提案書が3通並ぶだけに終わる。
この記事では、一般的なRFPの記載項目をベースにしながら、LLMO対策特有の要求項目をどこにどう書き足すかを、実際にコピペして使える記入例つきテンプレートで示す。単なるRFP一般論の焼き直しではなく、「LLMO対策会社に何を書かせれば、提案の解像度と比較可能性が上がるか」という一点に絞って解説する。RFPを書き終えたら、そのまま各社への依頼文書として送付し、回収した提案書を採点シートで横並び評価すれば、コンペは機能する。
RFPとRFI・見積依頼(RFQ)の違い、LLMO対策ではどう使い分けるか
RFP(Request for Proposal、提案依頼書)、RFI(Request for Information、情報提供依頼書)、RFQ(Request for Quotation、見積依頼書)は目的が異なる文書であり、混同すると発注プロセス全体が歪む。
| 文書 | 目的 | LLMO対策における使いどころ |
|---|---|---|
| RFI | 業者の実力・保有ノウハウの概況を把握する | 発注要件が固まる前の一次スクリーニング。5〜10社に送り、対応方針の温度感だけ見る |
| RFP | 具体的な要求事項を提示し、解決策の提案を求める | 本記事の対象。RFIで絞った3〜5社に送り、コンペで提案内容を比較する |
| RFQ | 仕様がほぼ固まった状態で価格のみを見積もらせる | 施策範囲・KPIが完全に固定できている再発注・更新時のみ有効 |
LLMO対策でRFQだけを使う発注は機能しにくい。理由は、LLMO対策の「仕様」自体—どのAIプラットフォームを対象にするか、どの測定方法を採用するか—が会社によって定義が異なり、価格だけを比較しても前提が揃わないためである。逆にRFIだけで終えてしまうと、各社の言い分を聞くだけで具体的な解決策の比較ができないまま選定期限が来てしまう。したがって、コンペ形式で相見積もりを取る場合は「RFIで3〜5社に絞り込み、絞った相手にRFPを送って提案を競わせる」という二段構えが最も歪みが少ない。
なお、RFPを送る前に自社の現状(言及率・引用率の現在地)を把握しておくと、各社への要求事項がより具体的に書ける。無料のLLMO診断で自社サイトの現状値を測っておき、RFPの「現状の課題」欄に実数値として書き込むのがおすすめである。
一般的なRFPの記載項目とLLMO対策特有の落とし穴
まず一般的なRFPがどのような項目で構成されるかを確認する。多くの解説が挙げる基本構成は次の5〜6項目である。
- プロジェクト概要(発注の目的・背景)
- 現状の課題(何に困っていて、何を解決したいか)
- 要求事項(何を実現してほしいか、機能・非機能の両面)
- スケジュール・予算感
- 評価基準・選定方法
- 提出方法・期限・問い合わせ窓口
情報システム調達の世界では、この要求事項をさらに「機能要求」と「非機能要求」に分けて精緻化する実務が定着している。たとえばIPAが公開してきた非機能要求グレードは、性能・拡張性、セキュリティ、運用・保守性、移行性、可用性といった観点で非機能要求を体系立てる考え方を示しており、デジタル庁や内閣官房の調達ガイドラインも同様に、調達仕様を曖昧にしないための項目立てを重視している。この「機能と非機能を分けて具体化する」という発想は、LLMO対策のRFPにもそのまま応用できる。
ここで一般的なRFP解説がほぼ触れない論点が出てくる。LLMO対策における「機能要求」に相当するのは施策そのもの(構造化データ実装、コンテンツ制作、llms.txt整備など)だが、「非機能要求」に相当する部分——測定条件、証跡の開示可否、監視の継続性、報告の頻度——を明文化しないまま発注すると、施策の巧拙以前に効果検証ができない提案書が集まってしまう。一般的なRFPの型をそのまま流用した場合に起きがちな落とし穴は次の3つである。
- 要求事項欄に「AI検索での露出改善」としか書かない: 各社が独自の解釈で提案を作るため、Aは構造化データ、Bはコンテンツ量産、Cはブランド言及施策と、比較の土台が違う提案が3通届く
- 評価基準に「実績」としか書かない: 何を実績と呼ぶかの定義が各社バラバラなため、点数化しようとしても基準が主観的になる
- 測定方法を要求事項に含めない: 契約後に「言及率が改善した」という報告を受けても、測定条件が発注時に握られていないため検証のしようがない
次の章で、この落とし穴を埋める5つの追加項目を具体的に解説する。
LLMO対策RFPに追加すべき5つの特有要求項目
一般的なRFPの「要求事項」セクションに、以下の5項目をそのまま追加する。これがこの記事の核心であり、単なるRFP一般論との違いである。
1. 対象AIプラットフォームの範囲
ChatGPT、Gemini(AI OverviewsやAI Modeを含む)、Perplexity、Copilotなど、対策の対象とするAIプラットフォームは会社によって得意領域が異なる。範囲を発注側から明示しないと、各社は自社の得意なプラットフォームだけを前提にした提案を作ってくる。RFPには「対象プラットフォームを指定するので、それぞれへの対応方針と力点の違いを提案書に明記すること」という要求を入れる。
2. AI引用実績の証明方法
「実績多数」という定性的な訴求では比較できない。RFPには「過去の施策事例について、施策前後の言及率・引用率の数値変化と、その数値の測定条件(質問数・対象AI・測定頻度)をあわせて開示すること」を明記する。数値の出所が示せない実績は、実績として採用しない旨をRFP上で宣言しておくと、各社の回答の解像度が上がる。
3. モニタリング体制
LLMOはAIの回答が日々変動するため、単発の診断ではなく継続的なモニタリングが前提になる。RFPには「契約期間中の測定頻度、異常検知時の報告フロー、担当者の変更時の引き継ぎ体制」を要求事項として書く。Google Search Consoleでは生成AI関連の検索パフォーマンスレポートが提供され始めており、既存の計測基盤との連携可否も確認しておくと良い。
4. 実装可能範囲
「提案(コンサルティング)まで」なのか「実装まで」なのかは、総コストと発注後の手戻りに直結する。RFPには「構造化データの実装、llms.txtの設置、コンテンツの入稿作業のうち、どこまでを自社の稼働で行い、どこからを発注側の作業とするかを明記すること」という要求を入れる。ここが曖昧だと、契約後に「実装は別料金」「実装は貴社側で」という想定外の追加コストが発生する。
5. レポーティング頻度
月次・週次・随時のいずれで、何を、誰宛てに報告するかを具体的に求める。RFPには「レポートに記載する指標一覧(言及率・引用率・指名検索数など)、頻度、サンプルレポートの提出」を要求事項として明記する。サンプルレポートを提案書と一緒に提出させることで、各社のレポーティング品質を発注前に比較できる。
この5項目を要求事項欄に追加するだけで、提案書の比較可能性は大きく変わる。次の章で、この5項目を実際にRFP文書へどう落とし込むかを、コピペ可能な全文テンプレートで示す。
コピペで使えるLLMO対策RFPテンプレート全文(記入例つき)
以下はRFP文書としてそのまま使える構成である。角括弧〔 〕の中を自社の情報に置き換えて使ってほしい。記入例は架空の中堅BtoB企業(人材紹介業)を想定している。
表紙・宛先
LLMO対策業務委託に関する提案依頼書(RFP)
発行日: 〔2026年8月4日〕
発行元: 〔株式会社〇〇 マーケティング部〕
提出期限: 〔2026年9月5日 17:00〕
提案書提出先: 〔担当者名・メールアドレス〕
本RFPは〔3〕社に対し同時に送付しています。内容の第三者への開示はご遠慮ください。
1. プロジェクト概要
【目的】
自社(BtoB人材紹介業)が、ChatGPT・Gemini・Perplexity等の生成AIによる
情報検索において、比較検討フェーズの想定質問(例:「人材紹介会社 比較」
「〇〇業界 転職エージェント おすすめ」)で自社が引用・言及される状態を
作ることを目的とする。
【背景】
自社の指名検索数がこの半年で伸び悩んでおり、営業チームから「商談前に
ChatGPTで調べたが自社が出てこなかった」という声が複数件上がっている。
SEOの主要指標(検索順位・オーガニック流入)は横ばいで大きな問題はない。
【対象範囲】
対象サイト: 〔https://example.com〕
対象言語: 日本語のみ
契約想定期間: 〔6ヶ月〕(延長の可否は選定後に協議)
2. 現状の課題
【現状の数値(自社診断結果)】
・想定質問30問に対する言及率: 〔18%〕
・想定質問30問に対する引用率: 〔6%〕
・測定方法: 〔無料LLMO診断ツールにより2026年8月時点で測定〕
【課題】
・構造化データ(Organization/FAQPage等)が未実装
・比較記事・料金ページの情報が古く、AIが参照する一次情報として弱い
・自社の実績・数値データを裏付ける形で公開しているページが少ない
3. 要求事項(機能要求)
以下の施策について、貴社の提案内容を具体的に記載してください。
① 構造化データの設計・実装方針
② 既存コンテンツの改善方針(対象ページ数・優先順位の考え方)
③ 新規コンテンツ制作の有無・想定本数・月次ペース
④ llms.txt等、AIクローラー向け技術対応の要否と方針
⑤ ブランド言及を増やすための外部露出施策(該当する場合)
4. 要求事項(LLMO特有の非機能要求)※本テンプレートの核心部分
以下5項目は必須記載とし、未記載の提案は選定対象から除外します。
① 対象AIプラットフォームの範囲
対象: ChatGPT / Gemini(AI Overviews含む)/ Perplexity
→ 各プラットフォームへの対応方針の違いを記載してください。
貴社が対応不可・対応困難なプラットフォームがあれば明記してください。
② AI引用実績の証明方法
過去の支援実績について、以下を開示してください。
・施策前後の言及率/引用率の数値変化
・測定条件(質問数・対象AI・測定頻度・質問セットの設計者)
・生ログ(AIの実際の回答)を契約後に開示可能か
③ モニタリング体制
・契約期間中の測定頻度(週次/月次/随時)
・AIの回答内容に急激な変化があった場合の検知・報告フロー
・担当者変更時の引き継ぎ体制
④ 実装可能範囲
・提案(コンサルティング)のみか、実装まで含むか
・実装まで含む場合、発注側が用意すべき環境・権限
・実装に含まれない作業と、その追加費用の目安
⑤ レポーティング頻度
・レポート頻度と記載指標一覧
・サンプルレポート(過去案件のもの、匿名化可)を提案書に添付
5. 予算・スケジュール
【予算感】
月額上限〔25万円〕程度を想定(初期費用は別途提示可)
【スケジュール】
提案書提出期限: 〔2026年9月5日〕
一次審査・書面選考: 〔2026年9月12日〕
プレゼン選考(上位2〜3社): 〔2026年9月19日〕
発注先決定: 〔2026年9月26日〕
契約・稼働開始: 〔2026年10月1日〕
6. 評価基準・選定方法
評価項目と配点は次のとおりとします(詳細は次章参照)。
・施策の具体性と妥当性: 30点
・LLMO特有要求項目(4章)への回答の解像度: 30点
・実績の裏付けの確からしさ: 20点
・費用対効果: 20点
選定方法: 書面選考で上位2〜3社に絞り込み、プレゼンテーション選考を
実施した上で決定します。
7. 提出方法・留意事項
提出形式: PDF形式、A4換算15ページ以内を推奨
提出方法: 〔メール添付/共有フォルダURL〕
質疑応答: 〔2026年8月20日〕までに書面で受け付け、全社へ同内容を回答
本RFPおよび提出いただいた提案書の内容は、選定目的以外に使用しません。
評価基準・選定方法のテンプレート(採点シート)
RFPで要求した内容を、届いた提案書ごとに同じ物差しで採点しなければコンペは機能しない。次の採点シートをそのままスプレッドシートに転記して使ってほしい。
| 評価項目 | 配点 | 3点(満点)の基準 | 1点の基準 | 0点の基準 |
|---|---|---|---|---|
| 施策の具体性 | 10点 | 対象ページ・作業内容・優先順位が具体的 | 「改善します」等の抽象表現のみ | 施策自体が要求事項に対応していない |
| 対象AIプラットフォームの範囲 | 10点 | 各AIごとの対応方針の違いを記載 | 「AI全般に対応」とだけ記載 | 対象プラットフォームの記載なし |
| AI引用実績の証明方法 | 10点 | 数値・測定条件・生ログ開示可否まで記載 | 数値のみで測定条件の記載なし | 「実績多数」等、数値の記載なし |
| モニタリング体制 | 10点 | 測定頻度・異常時対応・引き継ぎまで記載 | 頻度のみ記載 | 記載なし |
| 実装可能範囲 | 10点 | 発注側作業の線引きまで具体的 | 「実装も対応可能」とだけ記載 | 提案・実装の区分の記載なし |
| レポーティング頻度 | 10点 | サンプルレポート添付あり、指標が具体的 | 頻度のみ記載 | 添付なし・記載なし |
| 実績の裏付け | 20点 | 数値変化を匿名でも具体的に説明できる | 社名・件数のみ | 実績の説明なし |
| 費用対効果 | 20点 | 施策範囲に対して妥当な金額設定 | やや割高/割安だが説明可能 | 金額の根拠説明ができない |
合計140点満点とし、LLMO特有要求項目(対象範囲・実績証明・モニタリング・実装範囲・レポーティングの合計50点)が30点未満の会社は、他項目の点数にかかわらず二次選考から除外する運用を推奨する。この5項目はLLMO対策の効果検証の土台であり、ここが弱い会社は施策の巧拙以前に成果を証明できないためである。
採点は必ず複数人(発注担当者+上長など2名以上)で独立して行い、大きな乖離がある項目だけをすり合わせるとよい。1人の主観だけで採点すると、プレゼンの印象や営業担当の話術に評価が引っ張られやすくなる。
RFP作成でよくある失敗と回避策
RFPを実際に書き始めると、次のような失敗に陥りやすい。事前に把握しておくと防げる。
- 項目を詰め込みすぎる: 一般的なRFP解説でも指摘される通り、必要十分な項目に絞ることが重要である。LLMO特有の5項目を追加する代わりに、機能要求側の記載を簡潔にし、A4で15ページ程度に収めることを目安にする
- 曖昧な表現を残す: 「AI検索での視認性向上」のような曖昧な目的語は、各社の解釈が割れる原因になる。「想定質問30問中、何問で言及されるか」という測定可能な形に言い換える
- 社内の関係者ヒアリングを飛ばす: 営業・カスタマーサクセス・広報など、顧客接点を持つ部署に「AI検索で自社がどう見えているか」をヒアリングせずにRFPを書くと、想定質問の設計が的外れになる。RFP作成前に最低でも営業責任者への簡単なヒアリングは行う
- 予算レンジを書かない: 予算感を書かないと、5万円の会社と50万円の会社が同じRFPに反応してしまい、比較の土台がそろわない。上限額だけでも明記する
- 測定条件の握り込みを契約書に落とさない: RFP・提案書で合意した測定条件は、契約書や覚書に明文化して初めて拘束力を持つ。口頭・提案書止まりでは、契約後に測定方法がなし崩し的に変わるリスクが残る
コンペ実施のスケジュールと進め方
RFP送付から発注決定までの標準的な流れは次のとおりである。全体で6〜8週間を見込むのが現実的だ。
- 社内合意形成(1週間): 目的・予算・対象範囲について、決裁者を含めて合意する
- RFI送付・一次スクリーニング(1〜2週間): 5〜10社にRFIを送り、対応方針の温度感を見て3〜5社に絞る
- RFP送付・質疑応答期間(2週間): 前章のテンプレートを送付し、質疑応答は書面で受け付けて全社に同内容を共有する(特定の社だけに追加情報を渡すと公平性が崩れる)
- 書面選考(1週間): 採点シートで一次選考し、上位2〜3社に絞る
- プレゼンテーション選考(1週間): 実務担当者の同席を必須にし、提案書に書かれた内容を口頭で深掘りする。ここでLLMO特有の5項目について再質問し、提案書の内容と矛盾がないかを確認する
- 発注決定・契約交渉(1〜2週間): 測定条件・成果物の帰属・解約条件を契約書に明文化する
コンペを実施する際は、依頼する全社に同じRFPと同じ質疑応答内容を渡すことが公平性の前提になる。個別に電話で追加説明をしてしまうと、その社だけが有利な情報を持った状態で提案を作ることになり、コンペの意味が薄れる。また、当サイトのようにLLMO対策の伴走支援を提供している側から見ても、RFPでLLMO特有の要求項目を具体的に指定してもらえるコンペのほうが、的確な提案を作りやすい。相見積もりの1社として声をかけたい場合や、RFPの書き方自体について相談したい場合は、お問い合わせから連絡してもらえれば、他社との比較検討中であることを前提に対応する。
RFP送付前の最終チェックリスト
送付ボタンを押す前に、次のチェックリストで抜け漏れを確認してほしい。一般的なRFPの必須項目とLLMO特有の追加項目を分けて並べてある。
一般的なRFPの必須項目
- プロジェクトの目的が一文で言い切れる形になっているか
- 現状の課題を具体的な数値・エピソードで書いたか(「なんとなく不安」ではなく「言及率18%」のように)
- 予算の上限額を明記したか
- 提出期限・選考スケジュールを具体的な日付で書いたか
- 評価基準と配点を提案書提出前に開示したか
- 提出形式・分量の上限を指定したか
- 質疑応答の受付期間と、回答を全社に共有する旨を明記したか
LLMO特有の追加項目
- 対象AIプラットフォーム(ChatGPT・Gemini・Perplexity等)を名指しで指定したか
- AI引用実績について、数値・測定条件・生ログ開示可否の3点セットを要求したか
- モニタリング体制(測定頻度・異常検知・引き継ぎ)を要求事項に含めたか
- 実装可能範囲(提案止まりか実装まで含むか)を明確に問う項目を入れたか
- レポーティング頻度とサンプルレポートの提出を求めたか
- LLMO特有5項目が未記載の場合は選考対象外とする旨を明記したか
- 自社の現状値(診断結果)を「現状の課題」欄に転記したか
このチェックリストが全て埋まっていれば、届く提案書は前提が揃った状態で横並び比較できる。逆に、LLMO特有の追加項目が一つでも抜けていると、その項目については各社が自由に解釈するため、結局は口頭でのヒアリングを追加で行う二度手間が発生しやすい。送付前の10分でこのリストを確認する価値は大きい。
よくある質問
Q1. RFPは何社に送るべきですか?
3〜5社が目安である。1〜2社では比較にならず、6社以上は選考コストが発注規模に見合わなくなる。RFI段階で5〜10社から3〜5社に絞り込むのが現実的な流れである。
Q2. RFPとRFIの両方を作る時間がありません。RFPだけでもよいですか?
急ぎであればRFPのみでも進行可能だが、事前に候補社の実力差が大きい市場では注意が必要である。RFIを省略する場合は、RFP送付前に各社の公開実績や無料相談での対応を簡易的に確認しておくと、明らかにミスマッチな会社への選考コストを省ける。
Q3. LLMO特有の要求項目を書いても、会社側が理解してくれるか不安です。
理解度自体が選定基準になると考えてほしい。対象AIプラットフォームの範囲や引用実績の証明方法といった要求に対して的確に回答できない会社は、実務上もLLMO対策の測定体制が整っていない可能性が高い。要求項目への反応の質そのものが一次スクリーニングの材料になる。
Q4. 提案書の分量に上限を設けるべきですか?
設けるべきである。A4換算15ページ程度を目安に明記すると、各社の提案密度がそろい、比較がしやすくなる。上限がないと分量の多さが評価に影響してしまい、内容の質との比較が難しくなる。
Q5. 費用感が会社によって大きく違います。安い会社を除外すべきですか?
金額だけで除外するのは早計である。安い理由が「計測を自動化して効率化しているから」なのか「そもそも計測をしていないから」なのかを、LLMO特有要求項目への回答から確認してほしい。施策範囲が狭いために安いケースと、効率的だから安いケースは区別が必要である。
Q6. RFPに記載した予算を会社に知らせると、その金額まで見積もりを吊り上げられませんか?
上限額の目安を示すことのデメリットより、示さないことで生じる比較不能のデメリットのほうが大きい。予算レンジを非公開にすると、5万円想定の会社と50万円想定の会社が同じRFPに反応し、施策範囲の前提が揃わないまま比較する羽目になる。上限を示した上で、金額の内訳と根拠を要求事項として明記すればよい。
Q7. プレゼン選考は必須ですか? 書面だけで決めてはいけませんか?
書面だけの決定は避けたほうがよい。提案書は自社の得意な言い回しで作り込めるため、口頭での深掘りをしないとLLMO特有要求項目への回答が本当に実務に裏付けられたものか判別しにくい。実務担当者同席のプレゼン選考を1回は挟むことを推奨する。
Q8. RFP送付後、途中で要求事項を変更してもよいですか?
公平性の観点から、要求事項の変更は全社に同時に書面で通知する必要がある。特定の社にだけヒアリングした内容を反映して要求を変えると、他社が不利になる。変更が発生しそうな場合は、質疑応答期間内にまとめて確定させるスケジュール設計が望ましい。
Q9. 選定後、RFPに書いた内容は契約書にそのまま使えますか?
RFPの記載は契約書の下書きとして機能するが、そのままでは法的拘束力を持たない点に注意する。測定条件・成果物の帰属・解約条件など、RFPと提案書で合意した内容は、契約書または覚書に条文として明記し直す必要がある。
Q10. 社内にLLMO対策の知見がなく、要求事項をどう書けばよいか分かりません。
自社での測定が難しい場合は、まず無料のLLMO診断で現状の言及率・引用率を把握し、その数値をRFPの「現状の課題」欄にそのまま転記するところから始めるとよい。要求事項の書き方自体に迷う場合は、お問い合わせからRFPの下書きについて相談することも可能である。
関連用語
関連記事
参考文献
- 提案依頼書 — Wikipedia(参照: 2026-08-04)
- 非機能要求グレード — 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(参照: 2026-08-04)
- デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン 解説書(第3編第6章 調達) — 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室(参照: 2026-08-04)
- 調達実務マニュアル — デジタル庁(参照: 2026-08-04)
- AI features and your website — Google Search Central(参照: 2026-08-04)
- Introducing Search Generative AI performance reports in Search Console — Google Search Central Blog(参照: 2026-08-04)
関連用語
- E-E-A-T
E-E-A-Tとは、Googleがコンテンツ品質を評価する4つの観点「Experience(経験)・Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trustworthiness(信頼性)」のこと。SEOとLLMO両方で最重要の概念です。
- llms.txt
llms.txtとは、サイト運営者がAIクローラーに「このサイトの重要な情報はここ」と伝えるためのMarkdownファイルの提案。2024年9月にJeremy Howard氏が提唱し、急速に普及しつつある新しい標準です。
- クローラー
クローラーとは、Web上のページを自動巡回してデータを集めるプログラムのこと。Googleの「Googlebot」が代表例で、これに見つけてもらわないと検索結果に表示されません。
- 構造化データ
構造化データとは、Webページの内容を検索エンジンが理解しやすい形式で記述したメタ情報。記事の著者・公開日、商品の価格・在庫などを機械可読にすることでリッチリザルトやAI引用の対象になります。
- Perplexity
Perplexity(パープレキシティ)とは、回答に必ず引用元(出典URL)を表示する米国発のAI検索エンジン。2022年公開で急速に成長中。LLMOで「サイテーションされる」最初の主戦場として重視されています。
- ブランドメンション
ブランドメンションとは、リンクなしでも自社名がSNS・記事・フォーラム等で言及されること。ChatGPTなどLLMは被リンクより「共起メンション量」で引用候補を判定するため、LLMO・AI検索対策の最重要指標です。具体的な増やし方を解説します。
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